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チャットモンチーの『LOVE is SOUP』を聴いて、ミートソースをつくる

※ペコリッチの食べることが大好きな
スタッフが書いた勝手なコラムです

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1.生活


※レシピだけ読みたい方は『3』のレシピまで飛ばして読むことも可能です



見たい映画はいつでもサスペンスじゃない。
ワンピースもジャージも着たい。
今日はゆっくりしたい。
明日になったら出掛けたくなってるかも。
お気に入りの短い前髪は、数年後には笑い話に。
白線の上だけ歩くルールは、いつの間にか忘れる。
食べたいものはいくつもある。

ひとはいつでも変わっていく。
明日の自分も10年前の自分も、今の自分とは違うものだ。
考え方も、嗜好も、環境も、身に着けるものも、似合うものも、食べたいものも。


そういうことに気づくとき、すこし立ち止まる。
後ろを振り返ったり、遠くを見つめたりしたのちに、
結局は足元を見て、今いるところでうずくまってしまう。

成長ともいえるのに、すこし寂しさを感じる変化。
変わりたかったのに、変われなかった根っこ。
知らず知らずのうちに、無くしてしまった部分。
捨てきれずにいる、こだわりと言うには愚かすぎるプライド。
にぶくなっていく感性に対して、化膿していく傷口のような溝。
その溝に、どっぷりはまって動けなくなっているのが今の自分だ。


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2.好きな曲


チャットモンチーの『LOVE is SOUP』という曲がすきだ。

『告白』の10曲目に収録されている。



恋人であるふたりの恋愛模様を時間をかけてつくるスープに例えている歌。けれど私は、この曲がいつまでも続く生活のことをうたっているようにも思う。


ゆったりとやさしくシンプルなリズムで続くメロディにのびやかな声で可愛らしいストーリーが乗せられている。

恋に落ちてすぐの二人
具だくさんのスープみたい
足りない色はひとつもない
足りない味はひとつもない

こんな歌詞から始まる。
色とりどりな具材が詰め込まれた、それだけでお腹がいっぱいになるようなスープ。始まったばかりで、お互いの知らない側面にたくさん触れ合って、すべてが愛しいと思える時期

大きめのひとくち
未来の味しか しなかった
おいしい笑いが 飛び交った

これからのふたりの明るい未来しか見えなくて、「この先、喧嘩するのかなあ」なんて話も「どうかなあ」「怖いね」「ね」なんて言い合って笑いながら話すふたりの情景が浮かぶ。
さらに後半は、こんな風にふたりのスープは変わっていく。


恋をしてしばらく二人
一晩おいたスープみたい
飽きない味を追求する
飽きないために追求する
恋を愛に変えた二人
朝に飲むスープみたい
さらりとおなかにおさまって
さらりと愛を確かめ合う

具だくさんのスープから、より味を深めるために一晩おかれたスープに変わる。変わらないために、変化を求めるふたり

さらに曲のさいごには、おなかが満たされるようなものや、深みのある味を追求したものではなくなる。他のメニューもふたりの間に取り入れられるような、さらりとした邪魔にならないようなスープへと変わる


冒頭でもいったが、これは生活の歌でもあると思う。


ちいさな頃に夢見ていた燦爛とした未来。目に映るものがすべてまぶしくて、触れるものすべてが新鮮で、何をしても驚きと喜びがある「0」の状態具だくさんのスープ

だんだんと自分のようなものが形成され、だけど漠然と「こうなりたい」「今のままではいけない」そんな気持ちを変えようと自分を追求する時期飽きない味を追求する

いろんなものが紛れていく。やるべきこと、やりたいこと、恋愛、結婚、家族、住居…なんだか大切なことがたくさんあるような気がする。漠然とした将来のビジョンが見え隠れして落ち着かない。でももう大人だから大丈夫。すこしずつ、いろんなことをあきらめたりとっておいたりして、バランス良く整えるさらりとおなかにおさまる

