人材の適材適所な異動を考える
日本パートナーCFO協会所属、ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです! この記事では、ベンチャー企業や中小企業の経営に役立つ情報を発信していきます。
3月決算の会社はちょうど半年が経過しましたね。10月になると組織変更、人事異動の企業もあるでしょう。人事異動となると従業員のパフォーマンスを底上げするような配置ができないか考える方もいると思います。
今回は人事異動をする際に「人材の適材適所な配置ができるのか」という点について考えていきたいと思います。
ただし注意点もありますので、それぞれの視点で適材適所の考えをお伝えしていきます。
人事異動の種類について
今回はわかりやすく下記の3種類の観点でお話しいていきます。異動という大きな単位ではないですが作業レベルの変更も含めていきたいと思います。
①昇格昇進の人事異動(タテの異動)
②職種の人事異動(ヨコの異動)
③担当業務の変更(作業の変更)
昇格昇進の人事異動(タテの異動)
最も頻繁に行われる異動の一つですね。昇格やそれに伴う昇給は従業員の大きなモチベーションアップに繋がります。
その中でもとりわけ大胆な昇給ができれば従業員のパフォーマンスアップも間違いなしです。それはどの会社の経営陣も分かっていますが、おいそれと実行できないのがこの昇給ですね。
会社の人件費の予算もありますし、一度給与を上げたら簡単に下げることができません。昇給や昇格昇進をすることに慎重になるのはもっともなことかと思います。
しかしながら、人材難かつ転職も活発になった昨今において、昇給や昇格昇進の少ない会社は相対的に見て魅力に乏しいものです。
人事制度や昇格・昇進基準、賃金テーブルなどのある企業は見直しを図るなどして、現在の世情を汲みながら公平かつ公正な制度を再設計をしてみることをおすすめします。
職種の人事異動(ヨコの異動)
別の部署やチームへの異動ですね。ジョブローテーションと呼ばれたりします。
ここは特に注意が必要な箇所となります。ジョブ型雇用の場合、基本的に職種の人事異動はNGとなります。
ジョブ型雇用とはJD(ジョブディスクリプション:職務記述書)をもとに、業務内容や勤務時間や場所などを明確に定めた上での雇用方法です。
先月9月には政府がジョブ型への移行を示す指針を作り、2023年春までに策定予定というニュースが出ていました。今後はジョブ型雇用が日本のトレンドになっていくかと思われます。
相対する日本型雇用であるメンバーシップ型と比べて、ジョブ型雇用は職務内容が決まっているためにその内容から逸脱する部署への異動は厳禁となります。絶対にNGというわけではないのですが、従業員としてはそれだけで退職する理由になりかねます。
もちろん従業員が自らジョブを異動したい場合があるかと思いますので、社内公募制度などを用意しておくことは良いかと思います。
いずれにせよ職種の人事異動がますます実施しにくい状況になったのは間違いありません。
担当業務の変更(作業の変更)
人事異動とは少し違うかもしれません。もう少し身近な話で同じ部署内、チーム内で発生している仕事を誰にやらせるかという話となります。
個人的にはこちらが適材適所の配置を一番試しやすく、比較的効果も出るのではないかと思っています。
部署内で発生する業務は定型的な作業や非定型な作業、マネージメント業務など多岐に渡っていますが誰にやらせるのが効率的なのでしょうか?上記で話したような制限や注意点も少ないところなので意欲的に試してみるのが良いと思います。
方法としても、本人との1on1ミーティングでやってみたい業務を聞いてみたり、「ストレングスファインダー」「ウェルスダイナミクス」などの仕事に関連した性格診断をさせてみると従業員の意外な資質を見つけることができるかもしれません。
注意点として、部署内チーム内の狭い世界での異動となりますので適材適所をしようにもポストがない、または人員が偏ってしまうなどの理由から十分な配置転換ができない可能性があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。最適な人材配置を考えようとするとさまざまな注意点が出てきましたね。
今いる人材を最大限活用しようと思っても、昨今のトレンドや雇用事情から人事異動が簡単にはできない状況になったと感じる方もいらっしゃるかと思います。
会社の業務は何があるのか、それを誰にやらせるのか。そしてその人材をどう確保していくのか。
上記のように会社の業務設計や、採用という始まりのステップから考えていくことが適材適所のポイントになるのかもしれませんね。
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