「誰も青春には戻れない」アーチェリー部の恋の弓矢は刺さるか:#内緒のお話
恋のキューピット(死語?)という表現があるけれど、もしキューピットたちが恋をするなら、お互いの胸に矢を刺し合うんだろうか。
僕の学生時代は恋だらけだった。4歳ごろから好きな子は変わるがわる常にいて「今日は2回話せたから満足!」とか「明日はこの話題で声をかけてみよう」とか寝る前に作戦を立てては、チキって話しかけられなかったり。席替えで隣になったときは「やっぱり運命なんだ…」と有頂点になった。そんな些細なことで心が乱高下する青春。取り戻したい大人ほど読んで欲しい。
アーチェリー部の彼女の内緒のお話。
初恋。高校1年生のアーチェリー部の彼女は同じアーチェリー部の彼に恋をしていた。二人は小中高と一緒で仲が良く、もはや両思いなのでは?という甘い予感が漂う中で「バレンタインのチョコ、渡してもいい?」と彼女はLINEでジャブを打つ。しかし、彼には答えをはぐらかされ、その日から何故かそっけない態度をとられてしまう。「この男心は一体何なんだろう…私はいったいどうすればいいの…?」という相談。矢を放つ瞬間、全てが完璧に思えた。しかしその想いは空回りし、虚しくも宙へと消えてしまった。
2つの作戦
彼の心は彼にしかわからない。真面目で、部活に熱心なことから「今は恋愛のことを考えられない」とか、逆に、友達だと思っていたけど今回の件で「意識する」ように好転したかもしれない。わからないことを悩んでも仕方がない、今できる最善策を。僕は魂をタイムリープさせ、高校生の頃の自分と相談しながら作戦を考えた。やることは二つ。「①逃した魚はでかいよ作戦」と「②一緒に勉強プロジェクト」だ。簡単に以下概略。
誰も青春には戻れない。
爽やかな作戦を組み立てたつもり、だが、どこか現実的で青春特有の荒っぽさがないことがひどく寂しい。毎日ワクワクしていれば「一生、青春」と言う大人もいるけど、僕はそう思わない。初めて人を好きになったり、初めて感動したり、突き動かされたり、悔しくなったり。貴重な一度きりの人生の春。青春に延長戦はないからこそ、10代に感じた出来事が、あとの人生に色濃く残る。とくに初恋は、紛れもなく一生で一度しかない。
ただ、今回彼女と話をして「人を好きになることに馴れていない頃の自分」を思い出せた。どこかに置いてきたはずの10代の自分は、探せばちゃんとポケットの中にしわくちゃになって見つかる。あの頃のままの、真っさらな自分には戻れないけれど、それは逆に時間を掛け、一歩ずつ生きてきた証でもある。
もうすぐ春ですね。
心地よい風が吹き抜けていくように、彼女が放つ次の矢が、彼の心を射抜くこと願って。
※本記事はご本人の許可を得て投稿しています。
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