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【和訳】英国国防省:ウクライナ情勢報告

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英国国防省発表のウクライナ情勢評価分析の日本語訳
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#ウクライナ情勢

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 2024.10.17

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 2024.10.17

日本語訳ウクライナが2024年10月7日にロシア占領下クリミアのフェオドシア港石油ターミナルを攻撃したことを、同国の参謀本部が認めた。以前のことになるが、2024年3月にこのターミナル施設は、ウクライナ軍無人航空機攻撃の目標になった。

ウクライナ軍の攻撃の結果、クリミア半島におけるロシアの軍事能力は徐々に低下し続けている。2024年の攻撃対象には、防空システム、航空基地、指揮本部、海軍施設、兵站

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 2024.10.15

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 2024.10.15

日本語訳2024年10月5日、ロシアは自軍の無人戦闘航空機(UCAV)S-70”オホートニク”(“ハンター”の意)を撃墜した。そのとき同機はウクライナにおける戦闘の最前線の上空を西進していた。ロシアがこのUCAVのコントロールを失い、敵対する相手の手に落ちるのを避けるため、撃墜する決断を下した可能性は高い。

スホーイという企業において、S-70は少なくみても10年間、開発が続けられており、ロシア

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情勢 2024.10.13

【和訳】英国国防省 ウクライナ情勢 2024.10.13

日本語訳2024年9月10日から16日にロシア連邦海軍は、大規模戦略演習である「オケアン-24」を実施した。この演習が行われるまで、ロシア連邦軍の大規模演習は2年間中断されていた。2022年までロシアは、全軍種が参加する演習である合同戦略演習(JSE)を毎年、実施する予定でいた。だが、過去2年間、演習は実施されなかった。演習が実際されなかった原因が、ウクライナにおける戦争で必要とされるものが生じた

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 2024.10.11

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 2024.10.11

日本語訳ウクライナ東部のアウジーウカ[Avdiivka]〜ポクロウシク[Pokrovsk]地区が、依然としてロシア側の主たる重点になっている可能性は高く、ここ一週間、激しいロシア軍の作戦行動が確認されている。ポクロウシク攻撃の条件づくりをロシアが続けている可能性は極めて高い。ポクロウシクの外周に位置する町セリドヴェ[Selydove]をロシアは部分的に包囲しており、ロシアが今後の数週間以内にこの町

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 2024.10.09

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 2024.10.09

日本語訳2024年9月30日、ロシア政府は下院に2025年予算案を提出した。2025年予算は(インフレ調整無しで)5%の歳出増となり、41兆5000億ルーブル(4,470億米ドル)に至ることが見込まれている。

提出された予算案には、2025年国防費が、公表されている2024年予算と比べて25%増加することが示されている。国防費は2025年予算全体の32%を占める。戦前の2021年は14.5%を占

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 2024.10.07

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 2024.10.07

日本語訳ウクライナでのロシア側の一日平均人的犠牲者数(死者及び負傷者)であるが、2024年9月に一カ月単位で見た場合の最高記録を更新した。ウクライナ軍参謀本部の報告によると、2024年9月の一日平均死傷者数は1,271人であったとのことで、比較として以前の最高記録だった2024年5月の一カ月間の一日あたり死傷者数を示すと、こちらは1,262人だったとのことだ。この武力衝突が始まって以降のロシア側死

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 2024.10.05

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 2024.10.05

日本語訳2024年10月1日、ロシアはドネツィク州南部のヴフレダルを制圧した。ここはザポリッジャとドネツィクという二つの主要な戦線をつなぐ場所に位置している。この町は、2024年9月の期間に再開されたロシア軍の作戦行動に続いて占領された。9月末にはここはロシア軍によって包囲されかけており、その結果、ウクライナ軍は撤退した。

過去2年間、ロシアは時折、ヴフレダルを奪取する試みを行ってきた。そして、

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 2024.10.03

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 2024.10.03

日本語訳2024年9月11日、商船“AYA”号は黒海で一発のミサイルによる攻撃を受けた。そのときAYA号は、エジプトに輸送する26,000トンを超える穀物を積み、ウクライナのオデーサ港を出て南に向かって航海しているところだった。このミサイルが、当時この地域で行動していたロシア軍爆撃機Tu-22M3“バックファイア”から発射された AS-04“キッチン”[*注:Kh-22]対艦ミサイルであったのはほ

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 2024.10.01

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 2024.10.01

日本語訳2024年9月の終わりにウクライナ軍は、ハルキウ州ヴォウチャンシク市内のヴォウチャンシキー化学工場を奪還し、ここを掃討した。この化学工場はロシア軍の野戦拠点として機能しており、それによって、ロシア軍はヴォウチャ川で戦術行動を行うことができていた。この工場が失われた結果、ロシア地上軍(RGF)がハルキウ州で前進できるチャンスは狭まっていく可能性が高い。また、ウクライナ軍がこの工場を制したこと

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 2024.09.29

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 2024.09.29

日本語訳9月20日から21日にかけての夜間、ウクライナ軍はUAV[*注:無人航空機、いわゆるドローン]を用いて、クラスノダール地方チホレツクのロシア軍弾薬保管施設を攻撃し、さらにトヴェリ州トロペツの弾薬保管施設も攻撃した。今回の攻撃は、9月18日にトロペツの今回とは別の保管施設に対する攻撃を成功させたことに続くものだ。前回のトロペツ保管施設への攻撃によって、露天と掩蔽壕内の双方に保管されていた弾薬

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 2024.09.27

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 2024.09.27

日本語訳2024年10月1日からロシアの秋季徴兵期間が始まる。適性のある30歳以下のすべてのロシア人男性には、1年間の兵役に就く義務がある。現在まで、徴兵された兵士である徴集兵は、ウクライナでの戦闘に送り込まれていない。2022年2月の開戦以降、ロシア政治指導部は、徴集兵を前線に送るつもりはないことを繰り返し表明している。

だが、2024年8月、徴集兵はクルスクでの軍事作戦に投入された。この結果

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 2024.09.25

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 2024.09.25

日本語訳ウクライナ南東部に位置するヴフレダル[Vuhledar]の郊外で、ロシア軍はさらに戦果をあげている。ロシア軍は現在、三方向からこの町を脅かしている。そして、同軍はすでにこの町の郊外を巡る攻防戦を行っている。なお、ロシアは2022年以降、この町への攻撃を繰り返してきた。これからの一週間、ロシア軍は戦線上の堅固に防御されたこの一画に対して、圧力をかけ続けることになると思われる。

ドネツィク州

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 2024.09.23

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 2024.09.23

日本語訳ウクライナ領ハルキウ州北東部において、ロシア軍はピシチャネ[Pishchane]という村落から西方へと前進している。ロシア軍は現在、小さな突出部を形成し、そこを占領しているが、この突出部の先端はオスキル川から3.5kmの地点にある。ロシア軍がオスキル川を天然の防御障壁として使用する目的で、また、今後の作戦を準備する目的で、同川東岸に到達しようとしている可能性は高い。

ロシア軍の主たる重点

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 2024.09.21

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 2024.09.21

日本語訳2024年9月17日から18日にかけての夜、ウクライナはロシア領トヴェリ州にあるトロペツ戦略弾薬保管庫に対して、片道攻撃型(OWA)無人航空機(UAV)による攻撃を遂行し、これに成功した。ここはウクライナから約500km離れた場所にある。この保管庫は、ロシア連邦軍参謀本部ミサイル・砲兵総局第107兵器庫に属する保管施設だ。そして、ほぼ確実に、前線に送る各種口径の弾薬や、近隣の航空基地で使用

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