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男子新体操に関する記事

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国士舘大学 新潟演技発表会 2024

国士舘大学 新潟演技発表会 2024

外では冷たい雨が降る中、鳥屋野体育館の中は若いエネルギーと観客の歓声であふれていた。毎年、山田小太郎監督が「この演技会に初めて来たという方いますか?」と観客に尋ねるのだが、初めての人とリピーターが半々くらい。つまり、試合会場と違って「男子新体操ってなに?」という感じの方も相当数おられると推察する。にもかかわらず、演技会終了後は皆さん、ニコニコしながら「よかったね〜」「最高でした!」「すごかった」と

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国士舘OB、現役選手そして喜田純鈴さん出演イベント

国士舘OB、現役選手そして喜田純鈴さん出演イベント

国士舘OBでNHKテレビ体操アシスタントの石川裕平さん、織田一明さん、国士舘大学新体操部の森谷祐夢選手、大塚幸市朗選手、吉留大夢選手、岡本瑠斗選手、野村壮吾選手が出演したイベント(VIVANTさん発表会)が銀座のホールでありました。小さな子からティーンエイジャーくらいの年齢の子供たちの歌、ダンス、演技の合間に、男子新体操の個人演技と長縄が入る構成です。

ちょっと↑写真の説明を。NHKテレビ体操の

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社会人大会の良さを語ろう

社会人大会の良さを語ろう

昨夜、佐藤三兄弟(綾人さん、颯人さん、嘉人さん)、安藤梨友さん、堀孝輔さん、満仲進哉さんが10/1の社会人選手権(岐阜・で愛ドーム)に出場すると発表があった。「黄金世代」と呼ばれる学年の、同期スターが集結したドリームチーム。ファンの間に激震が走る。

あらためて、彼らが大学3年時の映像を見返してみた。個人選手トップ8の競演、全日本インカレ種目別決勝。まずはスティックに出場した選手について語っていき

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織田一明(おだ かずあ) 国士舘大学4年

織田一明(おだ かずあ) 国士舘大学4年

よくぞ、これほど魅力的な個人選手に成長してくれた…と、関係者でもなんでもない私が言うのは実におこがましい。おこがましいのだが、どうしてもそう言いたくなる理由がある。

なんと彼は、大学に入るときは団体か個人かで迷っていた。いやむしろ、団体の線を熱望されていたと言ってもいい。しかし彼は個人を選んだ。国士舘大学での4年間で、比類なき華やかさと美しさを持つ選手に成長し、印象的な作品群を残して、彼は次のス

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吉留大雅(よしどめ たいが) 国士舘大学4年

吉留大雅(よしどめ たいが) 国士舘大学4年

最高峰の試合であるジャパン(全日本新体操選手権)に出場するためには、全日本インカレで18位以内に入る必要がある。男子新体操にプロはない。大学4年生が、実質的には「ラストイヤー」なのである。

吉留大雅選手は4年生の今年、全カレで19位だった。
悔しかった。
初めて、親の前で泣いた。
「母にも悔しい思いをさせてしまったことが、申し訳なくて涙が止まりませんでした」

涙する息子に対し、母は「まだクラ選

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吉村 航也(よしむら かずや) 花園大学4回生

吉村 航也(よしむら かずや) 花園大学4回生

彼が1回生の頃、花園大学に取材に行った。その時の吉村選手を今でも鮮明に覚えている。

個人選手の中で、最後まで練習場に残ってストイックに練習していたのが彼だった。なかなか決まらない投げ技を、何度も何度も繰り返す。鏡を見ながら動きを丹念に確認する。新体操の練習は、試合での華やかさとは裏腹に、地味で単調で、そして泥くさい。

今年のジャパンで彼は4種目をきっちりまとめ、終わってみれば個人総合8位、しか

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田中涼介君のこと

田中涼介君のこと

日本一を目指すトップ選手として

田中涼介君は、福島県の華舞翔新体操倶楽部出身。高校は男子新体操の名門である青森山田高校に進学。そして、青森大学では個人選手として活躍。いずれ日本一を争うことになるだろうと誰もが考えていた、トップレベルの選手だった。特に2022年東インカレのクラブでは18.425という高得点を出し、種目別優勝。個人総合でも準優勝という成績を残し、全日本インカレ、ジャパンでの優勝争い

