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なぜ人は北海道に魅せられるのか。自然を愛し寄り添う、オススメ本

北海道にやって来て感じるのは、ここに来る前の生活が、いかに無理と我慢を重ねたものであったかということ。

人混みや行列、満員電車。
どんなときも笑顔であれという過剰な精神労働。

それらが当たり前だった毎日から離れてみて、初めて空の広さに気付いて。
今、ものすごく自由を感じています。

で、未だに毎日空の青さやら木々の高さやらに感動しているのですが。

自分はその感動を上手く表現できない

ありきたりな言葉しか持たない自分は、なぜこんなに北海道に魅せられ、癒されるのか、うまく言語化することができません。

そしてそのことでいつも歯痒い思いをしています。
いました…が。

そんなもどかしさを解決してくれる素敵な写真エッセイ集と出会うことができました!

どうしてか北海道という土地を好きになってしまうワケを、その心を。
コラムという限られた文字数の中で的確かつ詩的に表現している本がこちらです↓↓

自然を、動物を、北海道を、愛するすべての人に読んでほしい。

北海道新聞に数年に渡って連載された写真コラムを書籍化したものだそうです。
きっと、何年もずっと新聞の記事をスクラップしてきたファンがたくさんいるんだろうな。

新聞連載コラムですから、コンスタントに締切があって、文字数も制限があって。しかも読むのは不特定多数です。
連載を落とさないためのプレッシャーは、凡人の自分には想像もつきません。

なのにすごいんですよ。
興味がない人であってもぐっと引き込まれてしまう語り。起承転結のきっちりとしたストーリー性のある文章で、情感豊かに自然を、動植物を語ります。

ヒグマ微睡み、シャチ踊る。
ずっと見たかった北海道へーー

いやこれ、エッセイというか、散文詩のよう。

中学の国語の教科書とかに載せてほしい。
こんなに引き込まれる魅力的なエッセイ、自分は初めてです。

写真って、その一枚を撮るために何時間も(時には何日も)時間をかけるじゃないですか。
自分たちがパラリと見る一枚は、写真家の方の時間や情熱が凝縮された一枚で。

文章も同じです。
経験や時間や思いを凝縮させないと、この文章は書けない。

圧倒的なインプット量と情熱。

本当に北海道が、自然が大好きで。自然に寄り添って暮らす人々をリスペクトしていることが伝わってきます。

それを、誰もがわかる言葉を使って簡潔に、それでいて思いの深さを感じさせる言葉選びで文章にできるの、本当にカッコいい…

こんな文章を書ける人間になりたい。

なぜ著者が北海道に魅せられたのか、そのきっかけとなる出会いから始まって、北の大地で暮らす生き物たちのエピソードが、それぞれの写真とともに愛情たっぷりに紹介される本書。

最後のあとがきまでカッコいいです。

ジグソーパズルのピースに似てデコボコながら、どの一編も、愛着ある生き物たちと過ごした時間の断片です。こぼれ落ちてしまったピースは、また探しに行くつもりです。

本書あとがきより

伊藤健次氏は登山関連の書籍も多いのですが、自分はこちらも好き。

自然と共に生きる人々をリスペクトする伊藤氏が、北海道の原風景と言われるロシアのタイガから優しく語りかけてくる、絵本のような一冊
子供の頃に出会いたかった。

他にも北海道の生き物を紹介している素敵な写真集はたくさんありますが(旭川出身の女性カメラマン半田菜摘氏など)
今回はどうしても伊藤健次氏の生き物セレクションを紹介したかった。

北海道を好きになってしまった。

この、自分でも上手く表現できない心の内を。
もうここから離れたくないと叫ぶ気持ちを。

美しい文章にしてくれた本と出会えて嬉しいです。

きっと北海道に魅せられるってこういうこと。

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