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24時間の睡眠遮断後の中等度運動➡認知機能の低下が回復

▼ 文献情報 と 抄録和訳

中強度の急性運動は24時間の睡眠不足による認知機能低下と脳酸素化を改善するー近赤外分光法を用いた研究

S Kojima, T Abe, S Morishita, et al.: Acute moderate-intensity exercise improves 24-h sleep deprivation-induced cognitive decline and cerebral oxygenation: A near-infrared spectroscopy study. Respir Physiol Neurobiol. 2020 Mar;274:103354.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[目的・仮説] 我々は、24時間の急性睡眠遮断(SD)によって引き起こされる認知能力の低下を改善するための中強度の運動の効果を評価した。我々は、運動の効果は、背外側前頭前野(DLPFC)の酸素化(近赤外分光法を用いて測定)の増加によって媒介されるという仮説を立てた。

[方法] 健康な成人12名(男性8名、21.1±0.3歳)を対象に、運動前と運動後の反応時間とStroop色・単語テストの干渉スコアを用いて、認知機能を測定した。認知スコアは、安静時覚醒(RW)と24時間SDの2つの条件で比較した。運動は、60%VO2peakの強度で20分間のエルゴメーターサイクリングを行った。

[結果] DLPFCの酸素化量は、運動開始後12分でベースラインと比較して増加し、RWとSDの両条件で運動終了まで維持された(P < 0.01)。RTの変化は眠気と相関があり(P < 0.05)、干渉スコアと酸素化には相関がなかった。

[結論] 以上のことから、中強度の運動はSDによる認知機能の低下を回復させることがわかった。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

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ポイント
1日の徹夜で生じる認知機能の低下は、中等度の運動で改善可能。

面白いと感じた理由
✓慢性的な睡眠不足による認知機能の低下も、運動によってある程度改善は可能なのか、気になる
✓運動によってDLPFCの酸素化量を図ることは、認知機能の低下を認める症例に対して、その認知機能の低下が可逆的であるかどうかの判断となるかもしれない

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話は少し逸れるが、脳機能に関しては以下の記事が分かりやすい。

『運動と脳』このキーワードは、いつまでも興味が尽きない。

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