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on the road to eclipse #06 『Flagstaff』 by 熊谷義朋(写真家)

車はキングマンを立ってまた東へと進み、
その日の目的地、フラグスタッフに着いた。

フラグスタッフはアリゾナの州都、
フェニックスの北側にある街だ。
次の日は朝からモニュメントバレーに立ち寄る予定で、
僕らはこの街で一泊することにした。

遅くまでキングマンにいたため、
フラグスタッフのモーテルに着いたのは夜の10時前だった。
車を停めて少し身体を伸ばしてドアを開けると、
思いがけない冷気が身体をすり抜けていった。
冬の刺すような寒さだ。

携帯を開いて確認してみると、
最低気温 −2℃ と表示がある。
アリゾナでそんな寒さになるなんて、みな予想してなく、
シャツ一枚の服装で来ていた。

驚いて、よくよく調べてみると、
この街は標高 2,000m あるようだ。

寒さでテンションが上がって、
凍えながらチェックインして、2階の部屋に通される。
食事がまだだったので、僕たちはそのまますぐ出かけることにした。

ダウンタウンに車で向かう。
10分ほど走らせるとと、
明らかに賑わったエリアに到着した。
思いの外雰囲気がいい。

MonteVista というホテルの1階のバーに入る。
しばらく飲んでると、隣の男性2人組と話しかけられる。
話を聞くと、近くの大学の学生のようだ。
ダウンタウンに来る途中、
確かに何か大学のような建物の近く通ったことを思い出す。

一人は音楽活動をしているらしく、
作った音楽を SNS で発表していて聞かせてくれた。

また1人はアリゾナから進学でフラグスタッフに来ているらしい。
ここは田舎でとても寒いけどいい街だと教えてくれる。

なんでもないが、
久しぶりのゆっくりとした時間だった。

僕らはしばらく街をうろうろした青、
ピザをテイクアウトしてホテルに戻って、
少し話をして寝た。

次の日、ホテルのドアを開けると
あたり一面静寂があって真っ白だった。
雪が落ち着いたら、
モニュメントバレーに向かう予定だ。

熊谷義朋(くまがいよしとも)
1982年 福岡県生まれ
2011年 独立
2016年3月 個展 "SOIL" @ APART GALLERY & LIBRARY
https://www.kumagaiyoshitomo.com
https://www.instagram.com/kumagaiyoshitomo


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