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みんなの魅力を発見し「プロデュース」!人の魅力を届けるため、YouTuberやECサイトを手がけるパパ経営者

「自分の得意なこととは、労力のわりに周りの人がありがたがってくれること」

という、任天堂の岩田前社長が生前に遺した言葉があります。


たくさんの人が、自分の「好き」や「得意」について考える、いまの時代。

「長所と短所は表裏一体」なんて言葉も聞きます。

とは言え、労力をかけていないからこそ自分では意識しにくかったり、やっぱり隣の芝は青く見えてしまったり...。


そんななか、今回登場していただいた株式会社イースマイリーの代表・矢澤 修(やざわ おさむ)さんは、「みんなと"えがお"をつくる」をビジョンに掲げ、絵本読み聞かせ動画の企画・配信や、障がい・難病当事者とご家族のための座談会・生活情報コミュニティの運営などを行っています。

また、保育園と小学校に通うお子様たちのパパでもあります。

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パパ経営者に、子育てと事業の両立について尋ねる、パパスマイルBLOGの連載企画。

対談相手は、日本で唯一のベビーテック専門メディア「Baby Tech」の運営や、育児系IT商品サービス総合コンサルティング事業などを行う、パパスマイル代表の永田です。6歳の娘さんの育児にも、奮闘の日々。

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事業でも子育てでも「その人が持っている魅力や得意なことをいかに引き出すか」というプロデュースが、大きなテーマだという矢澤さん。

「子育て・福祉」の領域に「プロデュース」の観点が加わると、一体どういった化学反応が起こるのでしょうか?

(インタビュアー:パパスマイルBLOG編集長 藤本けんたろう)


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矢澤 修さん。株式会社イースマイリー 代表取締役。1983年生まれ。大学では社会福祉学を専攻するも、福祉の道には進まず成長産業に身を置き、より広い視点を持ってビジネスを考えられるようにと、2006年にヤフー株式会社に入社。2008年に株式会社VOYAGE GROUPに転職してからは、在籍した7年半で5事業8サービスの立ち上げを手がける。2012年4月からは、ソーシャルメディアマーケティングを中心としたマーケティング支援の会社、株式会社ソーシャランドを設立し、代表取締役に就任。大手企業を中心に支援を拡大し、若干3名で年商2億円近い組織にまで育てる。 その後、10年以上思い続けてきた保育園をつくる夢と、昨今の保育における社会問題と子どもの子育てにおける課題を解決するべく、2016年3月2日に株式会社イースマイリーを創業。 子育てと福祉に革命を起こすべく奮闘中。


焦って迎えに行ったら「えっ、もう来たの!」

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藤本
まずは子育てと事業との両立について、ふだん子育てにはどれくらい時間を割いていますか?

矢澤
自分自身が子育てに関する事業をしているし、もともと子どもは大好きなので、子育てには積極的に参加しています。ただ、「イクメン」って言葉がありますけど、あれって子育ての良いところだけを切り取ってるじゃないですか。

最近「見えない家事が実はたくさんある」って話も聞きますけど、育児や家事を引っくるめて家のなかのことは、やっぱりぼくと妻とで五分五分にはなってない気がします。もちろん、ぼくも自分のできることは精一杯やってますが、やっぱり妻はそれ以上にぼくの知らないところで、いろんなことをやってくれてるんだろうなと思っています。

藤本
矢澤さんは具体的には、家庭ではどんなことをされてるんですか?

矢澤
例えば妻にゆっくりしてもらうために、土日にぼくが子どもを外に遊びに連れ出すことはありますね。あとは妻も働いていて、2~3日の宿泊も伴う仕事もあるので、その間はぼくがワンオペで子どもたちの面倒を見ています。

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藤本
ワンオペって、1日やっただけでもクタクタになるって聞くんですけど、例えば3日間連続って、ものすごくクタクタになるんじゃないですか...?

矢澤
もちろん大変なのは大変なんですけど、そこまでではないですね。気を張っても疲れちゃうだけなので、自然体で接するようにしています。子育てを「している」というよりも、「させてもらっている」という感覚のほうが近いかもしれないです。

藤本
永田さんも同じく、育児にはかなり積極的に参加されていますよね?

