書籍「月の満ち欠け」
佐藤正午さんの「月の満ち欠け」を読みました。
一言で言うと生まれ変わりのお話!
最近の韓国ドラマみたいなファンタジーを感じました。
登場人物が多過ぎて、あらすじ書くのがめちゃくちゃ難しい話なんですが、私なりのあらすじは下記の通り。
あらすじ
三角アキヒコは、ある日バイト先のレンタルビデオ店で不思議な年上の女性、正木瑠璃に出会う。
2人は束の間の恋をするが、しばらくして瑠璃は事故で亡くなってしまう。
そこから、三角に会いたいと願う瑠璃の魂が彼女を何度も転生させ、何人もの「るり」がこの世で命を繋いでいく。
…うん、こんな感じです(軽)
感想まとめてみました!
① 正木瑠璃とアキヒコの会話が興味深い
表面的な日常会話ではなく、内面的なことや感情そのもの、ふとした疑問についての話が面白い!
私も、人とこういう話がしたいといつも思ってるのでわくわくして読めました。
例えば、
ソクラテスの弟子がプラトンだけど、なんとなくプラトンのほうが先生っぽくて混乱する話、
高校時代の先生が教えてくれた与謝野晶子の短歌が記憶に残っていて今でも書けるけど、意味はいまだに分からない話、
よく知ってる漢字が、ふと見慣れない漢字に見えたり思い出せなくなったりして、自分の現実の感覚に自信を持てなくなる話、
などです。
語り合ってもしかたない、でも誰かと語り合いたい話って、ありますよね。
個人的にはこのあたりがこの本の一番グッときた箇所でした。
② 転生を繰り返すほどアキヒコ好きだったという描写に欠ける
この正木瑠璃が、そのあと何回も別の女の子として生まれ変わって、アキヒコに会いに行くことを試みるわけなんですが、
なんでそんな好きなん?←
瑠璃の夫は瑠璃を大事にしてないしまあまあ最低なので若い大学生と浮気してしまう、それは十分人理解できるんですが、
そこまで深く愛したという確信が読者に与えられないまま転生を繰り返すんで、いやめっちゃ気持ち強いやん、となります。
③ 瑠璃の魅力がいまいち伝わらない
アキヒコにとって年上の瑠璃が人生初の恋、ということになり、
どんどん惹かれてハマっていくわけですが、
瑠璃の魅力どこ?
美人という描写はその後の夫の視点からの話では出てくるんですが、
レンタルビデオ店で初めて見た時のアキヒコの感想では、ドキドキしたとか可愛いとかそういう類のものではなかったんです。
年齢不詳とか、
大雨の日にびしょびしょで突っ立って何してんねやろこの人、みたいな感じだったので、
どこでそんな惹かれたんかいまいちピンときません。
④ 登場人物多すぎて相関図わけわからんくなる
物語の主軸はこの瑠璃とアキヒコなんですが、はじまりは転生した別の瑠璃の父親視点からスタートするので、最初は転生の話とは知らずに読んでました。
そっからもう何人も瑠璃が出てくるし、
それぞれの瑠璃の父親、母親、
なんなら親戚みたいなようわからん関係者もちらほら出てきて途中白旗を上げそうになりました。
三角典子?荒谷清美?だれ?
てな具合です。
でも最後まで読んで、なんとなく全体が見えて、誰が誰なのかわかりました(多分)
以上、やや辛口となってしまいました。
現実に転生を織り込んでくる真面目な小説は意外とめずらしい気がするので、一読の価値ありです。
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