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Take‐6 映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル(2014)』は面白かったのか?──同じような毎日からの脱却か、繰り返す強さか──

【映画のキャッチコピー】
『戦う、死ぬ、目覚める──』


【作品の舞台】

 原作版では舞台設定は日本です。
千葉県のボーソー半島となっており、沿岸という設定は引き継がれております。

 映画版の舞台設定はフランスの沿岸、そしてイギリスやドイツ、などでも戦闘が繰り広げられます。

 劇中トム・クルーズがヘリで降り立つトラファルガー・スクエアはネルソン記念碑のある場所。ナショナル・ギャラリーと並ぶロンドン観光の目玉となってる場所ですね。

 

【原題】
『Edge of tomorrow』

 「殺しこそが任務」という意味の桜坂洋の原作「All You Need is Kill」から「明日との境目」を意味する「Edge of Tomorrow」に変更されている。より詩的な印象が強く、多くの観客に訴求する狙いがあったのではないか──と推測されている。



映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のワンシーン
THE RIVER


 皆様よき映画ライフをお過ごしでしょうか? ペイザンヌでおます。

 ボクですね、ピアノというかキーボードといいますか、まあ絶対音感なんてあるわきゃなく、楽譜なんて“ト音記号”がナスカ地上絵に見えるほどの音階無知なのでまったく弾けません。

 いや、正確にいうと実は二曲だけ弾ける曲があるのですよ。(まあ、モドキですが)

 弾きたい曲をチョイスし、練習のために次に押さえる部分の鍵盤が光る“ナビゲート機能”がついたキーボードってのがあるじゃないですか。あれでショパンの『別れの曲』を必死に練習したことがあるのですね。

 が、……なんとゆーかこの行為は“練習をしている”というよりも、テスト前に英文を丸々なんとか暗記しようとする業務作業にも似ているような、いや、どちらかというと目の前で動く猫じゃらしを指で何とか仕留めようとする猫の感覚に似ているような……

 それでも空いた時間を全てそれに捧げ、一週間、二週間と毎日毎日同じ行為を繰り返すうちに“出来る”ようになってくるんですわ、これが。ホント不思議。

 五日前には『ムリムリムリ、無理だって、こんなの』トカ『ぜってえ指、届かねぇよ』トカ『こんなん左右同時に動かせるヤツ変態じゃん』ナド思ってたのが、ある時を境に急にできるようになる。睡眠学習のように眠ってる間に何かが進化しているような感覚、というか体が覚えていくんでしょうね、きっと。

 それと同じような感じで、何百本の極太パスタのような宇宙生物と戦うためにトムくんが同じ一日を何度も何度もタイムリープし、死んではやられてはまたその日の最初からリセットされ、やがてド素人から最強の戦士へと変わっていくという映画が今回取り上げた『オール・ユー・ニード・イズ・キル』。


 パスタなんて言っちゃいましたが😅実際には異星人の送り込む“ギタイ”と呼ばれるドローンですね。原作ではパスタというよりウニのようにトゲトゲな感じらしいです。なんにしろ美味しそうですww

 原産地は日本のライト・ノベル。
 ラノベがハリウッド映画に起用されるのは当時としてはまだ異例なことだったように思えます。(内容はだいぶ違うらしいですが)

 こりゃあ、小説投稿サイト、もしくはここnoteの住民様においても何とも夢のある話じゃないですか。

あなたのその一作がハリウッド進出!”──なんてことにもなりかねないんですから。

 そういうこともあって、今回このカンソウキにチョイスしてみました。

 個人的には主人公トムくんが前半のダメダメ新入り兵士から徐々に変わっていく部分の方が興味深かったですね。

 毎日同じ戦闘の繰返しだから敵の攻撃パターンを暗記できるわけで、

 ワン・ツー・スリー、ドン! 
 ワン・ツーで右にズダン! 
 からの~、上に構えてバキューン!
 一歩下がってドン、ドドン! 

てな感じで、まるでダンスのように仕留めていけるようになってくるのが実に心地よさを感じます。

映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のワンシーン
Netflixファン非公認ブログ

 ただ、後半。

 トムくんが既に強くなってしまってからはもはやどこにでもあるただのSFアクション映画みたいになってきちゃって、クライマックスに辿り着く頃には既にお腹一杯に。

 ややテンションが下がってきたのも否めません。

「同じ1日を繰り返す」という設定は今となってはあたりまえのようにありますが、このタイムリープ概念を映画に定着させたのは『恋はデジャブ(1993)』あたりだった気がしますな(邦題でかなり損をしている気がしますな😅)。

映画『恋はデジャブ』のワンシーン
映画.com

 『恋はなんちゃら〜』と似たようなタイトルもたくさんありますが『ゴーストバスターズ(1989)』のビル・マーレイが出てるヤツですね。最近では配信でも簡単に観れるし、まだ観てないよなんて方にはとてもお薦めの一本です。

 こちらの映画の主人公も、ひょんなことから一日という時間枠の中に閉じ込められてしまいます。寝て、朝、起きたら昨日と全く同じ一日なわけですね。自分には昨日の記憶があるけれど他の人にはない。自殺を試みても、やはりリセットされてしまう。

 まあ、時間だけはたっぷりあるわけですから暇潰しで始めたピアノがバキバキ上手くなっていく場面なんかがあって……

……あれ? 

