見出し画像

【英論抄読】評価基準の事前知識によって結果が向上する

▼ 文献情報 と 抄録和訳

ユースサッカー選手における評定基準の事前知識は機能的動作スクリーンの得点を増加させる

Bryson A, Arthur R, Easton C. Prior Knowledge of the Grading Criteria Increases Functional Movement Screen Scores in Youth Soccer Players. J Strength Cond Res. 2021 Mar 1;35(3):762-768.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[目的]
我々は、Functional Movement Screen(FMS)の採点基準への親しみが、エリートユースサッカー選手におけるアウトカムスコアに影響を与えるかどうかを明らかにしようとした。

[方法]
訓練された男子ユースサッカー選手32名(17±1歳)が無作為化対照試験に参加した。被験者は、均等な大きさの対照群と実験群に無作為に振り分けられ、それぞれ2回に分けてFMSを実施した。実験グループの被験者には、1回目と2回目の画面の間にFMSの採点基準が提示された。時間同期されたビデオ映像は、標準化された基準でFMSを採点するために使用された。その後、実験グループの一部の被験者(n=4)に対して構造化面接を実施し、アスリートのFMSに対する認識を明らかにした。

[結果]
実験群では、対照群に比べ、1画面目から2画面目にかけてFMSの総合得点が大きく上昇した(Δ2.0 ± 1.0, p < 0.001, d = 1.3).FMSの構成要素であるディープスクワット、ハードルステップ、回転安定性テストのスコアは、いずれも実験群で対照群に比べ上昇した(p<0.05)。インタビューデータの主題分析から、実験グループの被験者は、FMSにおける良いテクニックと悪いテクニックの間の理解を向上させたことが示唆された。

[結論]
これらの結果は、FMSの得点が採点基準に対する意識に影響されるという考え方を支持するものである。その結果、FMSはユースサッカー選手の傷害を客観的に予測するのには適さない可能性がある。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

○●━━━━━━━━━━━・・・‥ ‥ ‥ ‥

この結果は、当たり前のようで、かなり重要な示唆に富んでいると思われる。
今回はFMSという評価バッテリーに間して、採点基準に対する意識による影響を検討しているが、もっと身近な ー例えばBBSー などでは、どうであろうか。どんな検査であろうと、事前知識の影響は十分に考慮されるべきだ。その評価バッテリーが適切か、適切でないかを判断する前に、評価される側の事前知識の程度や認知機能の程度を考慮していく必要があるだろう。
また、今回は対象がサッカー選手であるため、身体機能の高さも影響しているかもしれない。

○●━━━━━━━━━━━・・・‥ ‥ ‥ ‥

良質なリハ医学関連・英論文抄読『アリ:ARI』
こちらから♪
↓↓↓

#理学療法 #臨床研究 #研究 #リハビリテーション #論文 #英論文 #文献抄読 #英文抄読 #エビデンス #ARI #ミントライム

○●━━━━━━━━━━━・・・‥ ‥ ‥ ‥

本マガジンを始めた経緯や活用方法はこちら
↓↓↓

医療従事者と研究活動における道徳感についても記事にしていますので良かったら読んで頂けると嬉しいです。

最後まで読んで頂きありがとうございます。今日も一歩ずつ、進んでいきましょう。

○●━━━━━━━━━━━・・・‥ ‥ ‥

少しでも参考になりましたら、サポートして頂ければ幸いです。