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私、寂しいんだな

タイトルの通り、
最近思うんです。
「私、寂しいんだな」って。

誰かと一緒だと、楽しいことも知っているけど
私自身レアな経験を重ねるほど
見える景色が違う気がして
私って普通じゃないんだな、
でも同調しないと空気おかしくなるし…、
などと考え疲れてしまうから
一人のほうが楽だな、という思いがみるみる勢力を増していた。
だから、一人で出かけることになんのためらいもない。

一人で出かけると、よく声を掛けられる。
一人でいるからか、
お店では店員さんに間違えられることも珍しくないし、
道を聞かれたり、
時間を聞かれたり、
○○フェスに行けば、お酒や焼きそばを買ってきてくれる人がいたり、
山に登れば、いつの間にか知らない人と下山していることも割合多い。

こんな感じで、一人で出かけると出会いが多い。
好きな場所に出掛けるのだから、
興味あることが似ている人が多くて、
それぞれの視点での考え方など
なるほど、と思えることに出会えるから楽しいっちゃ、楽しい。

でも、それはほんの一瞬の事。

私は寂しい気持ちになる。
でも寂しい気持ちに気付きたくないから予定を入れる。

私は知っている、私はなんで寂しいのかを。

それは、
私の心はいつもOPENで
老若男女、幅広い層が話しかけやすいオーラを纏っているようで、
楽しい、に出会えるスピードは比較的早い方だと思う。
だけど、私の心の扉が開くのは一つか二つ。
扉がいくつあるのか分からないけど、
三つ目の扉はなかなか開かない。

なぜ、開かないのだろう、と考える。

私は自分に自信が無いからだと思う。
私は傷つきたくないからだと思う。

つまり、自己防衛のために三つ目の扉は開かない。

2024年7月4日、こんなことがあった。

休みだった私は、暑さも気にせずに出掛けた。
帰りはバスで帰ろうと、バス停でバスを待っていた。
そこにおじいちゃんが一人来た。
「このバス停、日影も椅子も無いね~」と言ってきた。
「そうですね。早くバスが来るといいですね」みないな無難な返しをした。
するとおじいちゃんは
「俺、いくつに見える?」と聞いてきた。
「!!私、その質問苦手なんです」と困りながらも
85、6かな~、と思いはじめたら、即座に
「95」と言ってきた。
明らかに私は驚いた。
だって、95歳って、
私のおばあちゃんは92歳で施設に入所していて、
車いすに乗っていて歩けないし、
私の事を覚えていたりいなかったり記憶もあいまい。
入所するだいぶ前から耳が遠くて、
70歳頃から電話もできなかったから、
まさか、この炎天下に、
一人でバス停に来たこの人が95歳とは思えなかった。

その驚きは、おそらく私の全身から滲み出ていたようで、
おじいちゃんは、カードサイズの何らかの証明書を見せてきた。
「昭和4年生まれ!」
「散歩が趣味だから毎日歩いている。」と言って
スマホを出し、アプリを開き、
今日は8千何歩、
昨日は1万何歩、
おとといは1万6千何歩歩いた、と見せてくれた。
恐れ入りました~、と崇めるしかない状況。
そんな余韻に浸ることなくおじいちゃんはこう続けた。
「旦那さんいるんでしょ?」と。
「いないですよ」と、私。
「年取ると寂しいよ」とおじいちゃん。
「私、最近寂しいんだな、と感じますよ」と返した。
するとまたもや話の流れに大波が現れた。
「明日、名古屋に行くんだけど金出すから一緒に行かない?」と。
「名古屋、いいでね。でも、明日仕事なんですよ」と返した。
「俺、子供もいないし、
もう金持っていても仕方ないから、金バンバン遣っているんだ。
株で金たまりすぎて、
もう使えないから株は全部やめた。
○○の株、●口買ったら、××になって、
△△の株、〇口が$$になって~(と勝率を語る~)
前は甥っ子が来ると、それに金やってたけど最近来ない。
姪っ子はたまにきて掃除してくれるから、
来る度に100万あげてる。
頭下げて、ありがとうございます、って言うけど
そんなのいいんだけどね~」と。
「掃除で100万は、頭下げますよ!」と驚きをそのまま言葉にした私。
「俺、夜は漏らすから日帰りしかできないけど
明日名古屋に一緒に行かない?」とまた言われた。
「仕事が休みだったら行くんですけど、明日仕事なんですよ」と私。
「そっか」とおじいちゃん。
そんなところにバスが来た。

バスの座席は満席だった。
おじいちゃんは席を譲ってもらえず立っていた。
次のバス停で、若い人が杖を突いて乗ってきた。
座っている人がその人に席を譲った。
それを見て私はおじいちゃんの耳元で
「95歳に見えないから、席譲ってもらえないですね」と言った。
するとおじいちゃんは
「両足痛いのに、立ってなきゃいけないんだよ」と普通の声のボリュームで言った。
バスの中での普通の声のボリュームは
とても聞き取りやすいものだった。
次のバス停で、下車する人が立つと
おじいちゃんの前に花道が開いたかのように人々は道を開け
ドラマチックにおじいちゃんはその座席に向かった。
私は、おじいちゃんに
「明日、名古屋楽しんできてくださいね」と言って
バスを降りた。

”95歳のおじいちゃん、素直で面白いな”と
ニコニコしながら帰路についた。
お金あるのにタクシーじゃなくてバス、ってところもなんかいい。
連絡先交換しておけばよかったかな、
でも毎日連絡きそうだな、と一人で笑った。

空気を読んだり、
同調したりって
ホント暑苦しいけど、
純粋というか無垢というか
考え方や生き方って空気を作るな、と改めて関心。
なのに、またもや三つ目の扉が開かなかった私。

株も、やってみよう、と思いながらやっていないんだよね。
やっぱ私、自己防衛が高めなのかな。

お金に働いてもらえれば
いまからでもチャレンジしたい生活にシフトチェンジできるかも、と思ったりもした。

おじいちゃん、名古屋楽しかったかな?
次会えたら連絡先交換しよ。




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