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運動イメージと行動観察の組み合わせで効果UP

▼ 文献情報 と 抄録和訳

運動イメージの鮮明さは、運動イメージと行動観察を組み合わせたときの皮質脊髄の興奮性と相関する

Moriuchi T, Nakashima A, Nakamura J, Anan K, Nishi K, Matsuo T, Hasegawa T, Mitsunaga W, Iso N, Higashi T. The Vividness of Motor Imagery Is Correlated With Corticospinal Excitability During Combined Motor Imagery and Action Observation. Front Hum Neurosci. 2020 Sep 4;14:581652.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed(Full text), Google Scholar

[目的]
本研究では、運動イメージ(MI)の評価(能力と質)と、MIと行動観察(AO;MI+AO)を組み合わせた際の神経生理学的評価(経頭蓋磁気刺激(TMS)誘発運動誘発電位(MEP))との関係を調べることを目的とした。

[方法]
16名の被験者は、両手でピアノを演奏するMIタスク(※後述)を完了し、MIタスク中に神経生理学的評価を行った。MI能力の評価にはMovement Imagery Questionnaire-Revisedを、MIの質の評価にはvisual analogue scale(VAS)を用いた。MIタスク中にTMSパルスを送信し、その後,母指球外転筋(APB)でMEPを記録した。

※MIタスク
MI課題では、両手でピアノを弾くことを行った。被験者は、図1に示す楽譜を用いてピアノを演奏した(図2は、ピアノの鍵盤上の音符を示す)。今回の実験では、特定のタイミングで刺激を誘発し、TMSとMIのタイミングを合わせるために、映像を見ながら運動イメージを練習する方法を採用した。刺激となる映像は,モデルがピアノを両手で弾く様子を一人称視点で撮影したものである。

図1
図2

[結果]
VASスコアとTMSによるMEPsの間には有意な正の相関が認められた(ρ=0.497,p<0.001)。

[結論]
これらの結果から、VASスコアは、特に複雑なMI課題において、MI+AO時の皮質脊髄の興奮性を反映している可能性が示唆された。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

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✅運動イメージを臨床応用する際、患者さんに「これから運動イメージしてください」といっても、なかなか難しいだろう。だが、「この映像を見ながら、自分がこの動作を行っているかのようにイメージしてください」といったバーバルコマンドであれば、臨床にも取り入れやすい。また、運動イメージの質の評価として、VASを用いていることも臨床的で面白い。

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