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「疾患」と「疾病」の違いとは?

医療・介護の現場に限りませんが,
「〇〇は病気じゃない」
「〇〇だけど病人ではない」
「これは〇〇の病です」
などの発言を目にすることがあります。

では,そのような発言を「疾患(disease)」「病い(illness)」という二つのキーワードを用いて整理してみたと思います。

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『疾患』とは・・・

細胞・組織・器官レベルでの失調の現れを指します。
つまり,心身の病理的変化のことで,エビデンス(客観的なデータ)で現すものです。

『病い』とは・・・

能力や喪失や機能不全をめぐる人間的経験を指します。
つまり,その人自身の物語のことで,ナラティブ(その人の主観)で現すものです。

以上を踏まえて考えると,診断名がついてる以上は疾患にかかっています。
しかし,それをどう捉えるかは各々で異なります。疾患にかかっていても病いを経験していない人はいますし,逆に疾患にかかっていないのに病いを経験している人もいます。
また,病いの経験はその人の物語なので生きていく中で変化することもあります。ただ,診断そのものを否定し続けたり,病識が全くなかったりすると,それはまた別の問題(精神症状,高次脳機能障害など)も含まれるかと思います。
支援者としては,病い経験との関わりにおいて疾患を捉えてケアをしていきたいものですね。

【参考文献】
・榊原哲也(著):医療ケアを問い直す.ちくま新書

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