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深夜、堕落したブルーライト、ぼくら勝手に孤独になって輪廻。

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散文詩/自由詩まとめ。
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2022年6月の記事一覧

Kitchen Singer

Kitchen Singer

ぎんいろの蛇口をひねるごと願う冷たすぎずにありますように


ぎこちないメッセージアプリ不器用に林檎の皮をむくようにして


空腹と間違えたくて間違ったおなかのあいたような淋しさ


ごみ箱も余剰だよって笑ってるカヌレの包みがひとつこぼれる


真っ白なお皿は落ちて星になる今日のぶんの心臓割れちゃった


卵から産まれてないからためらわず卵を割れるひとのオムレツ


侘し

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わたしの為だけに鳴れよ鐘

映写機みたいだね
シルバーの自転車のタイヤ
ゆっくりまわるたび
再生される夏
君が建てた映画館では
上映しないんだろうね
わたしの狭いアパートの
薄汚れた壁でだけ延々 炎々
延々と永遠を聞き間違って
運命だと思えよ サブリミナルスター
鳴らない鐘をいつまでも
飾るひとの気持ちが分からない
ひとの気持ちが分からない
薄いマグカップの縁を
シンクにこつんとぶつけた
にせものの鐘
鳴ったけど
まだ死なな

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わたしのアーク

遊園地のパンダもメリーゴーランドも、公園のどうぶつのかたちの遊具も、スワンボートも、 わたしがのらないほうが美しくて、ほんとうはわたしがいないほうが、だれもいないほうが美しくて、
きみがそういう動物でなければいいな、と、こわくなるのです。
きみは、わたしがいるほうが美しい動物で、わたしだって、きみがいたほうが美しい動物で、あってくれないと、ふたりぼっちが一番美しくないと、きみは、柵から出ていってし

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