そんな誰にでもある幼き日からの葛藤や希望を描いた曲に聞こえる。

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バランス良く生きているつもりでも、「自分自身に慣れたくない」という葛藤や、なんでも新鮮に感じる幼き時の世界に対する輝きがが失われていくのが怖い。まばたきするたびに、自分の目がにごるような感覚になる。わたしはいつまでたってもすべてのスープを飲みたい、欲張りだから。


何を持つべきなのか頭がごちゃごちゃと混乱する。そういうときに作るべき料理は、ミートソースだ。具だくさんのミートソース。作り方はスープと似ている。切った具材を煮込む。単純な作業だが、これでわたしは落ち着くのだ。


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3.ミートソースのレシピ


画像1

(写真はイメージです)
※分量は大体の量なので、お好みで調節してください

材料(4人前くらい)

合いびき肉……400グラム
ニンニク…3片
玉ねぎ…2個(中)
    もしくは大1.5個
人参…1本
セロリ…1本
レンコン…1節(150グラム位)
ズッキーニ…1本(小さいものを使用しました)
カットトマト缶…1缶(400グラム)
しめじ…1パック
水…200ml
調味料
ウスターソース…大1
赤ワイン(料理酒でも可)…大2
オリーブオイル…適量
コンソメ…大2
砂糖…小1
ケチャップ…小2
ローリエ…3振り
水…大
インスタントコーヒー…少々
塩胡椒…少々
(あれば)ナツメグ…少々


<作り方>

①野菜類
(ひき肉以外のすべての材料)をみじん切りにする
ニンニクが効いたものがあまり好きではない方であれば、半分くらいはすりおろしにんにくにしてもよし。しめじは石づきを落としてそのまま入れてもOK!(面倒くさいので私は大抵そのまま入れます)

②合いびき肉、玉ねぎ、にんにくを炒める
フライパンを熱してオリーブオイルをしいて炒める。
ナツメグを入れる方は、このタイミングで入れる。

☆塩をすこしだけ入れて炒めると、火が通りやすくなります。

③その他の野菜を投入
みじん切りした野菜としめじとを一緒に炒める。焦げ目がつかぬよう、このときもひとつまみ塩を振りかけて炒める。

④赤ワイン(料理酒)を入れて炒める
アルコールが飛ぶまで、たまに混ぜながら炒める。

☆ここで完全にアルコールを飛ばす。焦らないで時間をかける。

⑤トマト缶を投入
トマト缶を入れ、つぶすようにかき混ぜながら10~15分煮込む。

⑥調味料と水を投入
全て入れる。焦げないようにときどきかき混ぜながら20~30分煮込む。水分を飛ばす。最後に塩胡椒で味を調えて完成!(できればしばらく冷ましてからもう一度加熱する)


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4.ミートソースをつくる理由


なんでここまできてスープじゃないんだろうと思われるかもしれない。ミートソースは色々な料理に応用することができる。スパゲッティ、ラザニア、ドリア、グラタン、ミートパイ、マッシュポテトのソースにだってできる。欲張りなわたしにとってはこれがいい。

野菜を刻んだり、鍋をぐるぐるかき混ぜたり、単調な作業だが手が塞がっている。そういうとき私は、ラジオや落語、音楽を聞くようにしている。人の声に耳で触れながらご飯を作っていると、きもちが落ち着く。ひとりじゃないという気もするし、ひとりでも大丈夫なような気もする。

話が戻るが、『LOVE is SOUP』の最後にこんな歌詞がある。

いつかは出逢う 極上の味
焦らず たゆまず 怠らず
さらに じっくりと時間をかけましょう
全部飲み干しても 二人は 永遠に

わたしはこの部分がいちばんすきだ。
いまはまださらりとした味にもなれていないかもしれないが、きっとこうして生活を続けていけば、いつかは極上の味だと思える瞬間がきっと訪れる。具だくさんなのか、一晩おかれたものなのか、さらりとしたものなのか、それは分からない。

焦らず、たゆまず、おこたらず。

うずくまってしまったときは、すこし時間をおいてすきなものに囲まれるような環境を自分で整えると良い。全部飲み干しても、また新しい日々に、自分に、物事に、出逢えると思う。



読んでくれてありがとうございます。

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