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子供と青年の機能的運動の評価

▼ 文献情報 と 抄録和訳

子供と青年の機能的運動の評価。システマティックレビューとメタアナリシス

O'Brien W, Khodaverdi Z, Bolger L, Tarantino G, Philpott C, Neville RD. The Assessment of Functional Movement in Children and Adolescents: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Med. 2021 Sep 15. 11.1

[ハイパーリンク] DOI, PubMed(Full text), Google Scholar

✅ 結論
FMS™のスコアに性差や年齢差がある可能性がある。また、BMIと機能的動作能力の間には明確な負の関係があることもわかった。発達の過程や、成熟期の経過がFMS™の能力に及ぼす影響をより深く理解するためには、より長期的な研究が必要である。

[背景]
Functional Movement Screen™(FMS™)は、人間の動作を評価するもので、健康な人が傷害を負う可能性のある潜在的な障害を示す可能性がある。FMS™のスコアは、スポーツ選手と成人の両方のサンプルでよく報告されている。しかし,これまでに,学齢期の子どもと青年のFMS™データに関する包括的なシステマティックレビューとメタアナリシスはなかった。

[目的]
我々の目的は、子供と青年の機能的動作能力、特にFMS™を用いて評価した場合の機能的動作能力を系統的にレビューし、分析することで、この集団グループにおけるFMS™の初期基準値を確立し、さらに男女間、学校レベル別(すなわち、小学校レベルと中学校レベルの子供と青年の間)、子供と青年の体格指数(BMI)の違いに基づく機能的動作能力の差を推定することである。

[方法]
PRISMA(Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses)ガイドラインに基づき,8つのデータベース(MEDLINE,SPORTDiscus,CINAHL,Web of Science,EMBASE,ERIC,PsychINFO,PubMed)の検索から,2020年12月までの期間で,日付制限なしに前向き研究を抽出した。プライマリーメタアナリシスでは、公表されている研究を対象に、学齢期の子どもと青年のFMS™スコア全体を推定した。さらに、3つのサブグループメタアナリシスでは、FMS™データと学校レベル、性別、BMIとの比較を公表研究で推定しました。FMS™データは、R Studioで利用可能な複数の異なるメタパッケージ(Schwarzer et al.in Meta-Analysis with R, 1st ed, Springer International Publishing, Berlin, 2015)を用いてメタ解析を行った。

[結果]
合計19件の論文がシステマティックレビューに含まれた。メタ解析の結果、加重FMS™平均スコアは14.06、標準化タウ値は0.56であり、研究間のFMS™平均値のばらつきが中程度から大きいことを示していました。男性(加重FMS™平均13.91)と女性(加重FMS™平均14.56)のサンプル間のFMS™平均値の差は、小さな効果量(標準化平均差-0.27)の可能性に適合していた。研究間のFMS™平均値のばらつきは、中高生のサンプルでは約5倍であった(タウ値の因子差5.16)。最終的なメタ回帰では、BMIとFMS™スコアの間に負の相関が確認され(r = - 0.42)、健康体重と過体重の児童・生徒の間でFMS™スコアに中程度から大きな差があることが示された。

[結論]
このシステマティックレビューとメタアナリシスは、子供と青年のグループから公表されたFMS™データを統合した、新規かつ重要なものである。この研究では、FMS™のスコアに性差や年齢差がある可能性が指摘されており、また、BMIと機能的動作能力の間には明確な負の関係があることもわかった。発達の過程や、成熟期のマイルストーンがFMS™の能力に及ぼす影響をより深く理解するためには、より長期的な研究が必要である。また、機能的動作不全に陥りやすい「アットリスク」グループにおいて、機能的動作能力を向上させることができる介入の種類を特定し、身体組成の変化がこれらの介入とFMS™スコアの向上との関係を媒介するかどうかを明らかにするために、さらなる研究が必要である。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

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✅予防理学療法の視点に立つと、こうした研究は今後さらに必要になってくることは間違いない。また、”子供”と一括りにするのではなく、その中でも性差・年齢・体重なども考慮して、取り組んでいく必要があるだろう。

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