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猫を棄てる。村上春樹【書評】🐈🌊

雰囲気
さっき棄ててきたはずの猫が「にゃあ」と言って、
尻尾を立てて愛想良く僕らを出迎えた。


図書館の新刊に、この本が置いてあった。

書店で何度も見かけたこの本を手に取った。

村上春樹が父親について語るエッセイ。

冒頭は、父親と海岸に猫を棄てに行く話。

このタイトルを見て、
猫好きの私は相当ショックだったんだけど、
もちろん、猫を棄てに行く話ではありません(笑)


家にいる大人の雌猫を
父と海岸に棄てに行く。

それが思い出せる父親との思い出。

棄てたはずの猫が、
自転書を漕いで、家に帰ると
「にゃあ」と嬉しそうに村上親子を出迎える。

その光景に
思わず笑ってしまった。

にゃあ。

うちにはいつも猫がいた。
猫たちはいつも僕の素晴らしい友だちだった。
兄弟を持たなかったので、
猫と本が僕のいちばん大事な仲間だった。
縁側で猫と一緒にひなたぼっこをするのが
大好きだった。
(P14)


春樹さんには
いつも一緒に猫がいるイメージがある。

猫っぽい人なんだろうか。

(シャムネコっぽいな。)

に、似てる!?!?


戦争を体験した父。

一緒に戦った戦友や、敵だった兵隊。
その命のために、毎日仏壇にお経を唱え続ける父。

「こんな平和な世の中で」

と言われても、勉強はあまり好きじゃなかった春樹さん。

それとは対照的に勉強をすることが大好きだったお父さん。

国語の教師だったお父さんとお母さんの間に
生まれ育った春樹さん。

教師ではなく、小説家になった春樹さん。

本が積まれていた家庭で育ち、本が大好きだったけど、
日本文学はあまり好きじゃなかった春樹さん。

日本文学が好きなお父さんと、アメリカ文学が好きな春樹さん。

阪神タイガースが好きなお父さんと、ヤクルトスワローズが好きな春樹さん。

似ているようで違う人間。

親の言うように育ちたかったり、反発してみたかったり、
だけど分かり合いたかったり。

歩み寄ったら、少し離れて。また近づいて。

だけど忘れられない。
忘れてはいけない。そんな関係。

自宅の庭の松の木に登っていった子猫が、
登った矢先に降りられなくなって、
果たしてその猫はどうなってしまったのか。

死んでしまったのか、それとも無事に降りられたのか。

「降りることは、上がることより難しい」

私たちは思ったより、無力。


綺麗な文章に、音に乗せられるように100ページが一瞬で過ぎた。

また、村上春樹のリズムに乗せられた。

踊るように好きになってしまう。

猫ではじまり、猫で終わる。

また、のせられちゃったな。


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