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痴漢に立ち向かった日の出来事

最近、私のノンフィクションエッセイを一部フィクションにした小説マガジン『ユトリノヒトリ』を執筆していて、よく思い出すのが大阪です。

今書いている時期が時系列で言うと2007年とかなので、かなり昔ですが、鮮明に覚えています。もうその頃の私は、夜の仕事と彼氏が世界の全てでした。


なんか懐かしくなっちゃって、めっちゃ昔の写メ(写真のこと写メって言う時代でした笑)を引っ張り出してきたのですが……若過ぎます。笑

今だと、どうして上手くいかなったのか?など、手に取るようにわかるのに、あの頃の私は本当にわからなかったんです。ビックリする程、世界が狭く、偏っていました。

実は19歳の時、大阪の北新地でホステスをしていた時期があり、私が夜を始める前からお付き合いをしていた彼とのお話も書いています。

最も…同業者なので、私はいつも疑心暗鬼でしたけどね。そんな昔話を思い出していて、痴漢に遭ったことも思い出しました。私も何回かあるんです。その中でも、若かったからこそ反撃してしまった悪い例をお話したいと思います。※良い子は真似しないで下さい。


深夜1時半過ぎ、私は梅田方面から自宅のある福島区まで歩いていました。帰りはいつもタクシーだったのですが、その日は彼がHEP前でキャッチをしているからちょっと話そうと連絡があり、途中で降りたのです。

そして彼と後輩くんたちがキャッチをしているところへ行き、30分くらい話をしました。彼が家まで送ると言い出したのですが、仕事を優先させてほしくて、断りました。とか言って理解がある彼女ずらしただけなんですけどね!笑


「気をつけて帰れよ!着いたら電話して」と言われて、わかった!と返し、梅田から歩くこと15分、最寄りの駅まできたところで、私のマンションはすぐそこでした。

すると1台の自転車が通り過ぎていき、私を追い越す瞬間にガッツリと顔を見られて、更にあからさまな二度見をされ、急に私の前で止まりました。

なんかヨレヨレのタボッとしたスウェットにゴム製のトイレのサンダルを履いたオジサン。いえ、たぶんそんな年上じゃなくて、20代後半くらいでした。髪はボサボサで、正直言って、清潔感の欠片もありません。しかも11月くらいで、寒いのに夜中にサンダルです。


そして男が自転車の向きをこちらに変えてきたので、私は男を大きく避けて、マンションの方へ急ぎました。すると男は慌てた様子で

「え?ちょっと待って!道教えて!」

と言ってついて来て、私は「すみません」とだけ答えて、急いだのです。でも、もうマンションが目の前でした。前に彼が「変な奴が居たらまず、マンションに入る前に通り過ぎて様子を見ろ!オートロックに入られたら終わりやぞ」と言っていたので、これはその時だ!と思い、マンションをスルーしました。

「なぁなぁ、駅どっちか教えて!」

は?と思いました。男は私の後ろから来たのは確かです。じゃあ、あなたは駅を通らずにどこから来たの?と言う感じでイラッとしたのを覚えています。はい。ヒールで歩いているから足が激痛だったのもあって私も苛々してました。

私は立ち止まり、真っ直ぐ駅の方を指差して

「福島駅はあっちです!」

と言うと、男はヘラヘラ笑って

「アレ?あっち駅あったぁ?」

とかふざけた事を言います。因みに自転車だし、終電はとっくにない。駅に用がある訳ないんです。

更に苛々する私。マンションは通り過ぎてしまって、どんどん遠くなっていたので、住宅街の路地を曲がって帰ろうとしたのですが、まだついて来ます。

「え、どっかで働いてるん?何て店?今度行くわ!指名するで!」

「北新地の〇〇です。申し訳ありませんが、どなたかのご紹介でないとご入店はできかねます」

「え、新地なん?俺よく行くで!名前は?何ちゃん?」

「すみません!時間ないんで、失礼します」

そう言ってくるっと後ろを向いて、通って来た道をまた早足で歩きました。するとまた自転車ごとこちらについて来て、こう言いました。

「ちょっとくらいええやん!話そうや!」

そう言って自転車をガードレールに立てかけて、私の後ろ側に行ったと思ったらお尻を触られて、もう私の堪忍袋の尾が切れかけた瞬間、男は両手で後ろから私の胸を鷲掴みにし、すぐ離して、変な笑い方をしながら自転車に乗って逃げました。

