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はじまりは、いつも雨。

2023年7月1日。
僕は淡路島から東京に向かう。
青木真也選手の応援にTDCホールへ。

去年を思い出す。
青木選手が初めてのUWFルールで闘うという事で燃えていた。
それから青木選手がGLEATに継続参戦。
ありがたい事に、青木選手が出場されている大会にはすべて行けている。
それによってGLEATも好きになっている。

前日の6月30日に仕事が終わり、ぐっすり就寝して淡路島から東京に向かう。
外は大雨。
新幹線が止まらないかと心配した。
大丈夫かと思っていたが、新幹線は10分遅れながら新神戸駅を出発した。

もう夏ですね

お弁当食べながら、窓を見る。
去年は晴れていたなぁ。
良い天気だった。
今年は雨。
それも記念だ。
想い出になる。

青木選手は『振る』と宣言していた。

楽しみだった。

僕は飯塚優選手に注目していた。

普通に試合してるだけじゃ何も意味ないと思っていたから。
正念場。
そう思っていた。
何気ないカードだけに意味がある。

何故、セミ前・セミ・メインがLIDET UWFなのか。
そこを考えてほしいのだ。
東京駅に到着。
雨は降っていなかった。
急いでホテルへ。
チェックインして会場へ。

去年も驚いたが、豪華な演出だった。

セミファイナル。
飯塚選手・吉田選手入場だ。

佐藤光留選手の入場。

そして、青木真也選手の入場。

胡座をかいていた。
ここで僕には(どうしようか)と宿題を出された気分だった。
試合は見てください。

終始、青木真也選手・佐藤光留選手組のペースだった。
申し訳ないが、吉田選手は明らかに怖がっていた。
ええカッコしぃは、すぐにわかる。
青木選手は合わそうともされなかった。
それが答えです。

論外です。
佐藤光留選手がコントロール。

代わった、青木選手もペースに持ち込む。

最後の残り5分は、青木選手と飯塚選手の。
いや、飯塚選手の意地以上だった。

何か、青木選手が教えてるようにも見えた。

青木選手が「立て!」といっても座ったままだった。
動けないのか作戦なのか。
『絵』を描こうとしてるのか。
逆に青木選手が描いてるのか。

そこから飯塚選手が動いてのスリーパー狙い。

そこを切り返してのツイスター。

タップしない飯塚選手。
ゴングが鳴った瞬間、手がマットを叩いていた。
だが時間切れ引き分け。

悔しがる青木選手。
何とか耐えた飯塚選手。
和田レフェリーが両チームの手を上げる。

佐藤光留選手は、そそくさと帰ってしまった。

それが『佐藤光留』らしかった。
飯塚選手は、試合後も青木選手に向かっていった。

(わかったよ・・・)

青木選手の声が聞こえてきそうだった。

良い試合だとかは、僕にはどうでも良かった。
飯塚選手が奮闘したのか?
青木真也選手が極めきれなかったのか?
すべては藪の中。
ただ、僕達に『残した』のは飯塚優選手だった。
そして『残させた』のは青木真也選手だった。
青木選手が意地悪く攻撃していたと言う人もいるが僕は違うと思う。
そうしなくてはいけなかったのだ。
そうするしか『形』ならないのだから。
真っ当な姿勢だった。
そこに胸打たれた。

メインイベント。

伊藤貴則選手が負けた。
あの先月の青木選手との試合は何だったのか?
簡単に負けちゃいけないはずだから。
フジタ選手がLIDET UWFの王者になった。
どうなっていくのか?

去年の年末に青木選手は伊藤選手と引き分けた。

その試合に僕は感情移入した。
そして先月、青木選手と伊藤選手は素晴らしい試合をした。

すべては『プロレス』だ。
地続きで繋がっていく。
僕には飯塚選手と青木選手の向かい合う姿・試合がまた観たくなっていた。

青木真也選手に『問題』をまた与えられたようだった。
今回の試合で飯塚選手は首の皮一枚残った。
それもまた『問いかけ』のようである。

今日の試合に感じた事は『青木真也』は『プロ』である。
持ち場・役割・立場をわかっている。
その姿に心打たれた。
今日の試合は『青木真也』ならではこそだったからだ。

新生UWFの頃。
日本武道館で高田延彦さんが鈴木みのる選手と初対決した。
鈴木みのる選手はレガースをつけていなかった。
だから蹴りはできない。
高田さんは、鈴木みのる選手に付き合った。
二人でずっと寝技の攻防。
客がブーイングしてもお構いなし。
最後は高田延彦さんが勝利した。
その時、客を無言で一瞥した。
この試合も『問いかけ』であり『謎かけ』だった。
期待に合わせるだけがプロレスではないのだ。
二人で試合を通じて会話していたのではないだろうか。

今の時代にUWFは必要か。
だが、UWFが『プロフェッショナル・レスリング』というのであれば、その問題にも答えなければいけない。
時間がかかっても良い。
UWFの宿命。
LIDET UWF は『進化』か『深化』か。
それをも解いていかねばならない。

その問題を青木真也選手が出してくれているようだ。
その答えは誰が解いてくれるのだろう。
飯塚優選手。

彼はもしかしたら『選ばれし者』なのかもしれない。

出口でGLEATの選手全員が僕達ファンを見送ってくれていた。
僕は飯塚優選手に近づいて言った。
「頑張ってください」
「ありがとうございます」
飯塚選手は疲れているだろうに、笑顔で応えてくれた。

会場を出れば、また雨が降っていた。
はじまりは、いつも雨。
ほろ苦い試合。
湿っぽい試合。
ジメジメした試合。
だが、僕は観ていて嫌な気分にはならなかった。
青木選手と飯塚選手。
両者の奏でるセッションが、自分よがりながらも心地良いものだったのだ。
だからこそ僕は、小走りにホテルに向かった。
明日は晴れるそうです。
そういう事です。
やまない雨はない。

これからも観ていきます。
GLEATを。
LIDET UWFを。
青木真也選手を。
飯塚優選手を。
2023年7月1日、今日という日を忘れないから。

序章。
これからだ、始まりは。

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