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構文の五階層による言霊のデザイン vol.07

監修:大野靖志 / 執筆:寺内輝治

前回は、特定の相手がおらず、漠然と「早く結婚したい」という願望をもつ人のケースでした。

今回は、「職場に好意を寄せる男性がいるのに、アプローチする勇気がない。でも、どうしてもこの恋を実らせたい」という、より具体的な願望をもつ女性のケースを見ていきましょう。

恋愛は私たちが体験する人生のイベントのなかでも、もっとも主観的で、思い通りにならないことのひとつといえます。こういうときこそ、構文の五階層が自分の客観視に役立ちます。すぐ一歩先に広がる未来を、固定化された自分の思考・情念で覆い隠して見えなくしていることに驚くことでしょう。

◎一人称構文

彼のことが好きでたまらない。付き合いたいが、自分から告白する勇気がない。どうにかして彼の方から振り向かせることができないか。


◎他人称構文

彼は私に特別な感情を持ってはいないだろう。そして、たぶん私の好意にも気づいていないはずだ。ただ、私のことを悪くは思っていないだろう。


◎複合一人称構文

同じ職場の仲間にこのように一方的な恋心を抱いているのは良いことではないかもしれない。仕事にも身が入らないし、恋い焦がれるばかりで自分自身もつらい。


◎優先構文

もし、これがテレビドラマならつまらない話だと思う。告白しないまま機会を逃し、一生後悔する愚かな女の物語といったところだろうか。
それに、私が彼の立場なら、告白されたとしても、それが原因で私のことを嫌いにはならないだろう。
やはり、勇気を出して告白すべきではないか。


◎自在構文

告白して振られるのと、告白しないで別れ別れになるのとでは、死ぬときにどちらが後悔しないだろうか。その視点に立つと、振られて傷つくことなど小さなことに思える。
それよりも、告白していれば得られたかもしれないものを、最初から諦めたことのほうが後悔は大きいはずだ。


いかがでしょうか。

「例題では簡単に感情を整理しているけど、いざ自分で書いてみると、文字にはできても、自分の思いを整理することなんてできない!」

という読者の皆さんの声が聞こえてきそうです。恋愛の悩みについては、なおさらそうでしょう。

実は、構文の五階層をうまく書けるかどうかは、『リフレーミング』という心理療法の考え方をうまく活用できるかどうかにかかっています。

リフレーミングでは、物事をある枠組み(フレーム)で捉えている状態でそれを取り外し、それまでと違う新しい枠組みで改めて状況を捉えなおすことを指します。

次回は、このリフレーミングについて詳しくお伝えします。これまでの例題をリフレーミングを通して見直すことで、構文の五階層をより深く理解していただけることでしょう。

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【寺内輝治のプロフィール】
Parole編集員。
中学2年生まで友だちとラケットベースボールやパソコンゲームに熱中する元気な子どもだったが、ある日、教室で奇妙な白昼夢を見て以来、「何のために生きているのか」を自分に問うようになる。
大学時代、周囲と同じように就職活動をすることに強い抵抗を感じ、翻訳で生計を立てるべく専門学校で学ぶ。
しかし、一度社会で揉まれる必要性を感じ、セールスプロモーションの会社に就職。イベントや展示会の企画運営、印刷物やWEBサイトの制作などに10年間携わる。
ホメオパシーに出会い、その魅力に取り憑かれてホメオパシー関連の会社に就職。タマネギの皮がむけていくような内面の変化を体験する(周囲から変わったと指摘される)。
その後、フリーランスとしてデザインや翻訳などをこなすなかで、「何のために生きているのか」という問いが爆発しそうになっていたとき、七沢研究所と出会い、その答えを見いだす。
2018年に京都から甲府に引っ越し、心身ともに健やかな毎日を過ごしている。


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