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「黒影紳士kk」season4-5幕〜帰ろう…黒影〜 蒼と赤、炎の旋律編🎩第二章 幻影の黒影

――第二章 幻影の黒影――

 ……やっぱり……影絵の予知に似ていたからな。
 その男はもう亡くなっていた。
 黒影は慌てて店員に声を掛ける。
「あの、この席の……そう、あそこで酔って寝ているお客さん、個々に来る時に何か手に飲み物を持っていませんでしたか?」
 と、亡くなったと言うとパニックになるのでそう聞いた。
「どうだったかしら?……あっ、ねぇ貴方さっきいたわよね?知ってる?」
 と、隣の店員にも聞いてくれた。
「あー、お水じゃない?ほら、ミネラルウォーター屋さんの。フルーツとか野菜の入ってるやつ。でも、種類が多いから、どれだったか分からないわ。」
 と、その店員は言う。
 丁度風柳が、やっと黒影に追いついて、
「どうしたんだ、急に走って。肉体労働は嫌いじゃなかったのか?」
 と、力は風柳の方が上でも、黒影のフットワークの軽さに呆れてながら聞いた。
「風柳さん!今直ぐ、2階ミネラルウォーター屋の販売停止を店長に!館内放送で飲まないように喚起もして下さい。これは無差別殺人だっ!被害者が増える前に、早く!……館内、全面封鎖だっー!!」
 黒影は風柳を急かした。
「また走るのかぁ〜。」
 そう言いながら、風柳はヨロヨロになりつつも、また背中を但し必死で店長室へ走って行く。
「……サダノブ、僕だ。」
「え?僕僕詐欺ならお断りです。」
「ふーざぁーけるーなっ!2階のミネラルウォーター屋を重点的に調べる。待ち合わせよう。」
 と、落ち合う約束をしたその時だ。
「きゃーーっ!!」
 短く高い悲鳴が聞こえた。
 黒影は辺りを声のした方へハッと振り向く。
「……どうしました?」
 黒影は辺りの人が騒めき一歩引く中、直ぐ様付き添いらしき人物に聞いた。
「きゅうに……倒れて……。」
 青褪めたその女性は震えて、詳しく話せないようだ。
「誰かっ!救急車を呼んで下さい。」
 ……うっ…………………………。
 一瞬、黒影は苦虫を噛み潰したような微妙な顔をした。
 ……仕方無い……人命救助っ!
 黒影はコートから人命救助用のマウスピースをを出し青褪めている女性に、
「あの、彼の毒吸い出しますけど良いですよね?」
 と、聞くとその女性はこくこく頷く。
 ……おい、彼女ならお前がやれよっ!……
 と、心に想いながら仕方なく毒を吸い出し、床に吐き捨てた。
「誰か空いたカップとかありません?」
 と、聞いて流石に床は宜しくないと頼む。
 ……うっ……気持ち悪い……。
 と、思いながらも何度か毒が出る様にする。
「もう、吐かせましょうか。」
 黒影がそう言った時に、咽せ返り意識を取り戻した様だ。
「あの……貴方は?」
「絶対名乗らない通りすがりの妻子持ちです。」
 と、黒影は冷たく遇らうと、うがいを勧めて2階へ走って行く。
「先輩、やっばっ。笑えるんですけどぉー!」
 サダノブが2階から見ていたのか、腹を抱えて笑っている。
「人命救助だっ!」
 と、黒影は怒っている。
「まあ、人命救助だもんねー。」
 と、白雪は女より安心だったらしい。
「先輩、童顔で睫毛長いからなぁ……。犯人、何人惚れ落としたんでしたっけねぇ……。」
 と、サダノブは黒影が気にしている童顔を出して茶化すので黒影は、
「シャラープッ!それ以上行ったら名誉毀損で訴えた挙句にクビだっ!」
 と、眉間に皺を寄せて怒る。
「怒っても、怖く無いですよーっ♪」
 と、揶揄うので、黒影は
「お前がこの店の商品、全部毒味しろ!」
 と、黒影は並んだミネラルウォーターのタンクを指差した。
「えー、いくら社長命令でも無理でーす。」
 と、サダノブはふざけて答えた。
「ふんっ!じゃあ……こうしよう。一人ずつ順番で飲もうじゃないか。これぞ、正にデスゲームだっ。一度やって見たかったんだよなぁー。」
 と、黒影は楽しみだと笑い出す。
「いやいや、無理ですって。」
 と、サダノブは本気で首を横に振るのだが、
「じゃあ、僕が全部試す。倒れたら救急車呼んでくれたまえ。それになあ、飲まないで毒かどうか決めるなんて、作った人に失礼じゃないか。ちゃんと謝れ。なぁ、白雪……サダノブは本当に馬鹿だし礼儀も知らない。」
 と、白雪の頭を撫でてにっこりと笑う。
「大丈夫なの?」
「ああ、大丈夫さ。」
 ――――――――――――――――――――――

