濫読

関心分野は読書、映画、美術など。

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最近の記事

映画感想 ゴダール『言葉の力』+ペドロ・コスタ『火の娘たち』特別上映

7月15日に下高井戸シネマで行われた、ジャン=リュック・ゴダール『言葉の力』とペドロ・コスタ『火の娘たち』の特別上映、およびペドロ・コスタ監督のトークショーへ行ってきた。 (実はこの二作品を見るのは二回目である。昨年の山形国際ドキュメンタリー映画祭でも一度鑑賞しているのだが、その時はまだいろいろと汲みきれなかったような気がして今回足を運んだというわけです。) 上映作品もトークの内容も非常に得るところが大きかったので備忘録を兼ねてnoteに記しておく。所感交えつつになります

    • 映画感想 『関心領域』 目を向け耳を傾け、考え続けなければいけない

      先週くらいに『関心領域』を観てきたんだけど、なかなかまとまった文章書く時間が取れず、やっと投稿。 以下ネタバレ含むのでこれから観るよ〜という方はご注意で。 場所はポーランド、アウシュヴィッツ収容所の隣で暮らす家族の風景を淡々と描く映画。 ホロコーストに関する本をそれなりに読んだことがあったので、ルドルフ・ヘスという名で「あぁ」となった。収容所所長を務めその管理や絶滅計画に携わったことは知っていたが、まさかこんな近くに住んでいたとは思わなかった。 タイトルになっている「関心

      • 今日は下高井戸シネマでゴダール『言葉の力』とペドロ・コスタ『火の娘たち』の特別上映+ペドロ・コスタ監督トークショー。後日感想ちゃんと上げたいです。 朝イチで整理券もらって、夕方まで書店など巡って時間をつぶす。 写真は今日買った本。 酒飲んで寝ます、おやすみ……

        • 濫読日記 中野〜高円寺本屋巡り

          こんばんは。今日は一日、本屋歩き。 午後は知人と高円寺で待ち合わせなので、その前に中野へ。 まずは中野の古本案内処へ。 店舗を本日で閉められてしまうということで、店内全品半額セールをしており、大量に購入してしまいました。絶版になってる新潮文庫のサガンがまとめて沢山手に入り、嬉しい。 今後はネットや催事販売を中心に事業を続けるとのことらしいです。素敵な本屋さんでしたので、また何かしらのタイミングで、お世話になりたいです……。 すでに本とDVD合わせて10冊くらい買ってしまい

        映画感想 ゴダール『言葉の力』+ペドロ・コスタ『火の娘たち』特別上映

        • 映画感想 『関心領域』 目を向け耳を傾け、考え続けなければいけない

        • 今日は下高井戸シネマでゴダール『言葉の力』とペドロ・コスタ『火の娘たち』の特別上映+ペドロ・コスタ監督トークショー。後日感想ちゃんと上げたいです。 朝イチで整理券もらって、夕方まで書店など巡って時間をつぶす。 写真は今日買った本。 酒飲んで寝ます、おやすみ……

        • 濫読日記 中野〜高円寺本屋巡り

          誌上で紹介されていたプレイリストを聴きながら『文學界』八月号を拾い読みする。豊永浩平のコラムが良い。中上健次の『異族』に触れながら、駆出し作家として東京と沖縄を行き来する最近の日々と、親族との会話、祖父の存在、自身の立ち位置などについて思いを巡らせている。うーん、好きな作家だ…。

          誌上で紹介されていたプレイリストを聴きながら『文學界』八月号を拾い読みする。豊永浩平のコラムが良い。中上健次の『異族』に触れながら、駆出し作家として東京と沖縄を行き来する最近の日々と、親族との会話、祖父の存在、自身の立ち位置などについて思いを巡らせている。うーん、好きな作家だ…。

          読書感想 カフカ『城』と書くこと、祈ること

          カフカ『城』を読み終えた。1ヶ月ほど前、カフカ没後100年で刊行された『カフカ断片集』を買ったのを機に、理解を深めようと思ったのだ。 そこで本記事は『城』の感想や評をメインに断片を交えながらカフカの世界への理解を試みる内容としたい。 断片集の帯いわく「断片が一番ヤバい」とのことで確かに短い文言に強烈に彼らしさが表れているのだが、それを超えるレベルで長編も断然凄いので、誰かが『城』『審判』などの長編を手に取るきっかけになったらなと思う。 『城』作品概要 1922年、結核のた

          読書感想 カフカ『城』と書くこと、祈ること

          きのう買った本。古本市で安いからと買いすぎてしまうが、まあ良し…

          きのう買った本。古本市で安いからと買いすぎてしまうが、まあ良し…

          映画感想 ヤン・シュヴァンクマイエル『ファウスト』の世界に迷い込む

          チェコの映像作家、ヤン・シュヴァンクマイエルの長編第2作『ファウスト』(1996)を観た。 ドイツのファウスト伝説を、ストップモーションアニメを用いて現代を舞台に翻案した映画だ。 都市風景や人間の生活に、人形や粘土が動き紛れ込む奇妙さが、不気味で惹きこまれる。 ストップモーションアニメの、現実を侵食するようなありえない不気味さが好きで、不思議の国の『アリス』(1988)よりは、こちらのプラハの街の『ファウスト』のほうが好みだった。 ただ、自分はあまり人形の呪術性みたいなも