 と、察した方がいらっしゃいましたらその通りです。

 そう、実は冒頭に書いた下りはこの映画の主人公に触発されたからなんです😅

 元気があれば、もとい、時間さえ多く費やせば何でもできる! ……かもと。

 まあ、私は結局二曲しかマスターできませんでしたけどね。

 この二本、主人公の最終目的を比べると『オール・ユー……』は極太パスタ星人を倒すためであり、『恋はデジャブ』はこの繰返しの同じ毎日から抜け出すこと。

 いつもいいところまでいくにも関わらず、恋した女性が次の日には自分のことを全て忘れてしまっている──そんな葛藤は両方の映画にも共通してあるんですが、恋愛コメディとしての『恋はデジャブ』の方がやはり秀逸かと思えます。異星人と戦うよりは身近だし共感が持てます。見ている側として。

 この設定の類似モノとして「同じ1日なんだけど”違う人物の目線から“それぞれ何度も繰り返し見せる」──という手法もありますやね。
 
 最近公開して非常に話題となった是枝裕和監督の『怪物(2023)』もその一本だと思います。

映画『怪物』のワンシーン
映画.com

 黒澤明監督の『羅生門(1950)』方式などともよく言われますがリドリー・スコットが監督した『最後の決闘裁判(2021)』、そしてまたこちらもかなり個人的に好きだった『バンテージ・ポイント(2008)』という作品もその一つでした。

 こちらは大統領が演説中に暗殺され、その場にいた8人の視点から同じ状況が8回繰り返されるストーリー。

 登場人物が──というより、見ている観客側がタイムリープを体験できるという脚本、構成とともに秀逸な作品であります。

 出演はデニス・クエイド、ドラマ『LOST』のマシュー・フォックス、フォレスト・ウィテカー、シガニー・ウィーバーなども出ておりますね。

映画『バンテージ・ポイント』のワンシーン
映画.com

『オール・ユー・ニード・イズ・キル』は続編も製作進行中でトム・クルーズはもちろんエミリー・ブラントも続投、そして監督もパート1と同じくダグ・リーマン!……というニュースもありましたが実はこれ2017年の話。
😅ゴメンナサイ…

 タイトルも『Live Die Repeat and Repeat』 (「生き、死に、繰り返し、また繰り返す」)に決定していたそうです。もっとも現実になったとして邦題は普通に『オール・ユー・ニード・イズ・キル2』になりそうな感じですが🤣w


「脚本も素晴らしく、あとはトム・クルーズの空きを待つだけ」とありましたが……果してどうなるのか?🙄

 まあ『トップガン(1986)』の続編もやるやる詐欺かと思ってましたがみごと現実に、そして大成功を収めましたしね😀

映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のワンシーン
ナタリー


 このところ『トップガン/マーヴェリック(2022)』や『ミッション・インポッシブル/デッド・レコニング PART ONE(2023)』など続編が出るたびに右肩上がりに面白くなるトム・クルーズ、現実になるならこれも楽しみな一本であります。


 ちなみにこの原作のタイトルはやはりビートルズの『愛こそすべて(オール・ユー・ニード・イズ・ラブ)』からきているんでしょうかね🙄

 ちなみにボクが弾けるようになったもう一曲、こちらもビートルズの『レディ・マドンナ』でした。こちらはナビゲートでなく楽譜をまさに一音一音確かめながらでしたねw


「なんとなく昨日と同じような毎日を過ごして日が暮れてしまう😮‍💨」──最近そんなループに陥ってしまってるなぁ……なんて方がいましたら

「どうせ同じ毎日なら、思いきってこれまでやったことのないものにチャレンジしてみるか」

「毎日ほんのちょっとずつ積み重ねてみるか」

──なんて切り替えも、たまには良いかもしれませんよ😀

 では、また次回に!




【本作からの枝分かれ映画、勝手に7選】

オール・ユー・ニード・イズ・キル』 [DVD] 


All You Need Is Kill 』原作/桜坂洋 (集英社スーパーダッシュ文庫) 


恋はデジャブ』 [DVD] 


ゴーストバスターズ』 1&2パック [DVD] 


怪物 』ノベライズ (宝島社文庫) 


羅生門』 デジタル完全版 [DVD]


最後の決闘裁判』 [AmazonDVDコレクション] [DVD] 


バンテージ・ポイント』 CE [DVD] 


『トップガン/マーヴェリック』[Blu-ray]


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