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硬めのインソール➡速く歩くときの効率⤴

▼ 文献情報 と 抄録和訳

速歩のエネルギーコストを削減するために、人間の足首と足のシステムを強化する

SF Ray, KZ Takahashi: Gearing Up the Human Ankle-Foot System to Reduce Energy Cost of Fast Walking. Sci Rep. 2020;10(1):8793.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed(Full text), Google Scholar

[背景] 人間の足関節システムは、移動中に動的にギアリング(足関節を地面に押し付ける力)を変化させる。足首のギアリングを変化させることで、足底屈筋(ふくらはぎの筋肉)の収縮速度が調節され、力の生産性に影響を与える。ここでは、硬い靴を履いて足首のギアリングを操作することで、足底屈筋の力-速度操作が変化し、全身のエネルギーコストに影響を与えるという仮説を検証した。

[方法] 本研究では、in vivo超音波イメージングを用いて、3つの歩行速度(1.25,1.75,2.0m/s)と3段階の足の硬さにおける筋群の収縮力学と全身のエネルギー消費を分析した。

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実験設定:若年成人15名(男性12名、女性3名、平均±SD年齢23±2.1歳、身長176±7.3cm、体重76.4±12.4kg)が、3つの歩行速度と3つの足の硬さの条件を合計9回組み合わせて歩行した。運動学的測定、キネティックデータ、左脚の筋活性化、右脚のヒラメ筋の超音波筋画像を1回のセッションで記録し、代謝ガス測定(間接熱量測定)は別の研究会場で記録した。

[結果] 硬いインソールは、地面に対する足のレバレッジを増加させ(p < 0.001)、背屈可動域を増加させた(p < 0.001)。さらに、硬いインソールは、主要な足底屈筋(ヒラメ筋)の平均力出力を15.9%増加させ(p < 0.001)、筋節の収縮速度を19.3%低下させた(p = 0.002)ことから、力-速度の動作領域が変化したことがわかった。代謝面では、最も硬いインソールは、通常の歩行速度(1.25m/s、p=0.026)ではエネルギーコストを9.6%増加させたが、速い速度(2.0m/s、p=0.040)ではエネルギーコストを7.1%減少させた。

[結論] 硬いインソールは,人間の足にはない余分なギアを加え,特定の運動課題における筋力パフォーマンスを向上させることができるようだ。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

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ポイント
硬いインソールは、通常歩行時のエネルギーコストを増加させ、速歩時のエネルギーコストを減少させる

面白いと感じた理由
対象者が、”どのような歩行”を目的とするかによって、インソール・靴の”硬さ”を調整する必要があると感じた。

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理学療法士として、”靴”にはこだわっていきたい。歩行練習時はスリッパなどではなく、運動靴で行うことはもちろん、足長・ウィズを確認し、サイズの合った靴であるかを確認することが重要だ。そこに、”硬さ”という視点も加えることができれば、さらにもう一歩、よりよい医療を提供できるだろう。

更に以下の記事を読むと、”靴下”という視点も加えることができそうだ。

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最後まで読んで頂きありがとうございます。今日も一歩ずつ、進んでいきましょう。

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