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小説 「つくね小隊、応答せよ、」

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第二次世界大戦末期。 東南アジアの、とある島。 米軍の猛攻により、日本軍は転戦(撤退)し続け、日本兵たちは、ちりじりに離散した。 そんな中出会った別々の部隊の若い日本兵の3人、…
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#戦争

「つくね小隊、応答せよ、」(最終話)

東京から汽車に乗り継いで、駅で降りる。 ここから渡邉の食堂へは、路面電車だと20分ほどだ…

「つくね小隊、応答せよ、」(八)

「久や、久、これ、久蔵、こっちよ」 「え、ここ人んちじゃないの?」 「うん、人様のお店じ…

「つくね小隊、応答せよ、」(九)

天保といやあ、まあ今からだいたい100年くらい前だな。ばあさんが話してくれた話っていうの…

「つくね小隊、応答せよ」(十一)

三人は、密林を早足で進む。 長い歩兵銃に銃剣を装着し、繁る枝葉を薙ぎ払う。 「敵さんは、…

「つくね小隊、応答せよ」(十二)

「聴いてくれ!俺は、大日本帝国陸軍 上等兵 渡邉道雄だ!その銃は、三八だろ?貴様が敵兵な…

「つくね小隊、応答せよ、」(十参)

3人は秋月の敬礼した右手を見て、息をのんだ。 その右手は、血まみれだった。 よく見ると、…

「つくね小隊、応答せよ、」(29)

「金長の旦那!きいたぜ!大鷹がやられたってな…ちっくしょう六右衛門のやろうめっ!力にものを言わせて汚えことしやがって!!この庚申新八っ、旦那の方につくぜ!!!」 はちまきを巻き、体格がよく、大きな槍を構えたこのたぬき。 佐古の庚申さまの社に住みついておるたぬきで、庚申新八と呼ばれております。 「大鷹とは姉と弟みたいなもんだよっ!弟やられて、黙ってる姉貴がどこにいんだいっ!金長さんっ!あたいもこっちにつくよっ!四天王だが天然痘だか知んないけど、そいつらの金玉ねじ切って提灯

「つくね小隊、応答せよ、」(30)

金長方、総勢400匹。 金長を筆頭に、 小鷹 熊鷹 庚申新八 臨江寺のお松 衛門三郎 田…

「つくね小隊、応答せよ、」(38)

がさっ 三匹の前に現れたのは、バナナの葉で編んだ笠をかぶった、小さな老人だった。裸足に黄…

「つくね小隊、応答せよ、」(39)

「しまぜんたいが、あなたがたのてきなのです…それでは…さようなら」 ドゥエンディが片手を…

「つくね小隊、応答せよ、」(40)

「敵襲うううう!敵襲うううう!五時の方向!艦砲射撃!!」 斜面の岩陰から声が聞こえた。 …

「つくね小隊、応答せよ、」(41)

仲村が暴れ、水面を叩くと、高く水しぶきがあがる。イリエワニは水中に潜り、仲村に噛み付いた…

「つくね小隊、応答せよ」(42)

好戦的で動きの素早い早太郎。 周囲一帯を燃やすような金色の炎を吐く狐。 まだ手の内を明か…

「つくね小隊、応答せよ、」(43)

路面電車が通りを走り、大八車や屋台や行商の人々が街を闊歩する。渡邉道雄が生まれ育った街だ。 明治維新の頃、この街を治めていた藩主は、新政府側についた。 維新後は、新政府の推し進める近代化政策にいち早く取り組み、城内にあった藩校を、子どもたちの学校として開放する。 さしたる資源のないこの地域では、モノではなく、ヒトを財産とするべきだ、と教育に力を入れたのだ。 維新から十年ほどすると、よその地域か人々が町づくりの視察に訪れるようになり、当時はまだ導入されていなかった技術や産業