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エウェルへの求婚 (Tochmarc Emire)

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ケルト神話・アイルランドの伝承より、アルスター物語群の「エウェルへの求婚」拙訳のまとめです。中期アイルランド語より翻訳しました。 英雄クー・フリンが美姫エウェルと結婚するため、女…
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#伝説

アイルランドの伝承「エウェルへの求婚」について

1.タイトルと分類私が翻訳した「エウェルへの求婚」について説明します。(訳文など、「エウェルへの求婚」記事一覧はこちらからどうぞ)

アイルランド語ではTochmarc Emire。EmireはEmerの属格単数形で、クー・フリンが求婚する女性、エウェルです。このmの音(mの軟音)はアイルランド語に特徴的な音で、日本語にはない音です。ものによってはvの音と説明されることもありますが、また少し異なり

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ケルト神話「エウェルへの求婚」拙訳記事一覧

本ページはケルト神話「エウェルへの求婚」(拙訳)のまとめページです。「エウェルへの求婚」のあらすじなどは「概要」を、訳文を読む場合は「本文」以下の各番号を、登場人物や用語については「登場人物・用語一覧」を、それぞれクリックしてください。

概要

登場人物・用語・地名一覧

本文

① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧

「エウェルへの求婚」マガジン(本ページと同じ記事の一覧)

「エウェルへの求婚」登場人物・用語・地名一覧

ケルト神話・アイルランドの伝承「エウェルへの求婚」の登場人物、用語、地名一覧です。本編はこちらからお読みください:https://note.mu/p_pakira/m/mc07a94fb37f6

登場人物
・クー・フリン:アイルランド北部アルスター国きっての英雄。この物語、及びアルスター物語群の中心人物。その名前は「クランの犬」を意味する。半神半人の英雄であり、平時は美青年だが、戦いとなると変身

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アイルランドの異教的伝承「エウェルへの求婚」(アルスター物語群)①:¶1~10

私が翻訳したアイルランドの異教的伝承「エウェルへの求婚」(Tochmarc Emire) をここに掲載していきたいと思います。

「エウェルへの求婚」は複数の写本に書かれており、それぞれバージョンが微妙に、あるいは大きく異なりますが、それらについてここで細かく示したりはしません。また原テクストを載せてもあまり需要がないと思いますので、訳文のみを載せることにしたいと思います。脚注での解説なども省きま

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アイルランドの異教的伝承「エウェルへの求婚」(アルスター物語群)②:¶11~17

私が翻訳したアイルランドの異教的伝承「エウェルへの求婚」(Tochmarc Emire) をここに掲載していきたいと思います。

【前回】

今回は、クー・フリンがエウェルのいる丘に向かい、クー・フリンの色彩豊かな描写が行われ、実際に彼女に話しかけます。会話は長いので、途中で切れており、次回に続きます。

クー・フリンとエウェルの気取った会話

¶11
その日クー・フリンがエウェルへ話しかけに、そ

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アイルランドの異教的伝承「エウェルへの求婚」(アルスター物語群)③:¶18~27

私が翻訳したアイルランドの異教的伝承「エウェルへの求婚」(Tochmarc Emire) をここに掲載していきたいと思います。

【前回】

今回は、クー・フリンとエウェルの謎めいた会話の後半です。固有名詞がいくつか出てくるので、文末に注を示しておきました。ページを上下させるのが面倒だとは思いますが、ご了承ください。

クー・フリンとエウェルの気取った会話(続)

¶18
「乙女よ、あなたの自己紹

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アイルランドの異教的伝承「エウェルへの求婚」(アルスター物語群)④:¶28~41

私が翻訳したアイルランドの異教的伝承「エウェルへの求婚」(Tochmarc Emire) をここに掲載していきたいと思います。

【前回】

今回は、クー・フリンとエウェルの謎めいた会話をクー・フリン自らが解説する場面の前半です。ここで言及されているのは¶17の地名の列挙です(エウェルへの求婚②参照)。かなり長大ですが、神話の断片が含まれており、読みごたえがあります。固有名詞がたくさん出てくるので

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アイルランドの異教的伝承「エウェルへの求婚」(アルスター物語群)⑤:¶42~55

私が翻訳したアイルランドの異教的伝承「エウェルへの求婚」(Tochmarc Emire) をここに掲載していきたいと思います。

【前回】

今回は、クー・フリンとエウェルの謎めいた会話をクー・フリン自らが解説する場面の後半です。ここで言及されているのは、¶17と¶28のやり取りです(エウェルへの求婚②、③参照)。掛け詞や言葉遊びが多いので、そのような個所ではスペルを載せてあります。

クー・フリ

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アイルランドの異教的伝承「エウェルへの求婚」(アルスター物語群)⑥:¶56~66

私が翻訳したアイルランドの異教的伝承「エウェルへの求婚」(Tochmarc Emire) をここに掲載していきます。

【前回】

今回は、エウェルに求婚したクー・フリンがエウィン・ウァハに戻り、エウェルの父フォルガル・モナッハの計略によって修行の旅に出るくだりです。彼はドウナルとスカーサハという二人の戦士に師事する予定で、今回はドウナルのところで修行し、その後スカーサハの砦への旅までを含みます。

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アイルランドの異教的伝承「エウェルへの求婚」(アルスター物語群)⑦:¶67~79

私が翻訳したアイルランドの異教的伝承「エウェルへの求婚」(Tochmarc Emire) をここに掲載していきます。

【前回】

今回は、女戦士スカーサハの下での修行と、スカーサハの宿敵アイフェとの戦いです。クー・フリンはアイフェを倒し、彼女を愛し、彼女に息子を授けます。それが後に彼が殺すことになるコンラです。

クー・フリンが女戦士スカーサハを訪う

¶67
クー・フリンは、あの戦士の教えた通

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アイルランドの異教的伝承「エウェルへの求婚」(アルスター物語群)⑧:¶80~92

私が翻訳したアイルランドの異教的伝承「エウェルへの求婚」(Tochmarc Emire) をここに掲載していきます。

【前回】

今回は最終セクションです。クー・フリンがエーリゥへ帰還する途中で経た冒険、エーリゥでフォルガルと戦ってこれを倒すこと、エウェルへ求婚した際にした約束を果たすこと、そしてエウィン・ウァハへの帰還と幕引きです。

エーリゥへの帰路での冒険

¶80
その後クー・フリンはエ

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