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バイノーラル・ビート瞑想は不安の軽減に繋がるか?

▼ 文献情報 と 抄録和訳

不安症状に対するバイノーラル・ビート瞑想技術の有効性-パイロットスタディ

Yusim A, Grigaitis J. Efficacy of Binaural Beat Meditation Technology for Treating Anxiety Symptoms: A Pilot Study. J Nerv Ment Dis. 2020 Feb;208(2):155-160.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

✅ 結論
精神科+バイノーラルビート瞑想が、不安症の治療に有効である

[目的]
本研究の目的は、精神科外来患者と非患者の両方において、不安症状の治療のための新しいバイノーラルビート瞑想技術の有効性を検討することであった。

[方法]
不安障害を持つ20人の精神科外来患者と、8人の癒し系の職業の人(非患者)に、2週間から2カ月の間、この瞑想技術を使用する機会を与えた。研究期間中、すべての参加者を対象に、State-Trait Anxiety Inventoryのスコアを測定した。研究に参加した20人の外来患者のうち、9人が計画通りに瞑想を使用したのに対し、11人はさまざまな理由(ダウンロードできなかった、忘れてしまった、時間がなかったなど)で使用しなかった。その結果、精神科+瞑想(n=8)、精神科のみ(n=10)、瞑想のみ(n=8)の3つの治療グループが形成された。

[結果]
精神科+瞑想群
状態不安が13.5ポイント(26.5%)減少(t=5.28,p=0.001)
形質不安が14.1ポイント(24.7%)減少(t=-5.12,p=0.001)
総合不安が27.6ポイント(25.6%)減少(t=7.63,p≦0.001)
精神科のみ
状態不安が4.2ポイント(8.4%)減少(t = -2.20, p = 0.05)
総合不安が7.0ポイント(6.9%)減少(t = -2.61, p = 0.02)
瞑想のみ
特性不安が3.5ポイント(9.8%)減少(t = -2.47, p = 0.04)
社会人口統計学的因子、投薬、治療関連変数をコントロールした重回帰分析では、不安の統計的に有意な改善が見られたのは、精神科+瞑想群で不安の合計スコアのみであった(p<0.01)。

[結論]
これらの知見は、精神科/心理療法の実践において、この瞑想技術を使用することで、自己申告による不安の測定にプラスの効果を示す可能性を示唆している。しかし、今回の結果を確認するためには、より大規模な無作為化プラセボ対照試験が必要である。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

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✅バイノーラルビートとは、以下の記事をご参照頂きたい。

バイノーラルビート瞑想とは、その名の通り、バイノーラルビートを聞きながら瞑想をすることだろう。良いなと思った点は、瞑想の敷居が下がるといったところだ。瞑想未経験者に、「瞑想して下さい!」と伝えたときの抵抗感はきっと甚だしいだろう。しかし、「この音楽を聴きながら、数分何も考えずリラックスしていてください」と伝えた場合は、どうだろう。少しは抵抗感が減るのではないだろうか。

入院患者でも不安感を訴えるケースは多い。というか、ほぼ全員が、何かしら不安を感じているだろう。その不安感に対して、バイノーラルビートを聴くことを勧めることは、一つの有効な手段かもしれない。

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