「あーっ!美味しいっ!さっきサウナに行きましてねぇー、熱くて熱くて……生き返りますよ。それにこの林檎入り……良い香りだ。どこ産の水なんですかねー?」
 と、黒影は店員と会話を楽しみながら次から次へとクリアして行く。
「オレンジかっ。柑橘系はリラックスにも良い。これが最後で良かった。……ところで、ここは店が多いから注文したら出来上がりの呼び出しブザーを渡されるよね?あれって、管理する人、大体決まっているのかな?」
 と、黒影は聞きながら、とうとう最後のオレンジを口にしてしまった。
「先輩それっ!」
 お喋りに夢中になって間違えて飲んでしまったのだと思いサダノブは大きめの声で言う。
「……ん?何、飲みたいの?さっき無理とか言ってたのに?気が変わったなら早く言いなよ。」
 と、黒影は言った。
「えっ?毒は?」
 と、サダノブがぽかんとした顔で黒影に聞く。
「そんなの入ってないよ、失礼だなぁー。ねぇ?だってさぁ……毒をコップに入れたの……後ろの貴方ですからね。
 金城さん。」
 と、黒影は名札を見てニヤッと笑って言った。
「僕から逃げようなんて考えない方がいいよ。」
 黒影はそう言うなり影を店の奥の出入り口まで伸ばした。あの長いお喋りはカウンター越しに、店の中を観察するのと、聴き込みだったのだ。
 伸びた影を気にせず、金城は出入り口を入って行く。
「はい、つーかまえた。」
 黒影は金城が影に入ると影を閉じてしまう。
「見たー、サダノブ!相手が僕が黒影って知らないだけでこんなに楽に捕まってくれるんだっ!……いつもこうだといーね。」
 と、黒影は帽子の先を下ろし、ケラケラ楽しそうに笑う。
「先輩?」
「ん?」
「最近、悪魔度増してません?
「そうかなぁー……?」
「そうですよ。」
 ――――――――――――――――――――――
「あーあ、もっとド派手に解陣したかったなぁー。……鳳、元気かなぁー。」
 と、黒影は店内中を調査して回る。
「結局は力がどうのって前に、鳳が大好きなんでしょう?」
 と、サダノブが聞く。
「うーむ……。最初は言う事全然聞かなかったのに、やっと慣れてくれたからなぁ……。ペットみないな感じ?
 ……あっ、毒あった。」
 と、黒影は小瓶を手にした。
「……カンタレラ……か……。」
 と、黒影がぼそりと言う。
「カンタ……?」
 サダノブは知らないみたいだ。
「カンタレラだよ。……詰まるところの、鈴蘭の毒。何処でもある毒だよ。大麻だとか麻薬は栽培禁止でも鈴蘭は毒性があっても自由だからな。鸞の部屋にも沢山あるよ。鸞の場合は薬品も使って効率を調整しているみたいだけど……いつか、間違って攻撃の時にくらったらと思うとゾッとするのもある。鸞が修羅になった時、まぁ……そうかもなぁ……って、父親なのに妙に納得してしまったよ。……まっ、それでも全部が陰ではないから良かった。陰陽あれば、形は違えど人と変わらない。」
 と、黒影は鸞の事を毒で思い出した様だ。
「ちょっとさ……犯人と話したくなった。風柳さんには確保したって……後、手荷物チェックしてミネラルウォーター持って無ければ他返して良いよって伝えてくれるかな?」
 と、黒影はサダノブに頼んだ。
「ええ、分かりましたけど……先輩、今日話し方優しくありません?」
 と、何か違うなぁーっとサダノブは黒影に思って聞いた?
「そうかなぁ?……何時もと変わらないよ。目が蒼いから雰囲気も違う様に感じるんじゃないか?」
 と、黒影は言うのだ。
「……あれ?……やっぱり馬鹿が減ってるし、命令口調少ないし、さっきも「伝えてくれるかな?」でしたよ。……そんな訳ない、伝えろ!早く行け!馬鹿犬!じゃないんですか?」
 黒影はそう言われてみればと、サダノブの言葉にアレ?と思う。
「そう言われてみれば……。少し昔っぼい気がするな。目の影響だろうか?……今考えても仕方無い。そのうた分かるさ。」
 と、影の中へポンッと入って行った。
黒影は影の中で、金城に会う。
「……鈴蘭だね。カンタレラごっこ?あんまり趣味の良い遊びじゃ無いようだ。僕は「幻影の黒影」。動機……教えてよ。」
 黒影は率直に聞いてみる。
「誰がお前なんかに……。」
 と、金城は言った。
「捕まったから僕には嫌なのかぁ。じゃあ、誰だったら話す?因みにね、この影の中なんだけど、僕のものなんだ。君が話さないのなら、此処が刑務所代わりで、厳しい僕が刑務官になるけど、いーの?」
 と、黒影は言ってみる。
「毒があったからだよ。」
 と、金城は言った。
「へーぇ、変なの。じゃあ、銃があったら銃だったし、槍があれば槍だったし、包丁が各家庭にあっても見たら包丁なの?馬鹿みたいだね。」
 と、黒影はクスクス笑った。
「笑うんじゃねぇーよ、薄気味悪いなっ!」
 金城が急に怒鳴った。
