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俺、インドカレー屋の幻を見た説。-カレー屋さん日記#5-
マルチタスクができるようになりたい。どうも、コーシです。
用事があり、神保町に降り立った私。用事が早く終わった。さて、私の好きな時間である。自分勝手になれる時間だ。
かなり楽しみにしていた用事だったので早めに終わる名残惜しさを感じながらも、私は足取り軽やかに神保町を歩き出した。
東京の地理にはあまり精通していないが、神保町といえば神田である。
神田といえばカレーと本屋さんである。
カレーと本屋さんといえば私である。
御茶ノ水には来たことがあるが、感覚的には神田初上陸!
ワクワクドキドキが止まらん。
交差点。ピポピポ鳴る信号。この音は地元でしか聞かないと思ってたな。東京にもピポピポ信号なんてあったのか。そんなことを思いながら商店街に入る。流石にこの通りに一店舗くらいはカレー屋さんがあるだろう。
しかし予想に反し、先に見つかったのは本屋さん。カフェが併設されている本屋さんでとても雰囲気が良い。とりあえず入っちまおう。
本屋さんの匂い。この最初のひと吸いに1日の呼吸に充てる全集中力を使うほど、この匂いが好きだ。あてもなく本屋を徘徊し始めると、『神田カレー屋さん特集』の雑誌が目に飛び込んできた。そして同時に、腹がなった。
しまった。私の空腹は本屋さんに立ち寄る余裕などなかった。これはライフを一つ削る行為だった。一刻も早く、カレー屋さんを見つけなければ。。
急いで本屋さんを出て歩みを進める。しかし残念そこは商店街。誘惑まみれだ。
上天丼を二度見。
カツ丼を二度見。
油そばを二度見。
タコベルを三度見。
まずい、このままだとカレー屋さんにたどり着くメンタルすら尽きてしまう。
そしてさらにもう一つの誘惑。たくさんの本屋さん。興味と欲望が自分の中で常に対峙している。
「江戸時代の古書・古地図と浮世絵版画の専門店」が目に入る。これほど専門店という語彙を的確に使用できている店舗はなかなかない気がする。今日は閉まっていた。もし空いていたら私は空腹により、この店で意識を失ったことだろう。
当然私に”江戸時代の古書・古地図と浮世絵版画”に関する知見は無い。ただ、絶対に見ていられる自信はある。
他にも洋書や昔の雑誌など、あらゆる本の専門店が私を店内へ誘う。
成人向けの本専門店を四度見。
そして歩けば歩くほど、カレー屋さんではない飲食店も私を誘惑する。
やっと見つけたカレー屋さんには大行列。
焼肉食べ放題1000円を五度見。そこにもできていた大行列を六度見。
そうか、今日は土曜日だった。こんなに計画性もなくゆったりとランチを楽しもうとするなんて、私の考えが甘かった。バーガーキングの前に立ちながら思ってしまった。今日は、バーガーキングで満足するしかないか。
その時だった。ふと目をやった道の先に、インド国旗が光っていた。
あぁ。嗚呼。私は人生で何度、この色合いに助けられてきたのだろう。私は歩く。その道中のことはあまり覚えていない。ただ目に入った、インド国旗の方向に歩みを進めるしかなかった。
なので、先に言わせて頂くが、店名を覚えていない。そして写真を撮るのも忘れた。その上Googleでお店を調べても出てこない。故に何も記録がない。
ただ唯一記憶にあるのは、「南インド」と看板に書かれていたこと、私は「バターチキンカレー チーズナンターリー」を注文したということだ。
「ターリー」とはヒンディー語で「皿」を意味する言葉で、この場合は日本でいう「〜定食」的な使われ方なのだろう。
そんなことを調べ、考えていたら、ターリーが登場した。
見た目の全体像はあまり覚えていない。すぐに食べ始めたからだ。
バターチキンカレーには上にパクチーが乗っており、少し辛めのカレーの刺激と混ざって、素晴らしいいアクセントとなっていた。カレーの上にパクチー、これはMyカレーにも取り入れたい。チーズナンももちもちで食べ応えがある。美味い、美味すぎる。
この記事を呼んでくれた人に紹介できなのがもどかしい。情けない。
20分もせずに食べ終えた。大満足。このお店は砂漠の中のオアシスだ。このお店を見つけるのに時間を費やし過ぎてしまったため、今日は本屋さんによる時間は無くなってしまった。まぁ、いいや。今度リベンジしよう。
とはいえ微妙に時間があったのでスタバでコーヒーを飲む。そして気が付く、私はあの店の名前を知らない。検索しても出てこない。
あの店は、幻だったのだろうか。
(そんなわけありません。)
コーシ しそとツナ缶。
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