永田
そのつもりです。基本的には朝はぼくが娘を送っていって、夜の迎えは妻が行くという分担にしています。ただ、ぼくたちも共働きで、妻は人材系の会社に勤めているので、新卒解禁のタイミングなどはめちゃくちゃ忙しいです。そうなると、お昼の3時くらいに妻から連絡が来て、「ごめん、きょうの迎えは行けそうにない」という連絡が来て...。

そこから慌てて仕事の調整をするんですが、それでも間に合わないときは子どもに「ごめん」と言って、19時くらいまで保育園で待ってもらっています。ただ、遅い時間の迎えになると、子どもにとっては少しレアな体験で楽しいのか、「えっ、もう来たの!」みたいな反応をされますね。こっちがどれだけ焦って来たかのかも知らないで...(笑)


原体験から生まれる事業構想

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永田
矢澤さんがいまの子育てや福祉領域の事業を取り組まれるようになったのは、どういう経緯があったのですか?

矢澤
ぼくの兄妹が、難病を患っていたことが大きな原体験です。ぼくは4人兄妹の次男なのですが、兄と妹が先天性かつ進行性の「筋ジストロフィー」という難病だったんです。いま自分自身が親になって思うのは、4人兄妹うち2人が難病を抱えていて、そして両親が共働きという、ものすごいカオスな状況で、ぼくたちを育ててくれていたんだなと。

そういった経緯があって、障がいや難病がある方々を支援する事業は、学生時代のころからプランを温めていたんです。あと子育て事業に関しては、最初にも言ったように、子どもが大好きですし、自分も子どもを育てる親となり、当事者として様々な課題が見えるようになったので、事業としても取り組もうと思いました。

永田
そういった経緯があったんですね。ぼくも自分に子どもが生まれなかったら、いまの子育て事業をやってないだろうなって思います。やっぱり、原体験を通して世の中の課題が自分ごと化される側面は、絶対にありますよね。

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矢澤
ちなみにぼくは自分に子どもが生まれてから、働き方がものすごく変わりました。無茶な働き方をやめて、「どうやったら子どもと接する時間をつくれるかな?」と考えるようになりましたね。自分の子どもとの関わりをおろそかにしているのに、事業で人の子育てを支援してる場合なの?となってしまうので。まずは自分が体現していかないとなって思っています。

永田
本当にその通りですね。ぼくたちも会社として「ベビーテック」や「父親の育児参加」、「家族のQoL向上」といったことを掲げているので、パパスマイル自体が超ホワイト企業じゃないと、事業自体の意味がなくなってしまいます。だからいま、パパスマイルの従業員は全員子持ちなんですけど、それぞれ家庭の都合に合わせた勤務状態です。

そのうえで、リモートワークもOKにしていています。ただ、現状としてはまだまだ課題も多くて...。「あれっ、MTGしようと思ったのに、きょう○○さんは出勤してなかったのか!」みたいな(笑)。ただ逆に、この社内体制がちゃんと成立すれば、社会的にもとても意義のあることだなと思って、いまはなんとか仕組み化しようと試行錯誤しているところです。


新米YouTuber、誕生

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藤本
矢澤さんのこれまでのメディア出演を拝見して、「月に50万円以上を稼ぐカリスマ保育士を生み出す」という旨の発言をされていたのですが、その真意を詳しく教えていただいてもいいですか?

矢澤
「月50万円以上を稼ぐカリスマ保育士」に関しては、事業の定量的な目標のひとつとして、ずっと言ってきていたんですが、そこからさらに自分のやりたいことや得意なことを突き詰めるなかで、最近「プロデュースする」ということに行き着きました。人って、みんななにかしらの能力を持っていて、絶対にそれを活かせる場所があるんですよね。

もちろん、障がいや難病がある方たちもです。多くの人たちにとっては、彼らにふだん接する機会が少ないだけで、それぞれ素晴らしい魅力を持っているし、むしろ障がいや難病は、強みになるとも思っています。その持っている魅力をプロデュースすることによって、もっと多くの人に知ってもらいたいと考えています。

藤本
具体的には、最近はどういったプロデュースに注力されていますか?