「薄気味悪い?……それも間違いだ。薄気味悪いどころじゃ無い。化け物だよ、僕は。」
 金城はその言葉に警戒しているのか、黙り込んだ。
「ねぇ……動機が聞きたいだけなんだ。……だけど、聞けないなら犯人死亡。若しくは行方不明で書類送検かな。
 毒って言っても作るって程じゃない。油絵の具だってヒソ中毒を起こす。その程度の知識が動機か?」
 と、黒影は頭を傾げて聞いた。
「……死んだとこ、見たいと思わないか?人が……喉掻き毟ってさ。……だって見た事が無いんだ。興味が出ても良いじゃないか。」
 と、金城はそんな動機に変えた。
「おいっ!どっちが本当の動機だ、サイコが。ビビったフリなんかいつまでしてやがる。笑わせるなよ。毒を盛って番号の書いたブザーと交換する。丁度死んだのを見計らって、その番号の席の辺りを探し、見つけてどの店か分からない様に紙コップを回収する。苦しんでいる途中じゃない。コイツだって言われたくないからな。単に死体が見たい……そうだろ?しかも、外傷の無い、出来立てほやほやの死体を。美味そうな料理を見て満足するようにね。」
 と、黒影はドス黒い声で話した。蒼い瞳が薄暗い闇の中、地獄の炎のように光っている。
「良くわかってるな。……分かったんなら出せよ。」
 と、金城が黒影に言った。
「お前……僕がお前のその命令口調で出すとでも思っているのか?ここの権限は総て僕に在るんだ。
 僕の名は「幻影の黒影。」悪はみんなそう呼ぶ。「黒影」でも良いのに、恐れる奴程、「幻影」って付けるんだ。二度と出会わないようにね。四人……四人君は殺した。危なく五人になるところだったじゃないか。あーあ、男に人口呼吸とか、本当あり得ない。最悪な一日だ。……だけど、君の極刑はもう決まっている。だから最高な一日でもある。」
 と、黒影が暢気に笑うと、金城は黒影の笑った口に液体を投げた。
「お前が五人目だよっ!これで最悪な一日だな。」
 金城のその言葉を聞いて、黒影は狂った様に笑い出した。
「はははっ!なんて愚かで痛快な奴なんだっ!物忘れがちょいと酷いらしいな。僕の名は「幻影の黒影」と言っただろう?……まさかこの空間程度が影だと思っているんじゃなかろうねぇ。……教えてやろう……僕の存在そのものが「影」だ。」
 黒影は帽子をひっくり返し、二重底の蓋を空けてメスを取り出す。
「これ、探偵の秘密道具。暇だから一個ぐらい見せてもいい。これでね、面白いマジックが出来るんだ。死体よりきっと面白いよ。」
 そう言って、黒影は薄暗い中ニヤッと笑い舌を出して自分の舌をメスで切り落としてしまった。
 そして、影の糸で蜘蛛の様に金城を身動き一つ出来なくすると、髪の毛をガッと引っ張り、顔を上げて口を開けさせる。
 そして、ロングコートから取り出したビニール手袋を嵌めると、まるで麻酔のない手術を始めるかの様に、金城の舌を引っ張り出してメスで切ってしまった。
「ねえ……痛いでしょう?殺されるってどんな感じ?……早く新しい舌を上げないと、喉に舌が詰まって死ぬよ。治して欲しい?」
 金城は声にならない声でバタつき痛みに痙攣を起こし気絶しそうだ。
「ははは……そうか、お返事できないね。ほら、僕がさっきお前のせいで受けた屈辱のお返し。」
 と、黒影は影の舌を金城の切れた舌の上にくっ付けるように置いた。
 一方の黒影は舌を影で作り上げて再生させる。
「あのね……こう見えて、僕潔癖症なところあるんですよ。余った君の舌……どうする?触りたくないなぁ……。警察にバレないように捨ててくれるよね?出来なきゃ何回でも舌を切るけど、約束を守れなかったら刑務所内だろうが、影で遊びに行ってやるよ。」
 と、黒影はその蒼く浮かんだ瞳の横にメスを翳しぎらつかせた。
「分かった!必ず、舌は上手く捨てる!だから出して、出して下さい。」
 そう金城が慌てて言うと、黒影はにっこり笑い、
「そうか。手術が大成功で良かったな。ちゃんとまともにお話が出来るようになったみたいだ。少しだけお勉強したみたいだから、出してもいいよ。……その代わり……この事は悪以外に話したら……今度は舌の代えがないと思え。」
「わっ、わかった、わかった。」
「んー?聞こえないなぁ。」
「わっ、分かりました!」
「良し、良い子だ。」
 ――――――――――――――    
「お待たせしましたー!風柳さん、動機分かりましたよー。」
 黒影は屈託のない笑顔で笑っている。
「おお!やったな。」
 風柳が黒影の頭をグシャっと撫でて、黒影は擽ったそうに微笑んでいる。
「これで、署長も大喜びだ。」
 と、満足そうに言った。関係車両が続々と到着し、警察は素早い逮捕だったと称され、夢探偵に何時もの倍の謝礼金を出し、人命救助のお手柄と、探偵なのに賞状を貰った。
「僕……何もしていないんですけどねー。」

