【赤ちゃんのジタバタが重要】感覚運動ワンダリングが発達を育むぞ

赤ちゃんが初めて見る世界はおそらく、天井であって自分の力では首を回す程度でしかないから、横の壁くらいしか見られていない。そのうち身体をよじって、動けるようになるのだけれど、そこまでの軌跡はどうなっているのかはよく知らない人の方が多いだろう。

赤ちゃんは手足をばたつかせて、ばたつかせて、とにかく動く。その動きはそのうち規則的に変わっていき、やがて手足のどこかで床を押すようになる。床を押せると、身体を揺さぶることが出来る。身体を揺さぶれたら、胴体を傾けさせることが出来る。

でたらめに動きながら、少しずつ最適な動きを見つけていく。赤ちゃんは動きの中で、でたらめの中からあたりを探っている。そうやって、身体をうつ伏せにできたら、ハイハイをおぼえて、やがて立ち上がる。

で、おれたちは歩けるようになったわけ。


東京大学、情報理工学駅研究科知能機械情報学専攻の研究グループは、赤ちゃんの動きの観察から筋肉の活動や感覚を推定し、それらの間で生じている情報の流れを詳細に解析することで、発達初期の自発運動が持つ意味を探った結果、一見無意味のような自発運動の背景に複数の筋肉の感覚や運動のモジュールが生まれていることや、モジュール間の情報が流れ時々刻々と移り変わる「感覚運動ワンダリング」が存在することを発見した。

人がほとんど意識すること無く、複雑な運動を自由に行えている背景には感覚や運動に関する機能的もジュルーが必要と考えられており、赤ちゃんはこちらが考えているよりも、身体を動かすことでもっと早くから準備をしているかもしれないとのこと。

この研究は、ヒトの新生児12名および乳児10名の自発運動を対象に詳細なモーションキャプチャを行い、全身12関節の関節運動を計測した。計測した関節運動データに筋骨格のモデルを組み合わせることで、全身の骨格筋の筋活動および固有感覚を推定した。

新生児グループと乳児グループでモジュールペア間の情報伝達速度を比較したところ、巨視的には身体構造に依存する形で類似していることがわかった。さらに、乳児グループでは感覚由来の情報伝達が少なくて、運動由来の情報伝達が多いことがわかった。

感覚運動ワンダリングのように、一見意味が無いような自発運動が、感覚運動に関する時間的および空間的パターンを獲得していることが示唆された。これが、発達心理学や神経科学、ロボット工学などの観点から脳をはじめとする神経システムの成熟だけでなく、外界や自己の身体を含めた相互作用と反復が重要であるという。

無意味に見えることでも、動くこと自体が情報として受け止めているのが神経であって脳の特性なのかね。結果を見ずに過程においても連続的に情報を得ている。これは、あるいみ人生においても何かをする時も、その過程もまた代えがたい記憶になるのだろう。

ともかく、赤ちゃんは動いているのをじっと見ているだけでいい。観てて、あきないよね、あれ。

#日本の研究

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?