矢澤
YouTubeですね。ぼく、3ヶ月くらい前にYouTuberになったんですよ。筋ジストロフィー当事者の方と一緒に、2人でチャンネルを立ち上げました。2人でこれから、障がいや難病に関する情報を発信していきます。

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永田
障がいに関して言うと、実はぼく、右眼が事故で全盲なんです。ただ、それでも日常生活に不便していないのは、目の代わりに耳の能力が高くなっているからで。発揮できる力や環境って、本当に人それぞれですよね。


親子でECサイトを立ち上げ

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矢澤
あとは子育てに関しても、「プロデュース」の観点がとても大事だなと思っていて。実はうちの小学生の長男は、身長が低いんです。それであるとき、仲の良い友だちの子から「おはよう、チビ」って言われてしまったみたいで。

その友だちの子に悪気はなかったと思うんですけど、長男的にはグサッと来てしまったようで...。そしたら息子が、そのやり取りも含めて身長に関する悩みを、ぼくに吐露してきたんですね。

藤本
言った側に悪意はなくても、言われた側は傷ついてるってことありますよね...。

矢澤
ただ、その長男の身体的特徴によるコンプレックスは、ぼくもすごく気持ちが分かるんです。ぼくも小さいころは、ホクロがたくさんあることをいじられることが多く、少しコンプレックスを持っていました。

ただ、自分に自信が持てることが見つかって以来、まったく気にならなくなりました。だから、息子にもなにか別の好きなことや得意なことがないかなって、ずっと探っていたんです。それが最近、ようやくバチッとハマるものが見つかって。

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藤本
なんだったんですか?

矢澤
表現の世界です。絵や歌、ダンスなどですね。特に、絵がすごい上手で。ぼく自身は全く絵心がないので、直接教えることはできないんですが、彼が絵に没頭する環境を用意してあげることはできます。

そのうえで彼に対しては、自分の絵の才能がちゃんと価値になること、もっと平たく言うとお金になる体験を、できるだけ早くさせてあげたいなと思いました。そこで、ぼくと彼の2人で、一緒にECサイトを立ち上げたんです。

藤本
おおすごい!ECサイトでは、どんなことをされてるんですか?

矢澤
息子が描いた絵を、ぼくがTシャツのデザインとして落とし込んで、実際に販売しているんです。そこで出た利益は、子どものお小遣いになります。そうすると、息子は自分の能力が価値として他者に提供されて、そしてお金に変わるっていう実感をすることができるなと思って。

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▲息子さんの描かれた絵が、実際にTシャツのデザインへ

矢澤
あとは、彼が描いた絵をFacebook上に投稿して、そのいいね数やコメントを見ながら「おっ、今回の投稿100いいね超えたね!」みたいなやり取りもしていますね。

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▲こちらの絵は200近い「いいね」が付いている...!

矢澤
そうやって、自分の能力が価値に変わる経験を積み重ねて、息子の自信につながればいいなと思っています。

藤本
たしかに、そうやってなんらかの形で自己肯定感を高めることによって、別のコンプレックスも克服していけそうです。きょうはたくさんの実例を通して「人はみんな、なんらかの特筆した能力や、それを活かす場所がある」ということを、学ばせてもらいました。本日はどうも、ありがとうございました!

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今回ご登場していただいた、株式会社イースマイリーの運営する障がい・難病当事者とご家族のための座談会・生活情報コミュニティはこちら!↓


絵本読み聞かせ動画と、障がい者や難病のある当事者やご家族のための情報について発信されているYouTubeチャンネルも、それぞれチェックしてみてください!


そして矢澤さんと息子さんがお2人で立ち上げられた、ECサイトはこちら↓


本連載企画を主催する株式会社パパスマイルが運営中の、日本で唯一のベビーテック専門メディア「Baby Tech」のサイトも、ぜひ見てみてください!


▼これまでの対談記事一覧
第1回 【パパ兼経営者の二刀流ライフ】子育てして、親育てされて。父親になって、経営者としても成長できた
第2回 ロボット世界大会最年少出場で入賞、孫正義育英財団3期生の息子を育てたパパ経営者が、社会に描くビジョン
第3回 ベトナムで2人のお手伝いさんと共に3人の子育てをするパパ経営者からみた「ここがヘンだよ日本の子育て」
第4回 キャリアの専門家は、子育てもプロなのか?返ってきた答えは「たぶん上手くいかない(苦笑)」


執筆/写真:藤本けんたろう

最後まで読んでいただきありがとうございます! コーポレートサイト( https://www.papasmile.jp/ )と メディア『Baby Tech( https://babytech.jp/ )』も、ご興味ある方はぜひ覗いみてください!