 それは本当の様な嘘のような言葉だった。

 ――――――――――――――――――――――
「先輩……ちょっと、目……看せてもらえます?」
 サダノブが黒影に聞いた。
「何で?」
「何でって、幻視能力者にやられた時様に、元の形に戻さないといけないじゃないですか。」
「……あ、そうだった。」
 黒影は少し顔を上げて前髪を上げて診てもらう。
「あれ……この蒼い目も、良く見たら中に炎が閉じ込められてるんですね。」
 サダノブは黒影が殺気を出していないので、良く見てから気付いた。
「……えっとねー、犯人を追うの、地獄からでも這って出て来る。昔は、地獄の炎の目って悪党に言われたよ。僕が過去の自分を「亡霊」と呼んでいたのはその結果。赤でもどっちでも僕は見慣れたけどな。」
 と、黒影は答えた。
「あっ、でも周りは蒼い硝子みたいで綺麗だ。」
「そうかー?」
「光が入ると外国の人みたいですよ。」
 と、サダノブは言うが、黒影はそんな良く見た事は無い。
「ふーん。今度見てみよう。……まだかぁー?」
 と、黒影が首が疲れた頃……
「あっ!何この記憶っ!」
 サダノブが驚愕して一瞬、黒影を見て怯える。
「おいっ、人の思考読むなよ。」
 と、黒影は注意したのだが、
「否、視神経付近を脳経由して診ているんだから、多少は思考読めちゃいますよ!……それより、何?この悍ましい舌取り替えごっこは?!」
 と、金城と影の中での出来事がバレてしまった。
「影で遊んだだけだよ。」
 と、黒影は簡単に答える。
「否、最早拷問レベルですって!小悪魔が悪魔になって悪魔大魔神ですって!」
 と、サダノブは恐怖に翳す手が震えている。
「だって四人も殺して何も思っちゃいないから、少し揶揄っただけだよ。ちゃんと治してやったし。」
 と、黒影は説明した。
「まさかそれで口調変わったんじゃ……。」
「へっ?」
「犯人の前だと、結構口悪いですよ、先輩。」
「そうか?」
「そうですよ?」

 ……そもそもこんな幻視能力者対策をしているのは、
 僕の「真実の目」と鳳を奪われる、ほんの数日前の厄介な事件があったからだ。
 ――――――――――

🔸次の↓「黒影紳士kk」season4-5幕 第三章へ↓(此処からお急ぎ引っ越しの為、校正後日ゆっくりにつき、⚠️誤字脱字オンパレード注意報発令中ですが、この著者読み返さないで筆走らす癖が御座います。気の所為だと思って、面白い間違いなら笑って過ぎて下さい。皆んなそうします。そう言う微笑ましさで出来ている物語で御座います^ ^)

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お賽銭箱と言う名の実は骸骨の手が出てくるびっくり箱。 著者の執筆の酒代か当てになる。若しくは珈琲代。 なんてなぁ〜要らないよ。大事なお金なんだ。自分の為に投資しなね。 今を良くする為、未来を良くする為に…てな。 如何してもなら、薔薇買って写メって皆で癒されるかな。