おろかなるひとり言。
昔、70年代に アイアンキングという特撮ヒーローがいました。
ヒーローなのに、弱いんですよ。で、いつもそのアイアンキングを助けるのは、当時人気絶頂だった俳優さんの石橋正次さんでした。
夜明けの停車場。
人気俳優さんを使うことによって、視聴率を獲得しようとされたのかも知れません(そういう意味ではない事は知っていますよ)
僕は、女性の方々がプロレスラーを応援するのは全然良いんです、本当に。ドンドン好きになって応援して欲しいと思います。プロレスラーが『アイドル』としてでも良いんです。これは本音です。
ただ男女問わず『推し』とか『プオタ』って使う言葉が僕には軽く感じちゃうんです。開き直ってる感。
アイドルファンが、推しって使うのは全然平気なんですよね。でも、プロレスファンが使うと(ん?)ってなっちゃうんです。
オタクって言葉も今じゃ市民権獲得してるし、皆が堂々とされている。それで良いんですけど、僕にはイメージ悪くて苦しんだ時代があるんです。
宮崎勉事件ってのが平成に入ってすぐにありました。(各自調査)
その犯人が今でいうオタクだったのです。殺人犯の部屋には特撮やアニメビデオが数千本あった。本も沢山あった。山のように積まれていたんです。
そこから、ワイドショーはオタクの悪を暴く事に必死ですよ。オタクだから殺人犯になったって。
その以前から、オタクって気持ち悪いとされていた。敬遠されていた。
この事件を僕は当時、現場仕事で訪ねていた愛媛県で知るんです。宿泊先の民宿で、新聞に大きな見出し。犯人の部屋も載せられていた。
その時、悔しかったんですよね。夜学生時代の若い頃だし、僕はプロレスファンだし、特撮もアニメも大好きだったから、同じように思われるのが本当に悔しかった。
今じゃ、アニメも特撮もサブカルから王道へとなっているじゃないですか。でも、それも時代を経てだと思います。偏見のど真ん中にいた世代としては、とても苦しかったんですよね。
金城哲夫さんという脚本家がいました。
ウルトラマンやウルトラセブンをメインに書かれていた脚本家さんです。
『小さな英雄』ってウルトラマンの回があります。
どんなに科学特捜隊が頑張っても、最後はウルトラマンが怪獣をやっつける。イデ隊員は悩むんです。
「自分はいったいなんなんだ」と。
でも、最後は、ウルトラマンの手助けもあって、イデ隊員が開発した武器で怪獣を倒すんです。
僕は、ウルトラマンはリアルタイムで見ていません。でも、僕達アラフィフの世代の夕方って、昔の特撮やアニメの再放送ばっかりやっていたんです。子供にとってのゴールデンタイムでした。
金城哲夫さんは沖縄生まれでした。当時の沖縄は戦争によって、アメリカ占領地になった。
日本だったのに、アメリカに変わってしまったんです。内地にいた金城さん。その想いはどうだったんでしょう。
怪獣や宇宙人を、自身と重ね合わせていたのかも知れません。
『悪』という意味ではなく、自身の意思ではなく『外』からきた者・された者として。
ウルトラマンが、すべて正しいのか?
最後は、沖縄の地で若くして去られた。
ジャミラの回も、そうですよね。
地球人で宇宙飛行士から、宇宙人の容姿に成り果ててしまったジャミラ。
戦うのが正しいのか、悩むイデ隊員。
最後は、ウルトラマンによってジャミラは倒されます。
ラストシーンで、イデ隊員は言います。
「犠牲者は、いつもこうだ・・・」と。
『故郷は地球』
この回の脚本家が、最初に紹介したアイアンキングを書かれた佐々木守さんです
イデ隊員の憂鬱と苦悩、金城哲夫さん・佐々木守さんの想い、そういう事などを特撮やアニメによって勉強してきました。今になっても学んだモノっていっぱいあるんですよ。
僕にとって、映画と何も変わらない。
だから、特撮やアニメをオタク文化って一括りにされた事には悔しかった。で、犯人はプロレスファンでもあったんですよね。プロレスのビデオも部屋にあったと。暴力的な思想はここから産まれたと評論家はワイドショーで語ってる。
悔しいんですよ。
ふざけやがってと本当に思っていた。
だから、僕は勝手にファン代表として生きてきました。
プロレスは、そんなもんじゃない。
特撮やアニメは、そんなもんじゃないと。
悔しいから、一生懸命に生きてきた。
だから、僕はそういう言葉に敏感なんです。昔の嫌な思い出があるから。でも、時代も変わって、推しって僕にとっては新しい言葉だし、プオタって言い切れるファンが羨ましい部分もある訳ですよ。
数年前に『家ついて行ってイイですか?』って番組に星が好きでアニメ好きな年収数千万の男性の方が出演されるんです。
大きなマンションの一室で、アニメの本やパソコンゲームに囲まれて一人で寝るその方は幸せそうだった。
良い人生だなぁって心から思いました。
ダメですね、歳取るって。許せない事が増えちゃうんですから。
プロ野球選手が帽子の鍔を真っ直ぐにしてるのでさえ許せないんですからね。
曲げろ!と。どうでも良い事なんですけどね。わかってるんです。わかってるんですよ。
だからって、絶対に許さないって事ないんですよ。『推し』って言われる方もわかるし『プオタ』って気軽に書かれるのもわかるんです。
ただこういう時代があったからこそ、僕はなかなか受け止められないんです。って事も理解してくださったら嬉しいです。
猪木さんが『プロレスに市民権を!』って一生懸命に闘われていたのもわかるんです。八百長問題にしたって。
すべてと闘われてきたんです、猪木さんは。
開き直るより、怒りを持って、世間と真っ向から闘う。
コンプレックス・劣等感。
偏見。
『ナメられたら終わりだぞ!』って選手にもファンにも叩き込んだんです。
僕は、皆さんを『否定』は絶対にしないです。同じプロレスファンだから。
仲良くしたいですよ。
僕だって、何も考えずにプロレスを自由に楽しみたいですもん。
本当に思います。
でもね、抗いたい自分もいるんですよ。
そういう事にも含めて。
譲っちゃったら、僕で無くなっちゃう。
そこも『闘い』だと思うんです。
ただ、僕の気持ちもわかって欲しいなぁと思って書いてみました。
ひとり言です。
お盆ですね。
プロレスの大会も沢山ありますよね。お休みの方はプロレスを楽しんでくださいね。
僕はお盆休みはありませんので、お仕事頑張ります。
プロレスラーが教えてくれているから。