もう我慢の限界で「ふざけんなー!」と昔の血が騒ぎ(ヤンキーではありません笑)足が痛いのも忘れて、更にバッグも落として、猛ダッシュして、ママチャリの後ろを掴み、自転車を倒しました!

その弾みで私も転んで、膝から血が出てきて、ヒールで痛い足ももう限界でした。男は転び、ちょっとビックリしたのか、たぶん鬼の形相の私を見て、何か笑いながら叫んでフラフラと自転車に乗って走り去っていきました。


私は暫く呆然としていて、手が震えて携帯のボタンが上手く押せません。足が痛くて涙が出てくるし、なんか悔しくて、もっと反撃できたんじゃないかってちょっとおかしな思考になってました。


ようやく立ち上がれて、バッグを取りに行き、ガードレールにもたれかかって、もう一度携帯画面を開きます。何故か最初に彼に電話してしまい、仕事中なのを忘れていて「やば!」と思った時には遅く、2コールで出ました。

だけど、キャッチが上手くいったみたいで、更に営業かけてたお客さんも来てて、忙しいみたいで、彼がお客さんの入りを説明してから

「今日遅かったやん!家着いたら連絡してって言うたやろ?まっすぐ帰ったんか?」

あぁ、やばい。泣けてきた。私はちょっとホッとしたのか、泣きながら痴漢の話をしました。すると彼は、しっかりしい!と言い、

「もう1人で帰るん無しやぞ!後な、俺やなくてまず、そのまま警察や!ちょっと時間かかるけど早退するわ!」

怒られた。と思い、ちょっとキャラじゃないことをしている自分にも気付き、せっかくお客さん来てくれてるんだから大丈夫!と言って、また連絡すると約束をして電話を切りました。

それから福島駅まで戻り、近くの交番に行き、全てを話しました。するとお巡りさんがめっちゃ良い人で、若いのに(2、3個上くらい)しっかりしていて頼もしかったです。あ、当たり前ですかね。

私がアホ過ぎて、1人で反撃したらあかんよって言われました。確かに何されるかわからないのに、カッとなって追いかけたのは良くなかったです。

それから色々と身分証を提示したり、どこから歩いてきたとか、マンションの場所とか、なんせ色々話して、最後はお巡りさんが足の怪我の心配をしてくれたんですけど、家すぐだし、遠慮しました。

で、パトカーで送って頂き、しかもそれから1週間くらい帰る時間にパトカーで巡回して下さったんです。あの男は二度と現れませんでしたが、暫くはこんな私でもビビってました。


それから、次の日の早朝に仕事終わりの彼から電話があり、話したいから一緒に帰ろうと言われ、パジャマから服に着替えるだけ着替えて、すっぴんで車に乗り込み、彼の家へ向かう車内で話しました。

彼が怒ってた理由もお巡りさんと一緒でした。そんな危ない状況で反撃なんかしたらあかん!って何度も言われました。一緒に住んでた友達に手当てして貰った膝を見て、彼が最後に言ったのは、

「ドラマとかじゃないねんから、俺に言ってもすぐには行かれへんし、何もできんやん!まず警察や!それにな、もう歩いて帰るん無しやで?」

その、最初のドラマじゃないってところが今でもよく覚えてます。印象的で。

なんかあったら俺に言えよ!って言うんじゃなくて、現実的な話で、とっても現実的に心配してくれたこと。そこに私は愛を感じていました。この話をすると、他の友達は、冷たい!と言いました。捉え方はそれぞれ違いますね←笑


ものすごく長い話をしてしまいました。

そして皆さん、痴漢に遭っても反撃は程々に!



今回も最後までお付き合い頂きありがとうございます。また更新しますね!




peco




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