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The Forceが残したもの

The Forceが残したもの

なぜ、個人選手だったのか

その企画は、「個人はなぜ、団体ほど注目されないのだろう」という素朴な疑問から出てきたものだ。

幸運だったのは、取材しやすい国士舘大学に魅力的な個人選手が揃っていたこと、舘山楓弥君が東京にいたこと、そして応援!男子新体操が素人集団であるが故に、活動に何も縛りがなかったことだ。

男子新体操を、どんな入り口からでもいい、知ってもらいたい。
フィギュアスケートと同じ表現スポ

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国士舘大学 全日本インカレ前練習 (2022年6月)

国士舘大学 全日本インカレ前練習 (2022年6月)

真夏のように暑い6月の土曜日、国士舘大学多摩キャンパスにある新体操部の練習場を訪問した。

団体団体メンバーは、全カレの演技を細かく分け、秒単位で繰り返していた。この時期、よく見られる光景である。だがそこには、例年と違う風景があった。山田小太郎監督が、自ら動きながら選手に手本を示していたのだ。

その動きの美しいことといったら。
選手は監督を真似て動こうとするが、なかなか同じ形にならない。

今ま

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映画「バクテン!!」で描かれたインターハイ

映画「バクテン!!」で描かれたインターハイ

試合で起こること

映画「バクテン!」を見て、一番刺さったのは香川のインターハイのシーンでした。あの演技の中で起こったことは、実際の試合会場で何度も、何度も見てきました。その時の選手の心象風景をスローモーションで描いた見事さ。その後の場面転換の見事さ。

映画のそのシーンも、試合で実際に見るそのシーンも、胸が「ズォン」と鳴る瞬間です。

男子新体操の団体演技は、わずか数秒の動きを何度も何度も、1年

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2021年全日本選手権大会(ジャパン)

2021年全日本選手権大会(ジャパン)

団体青森大学が昨年の雪辱を晴らし、優勝。
文句のつけようのない、素晴らしい演技だったと思う。ある経験者の方に「団体をバラしで見るようになったら立派なオタク」と言われたことがある。もちろん、男子新体操オタクな私は、団体をバラしで見る(注目したい選手を追う)。ところがこの青森大学の演技だけは、バラしたくないと感じた。演技全体を貫く統一感があまりにも見事であり、バラす必要を感じない。まるで「スイミー」で

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ロシア日記 2018年4月27日〜5月5日

ロシア日記 2018年4月27日〜5月5日

2018年4月26日深夜、関西国際空港のホテルで、私はロシア側の担当者であるアナスタシアに掛け合っていた。

「早く飛行機のチケットを送ってほしい。このままだと明日のフライトは不可能だし、ロシアにも行けなくなる。」

「今、上司に承認を取っているからもう少し待ってほしい。」

「いったい何時間かかるのか。予定のフライトまであと数時間しかない。あと1時間以内にチケットを送れないなら、男子新体操チーム

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2019年 井原高校 インターハイ団体優勝

2019年 井原高校 インターハイ団体優勝

岡山県立井原高校は、緑濃い山々に囲まれた静かな町にある。日本全国のみならず、世界にファンを持つ男子新体操の強豪チームは、長田京大監督のもと、この小さな町でひっそりと練習を積んでいる。

インターハイで劇的な優勝を遂げたこのチームの演技は、多くの人が「井原史上最高の演技」「圧巻」等々、最高の褒め言葉で称えた。筆者はインハイTVのリアルタイム中継で観戦していたのだが、井原高校の選手たちがマットの上で開

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田中 啓介(たなか けいすけ) 国士舘大学4年

田中 啓介(たなか けいすけ) 国士舘大学4年

大学1年 ルーキー時代4年間でこれほど印象が変わった選手もいない。

初めて国士舘大学でインタビューしたのは彼がまだ1年生の頃だったが、その時の第一印象は、「笑わないストイックな選手」。取材されることが好きではないのだろう、と思ったものだ(今思うと、ただ真剣なだけだったのだと思う)。そんな彼の練習の邪魔をしないようにと遠慮しつつ、それでも視界に入ってくる頻度が高い彼をカメラ越しに追った。

彼はま

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