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蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・訂正

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#連載からの加筆・修正

19.蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 06

星星峡 2009年12月号 No.143 P2-11

 あちこちで焚かれるカメラのフラッシュ。ダークスーツ
でメモを携え素面(しらふ)で飛び回っているのは、

 あちこちで焚かれるカメラのフラッシュ。ダーク
スーツでメモを携え素面で飛び回っているのは、

*ルビについては、記載しないことにしてましたが、今までは連載時にルビがなかったものが、本では追加されていました。ここは、連載時にあったのが、本

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21.蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 07

21.蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 07

では、さっそく。

星星峡 2010年2月号 No.145 P2-6

 しかし、演奏者になるとドレスは厄介なものでもある。
 かさばる。費用がかかる。しかも、そうそう何度も着ら
れない。

 しかし、演奏者になるとドレスは厄介なものでも
ある。
 かさばる。費用が掛かる。しかも、そうそう何度も
着られない。

 ピアニストに限らず、女性演奏家は肩の駆動に制約があ
るのを嫌い、ノースリーブを選ぶこ

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22.蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 08

22.蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 08

星星峡 2010年3月号 No.146 P14-19

 浜崎家を辞して外に出ると、思わず小さなため息がもれ
た。

 浜崎家を辞して外に出ると、思わず小さな溜息がもれ
た。

えっ、なに、これ?
*前後に空白行

 違う。うまい。もの凄くうまい。ピアノ科の学生なみ、い
や、そんなんじゃない、なんだかよく分からないけど凄い。
*前後に空白行

 あたし、今、凄いもの聴いている。コンクールの前日に、

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24.蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 10

星星峡 2010年6月号 No.149 P2-10

 思わず、全身に力が入っているのに気付き、ふっとため
息をつく。

 思わず、全身に力が入っているのに気付き、ふっ
と溜息をつく。

 俺、上がってる?
*前後に空白行

 でも、こんなふうに靴紐も結べないほどに上がったこと
も、かつては一度もなかった。

「高島君、おはよう」
*前後に空白行

 撮られたくない。・・・・・・
を回すのだろう。

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26.蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 12

星星峡 2010年 10月号 No.153 P2-10

 明石が当日の演奏予定時刻の載ったスケジュール表をF
AXで送ってくれたので、今日の最終演奏者である明石の
出番までまだ一時間以上あるのは分かっていたが、そもそ
も彼の出番が一日目に繰り上がったこともあって、もしか
して当日また演奏時刻が変わるのではないか、と満智子は
朝から気が気ではなかったのだ。

 明石が当日の演奏予定時刻の載ったスケ

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27.蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 13

星星峡 2010年12月号 No.155 P2-5

 そう、コンテスタントたちが「次のコンクールこそ」と
期待するように、審査員のほうも「次こそスターを」と期
待している。二週間近く、特に五日間も続く一次審査など、
聴くほうも体力がいるので、ペース配分をしないと乗り切
れない。

 そう、コンテスタントたちが「次のコンクールこ
そ」と期待するように、審査員のほうも「次こそス
ターを」と期待してい

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28.蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 14

星星峡 2011年1月号 No.156 P2-6

 やはり、その話を持ってきたか。
*前後に空白行

 ああ、そうだった、そうだった。こういう男だった。
*前後に空白行

 実際、あんたよりもあたしのほうが彼の演奏を聴きたが
っていると思うわ。果たして彼が何者なのか、ホフマン先
生はどんなつもりだったのか。今いちど聴いて見定めたい。
そうよ、あたしのほうが、あんたなんかよりもずっとずっ
と聴きた

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29.蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 15

星星峡 2011年2月号 No.157 P2-11

 この子は必ず世に出てくると子供の頃に確信した自分の
直感が証明されるのを見届けられたら、あたしは安心して
ヴィオラに行ける。
*前後に空白行

 スターというのはね、以前から知っていたような気がす
るものなんだよ。
*前後に空白行

 昔聞いた声が脳裏に蘇る。確か、この声は。
*前後に空白行

 ああ、これは綿貫先生の声だ。亜夜は小さく領いた

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30.蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 16

星星峡 2011年4月号 No.159 P36-42

 明石はそんなことを力なく考えていた。
・・・・・、悪くない感触を得ていた。
*前後に空白行
 
 これなら負けない。これなら俺だって。
*前後に空白行

 なんという成熟、なんという音楽的スケールの大きさ、
構築する音楽のなんというレベルの高さ。・・・・・・
本当に、本当の、天才なんだ。
*前後に空白行

*るびなんですが、連載時になかっ

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32. 蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 17

10日ぶりの再開です。

星星峡 2011年6月号 N.161 P12-16

 その明石、おとといは優勝候補のコンテスタントに圧倒
されてしょんぼりしていたが、昨日はもう元気を取り戻し
ていた。

 その明石、先日は優勝候補のコンテスタントに圧倒
されてしょんぼりしていたが、昨日はもう元気を取り戻し
ていた。

**よく、連載は前後に空白行があって、本にはないパターンがありましたが、ここは、本も

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33. 蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 18

星星峡 2011年7月号 N.162 P2-11

 浅野はピアノメーカーから派遣されて喜多さん二の調律師
の中ではいちばんの若手である。
*前に空白行

 さっきの女の子と同じピアノとは思えない。これがうち
のピアノの音なのか?
*前後に空白行

ラブ・ミー・テンダー。
*前後に空白行

81 KAZAMA JIN
連載はアルファベットが縦に、本は横に

イッツ・ショータイム。
*前後に空白行

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34. 蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 19

星星峡 2011年8月号 N.163 P20-25

アンビリーバブル、ファンタスティック、奇跡的だ、
下品だ、いたずらに煽情的だ、サーカスだ、
 *前後に空白行

 ホフマン先生のメッセージを読んだあとだから? 新た
なバイアスが掛かってしまっているのだろうか?
*前後に空白行

 そうだった、コンクールなんだ。あたしも出るんだっ
け。
*前後に空白行

 この子は、音楽の神様に愛されてるんだ。

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35. 蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 20

星星峡 2011年9月号 N.164 P2-7

奏は音を立てずに深呼吸をした。
まだザワザワと客が通路を歩いてくる。
*前後に空白行

 強い印象を与えるまなざし。まるで顔の内側から光を放
っているかのような―――
*前後に空白行

 ふと、かつて、これと同じ感想を抱いたことがあると気
付いた。
*前に空白行

 モノが違う。
*前後に空白行

 見よ。今、舞台の上にいるのは、音楽を生業とす

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36. 蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 21

星星峡 2011年10月号 N.165 P56-63

今日は8Pもあるぞ。
マサルとアーちゃんの感動の再開ですからね。

 亜夜のあとのコンテスタントは、あと三人。それからす
ぐに一次審査の発表がある。

 亜夜のあとのコンテスタントは、あと二人。それからす
ぐに一次予選の発表がある。

 あたしはなんのために弾いたのだろう。
*前後に空白行

 あの子が。あの子の音楽が、あの衝動を引き出してく

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