          映画感想 ヤン・シュヴァンクマイエル『ファウスト』の世界に迷い込む

          読書感想 辻山良雄『しぶとい十人の本屋ーー生きる手ごたえのある仕事をする』

          こんにちは。 今月刊行された『しぶとい十人の本屋ーー生きる手ごたえのある仕事をする』を読みました。 荻窪で2016年から新刊書店「Title」を営む辻山良雄さんが、日本全国の"しぶとい"書店を巡り、自らの仕事について考えるなかで、その思いを綴った一冊。 「本が売れない時代」と言われる現代で、書店を自ら営む人びとは仕事に何を思うのか。 本に関わる仕事に限らず、日々の苦労や繰り返しのなかで働くことや生きることの意味を見失いそうになることは少なくない。 "しぶとい"とは、ちゃん

          読書感想 辻山良雄『しぶとい十人の本屋ーー生きる手ごたえのある仕事をする』

          きょうは桜桃忌なので、昨年訪れた『富嶽百景』の天下茶屋の写真でも。二階には太宰治記念館があります。

          きょうは桜桃忌なので、昨年訪れた『富嶽百景』の天下茶屋の写真でも。二階には太宰治記念館があります。

          読書感想 渡部千春『北欧デザインを知る ムーミンとモダニズム』に豊かさを考える

          こんばんは。 今日は渡部千春『北欧デザインを知る ムーミンとモダニズム』(2006年、NHK出版)を読みました。 20年近く前に出版された本ですが、当時訪れつつあった北欧ブームは一過性に終わらず、現在も人々の暮らしに浸透し、取り入れられ続けています。 人々を惹きつける北欧デザインの魅力はどこから来るのでしょうか。 北欧のライフスタイルやモダニズムの歴史といった複数の切り口から、その理由に迫る一冊です。 家具、家電、テーブルウェア、雑貨、日用品、建築、玩具、そして北欧を象徴

          読書感想 渡部千春『北欧デザインを知る ムーミンとモダニズム』に豊かさを考える

          読書感想 岡崎武志『女子の古本屋』店の数だけある人生

          こんばんは。きょうはちくま文庫から出ている『女子の古本屋』を読み終えました。 書評家の岡崎武志が古本屋を営む女性店主への取材を通して、お店の個性や店主の素顔、開業までのストーリーを紹介した一冊。 各地の個性的な面白い古本屋を知れるだけでなく、その数だけある人生にも触れられる、そんな本です。 大手百貨店、PR会社の仕事を辞めてデザイン性の高い国内外の紙ものを扱う、古書日月堂の佐藤さん、 大学卒業後、インターネットで暮らしや手芸の本を扱う海月書林(現・ひるのつき)を始めた、

          読書感想 岡崎武志『女子の古本屋』店の数だけある人生

          カフカ断片集。『城』を読んでいるのでそのうち感想を上げたい。

          カフカ断片集。『城』を読んでいるのでそのうち感想を上げたい。

          serial experiments lainを観ている。最早こういうのレトロフューチャーになりつつある感じが面白いなあ、

          serial experiments lainを観ている。最早こういうのレトロフューチャーになりつつある感じが面白いなあ、

          読書感想 群像新人文学賞受賞作 豊永浩平『月ぬ走いや、馬ぬ走い』

          こんばんは。 第67回群像新人文学賞を受賞、豊永浩平『月ぬ走いや、馬ぬ走い』、素晴らしい本当に。 めちゃくちゃ読んでほしいです。芥川賞とると思うので。少なくとも候補は間違いない。 以下紹介および感想。 戦時から現代までの沖縄のさまざまな人々の語りの交差から、沖縄の歴史のかたちと現在のすがたを描き出した群像劇。 日本の歴史のなかで周辺として位置付けられ、同化、分離、復帰を経て、つねに引き裂かれながら形作られてきた沖縄の自己像を、ベンヤミンの歴史の天使に重ね、〈語り〉という

          読書感想 群像新人文学賞受賞作 豊永浩平『月ぬ走いや、馬ぬ走い』

          読書感想 吉祥寺の古本屋「百年」の開業記 樽本樹廣『百年の一日』

          こんばんは。今日もお疲れさまです。 昨日買った『百年の一日』を読み終えました。 こちらは吉祥寺で2006年から古本屋「百年」を営む樽本さんの、開業当初の日々を綴った一冊になります。 先日読んだ辻本さんの『本屋、はじめました』が修行時代から開業準備まで詳しく書いた内容であるのに比べ、こっちは当時の心境などがメイン。 当時の日記と、それを読み返した現在の自分から一言、という構成である。 いま自分の人生について色々悩んでいるからかな、なんだか元気がもらえる内容だった。 思い切

          読書感想 吉祥寺の古本屋「百年」の開業記 樽本樹廣『百年の一日』