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ひとりと1匹。-プチエッセイ-

 過去イチ日常の話になりそう。どうも、コーシです。

 私は一人っ子だ。故に1人に慣れているし、独り言が誰の耳にも届かないことにも慣れている。ただ、1人だけ、いや1匹だけ、私の独り言を聞いてくれる生命体がいる。それが愛犬ポンタだ。

 普通、世間一般のイメージとして、犬は飼い主の帰宅を喜ぶ。昔おばあちゃんの家にクータというダックスフンドが居た。クークー鳴くからクータだった。素晴らしいネーミングセンスである。
 そいつは本当にたまにの私との再会を心から喜んでいた。尻尾を振り、玄関に足を踏み入れただけで一目散に私の元へ駆け寄ってきた。

 しかしうちのポンタはどうだろう。まず、振る尻尾がない。起きあがろうともしない。横目で私の帰宅を確認するのみである。しばらく私になけなしの休息の時間を与えるとすぐに散歩の催促をしてくる。嬉し鳴きを見た事がない。ご飯か散歩でしか吠えない
 一定のペースで吠える。ちょうど「千の風になって」くらいのテンポで吠える音階は「ラ」である少し前にポンタの吠え声でギターのチューニングを試みた事がある。少しできた。
 あまりにも吠えがうるさい時はそのテンポに合わせて「千の風になって」を歌うようにして、爆音によるストレス値の上昇をコントロールしている。

 散歩に関しても本当に力が強い。あっちへ行ったりこっちへ行ったり。私はいつか脱臼するだろう。なかなか帰りたがらない。帰りたい人間と帰りたくないフレンチブルドッグの攻防は今まで何人かを笑顔にしてきた。恥ずかしい。

 そして心底お風呂を嫌がる。さっきまでの威勢はどこへ行ったんだというほどだ。彼の中で散歩に行くことがお風呂に入ることの因果関係は理解されているのだろうか。とても気になる。
 彼は毎回、お風呂に対する嫌悪と散歩に対する欲望を天秤にかけた上で、「散歩に行きてぇ!!」と吠えているのだろうか。聞いてみたい。

 そんなポンタと叶えたい夢がある。それは1人と1匹で海に行くことである。割と山奥にいた時間が長いので、今までまだしっかりとした海を見た事がない。
 だから私が車を運転をして、海を見せてやりたいのだ。どうせ川と見分けがつかないだろうが。
こちらが勝手に坂本龍馬気分になりたいだけだ。この海の向こうにはまた別の国があることを、気圧の関係で飛行機に乗れない1匹のフレンチブドッグに教えてやりたい。多分いい経験だろ。

 ポンタが喋れるようになったら厄介だ。私の独り言をこの世で唯一、清聴している生命体である。だけど一回くらい喋ってみたい。

 きっと私にとって大きな理解者、いや、理解犬であることは間違いない。知らんけど。

これからも頼むぞ。

 コーシ しそとツナ缶。
 Instagram @kohhhhhshi.f (アート投稿中!)
 Twitter @kohhhhhshi_f

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