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<セミナーレポート> 採用に困らない園の秘訣「職員ファースト」の環境整備

6/24(金)に開催したオンラインセミナーのレポートをお届けします。
離職率を下げ、学生が魅力を感じる「職員ファースト」とは?

ぜひセミナー動画をご覧ください!

※こちらからセミナー動画をご覧いただけます。

【保育業界を取り巻く環境 スマートエデュケーション】(2分00秒〜)

皆さんは「潜在保育士」という言葉を聞いたことがありますか?
保育士資格を持っていながら園に就労していない人のことです。この潜在保育士は実際どのくらいいるのでしょうか?なんと、全資格保有者の67.1%にのぼるそうです。子どもの未来を担う仕事なのに、これではあまりにもさみしいですね。なぜなのでしょうか?

せっかく資格取得しながらも園で就業していない

就業していない理由は様々ですが、「労働条件・環境による不安」「職場の人間関係」が多いようです。どんな園でも、さまざまな考えを持った人が共に働く以上、マイナス部分をゼロにするということはできないでしょう。そんな中で、花吉野えんめい保育園はどのようにして、職員・園児・保護者みなが幸せな環境を築いていったのか?をお話いただきました。

【ENMEI STYLEについて 奈良県 花吉野えんめい保育園 園長 外村かよ先生】(7分58秒〜)

花吉野えんめい保育園は現在132名の園児が在籍している、延明寺が母体の園です。近くには世界遺産の吉野山が望め、自然環境にも恵まれています。

最初に、保育士が人気のない理由を外村先生は以下のように考えています。
1.仕事の膨大さ
2.賃金の低さ
3.職場の人間関係

保育士は、子ども時代は幼稚園・保育園の先生に憧れを持っていたのに、いざ就業してみると、仕事が多く定時で帰れず、結婚後も続けられるのか不安、女性が多い職場で人間関係が複雑、など現実に直面します。一方園では、少子化や幼児教育無償化の影響で低年齢児の就園数が減少していく中、国が定めている職員数を維持しないと運営ができなくなってしまいます。そのため、外村先生は、今いる先生たちを大切に、職場環境を整え、離職率を減らすべく、持続的な成長を支援する「TUKS(つくす)制度」を導入しました。TUKS制度とは、
T:タイムコントロールで美しい1日を
U:美しく綺麗な身だしなみ
K:腰骨を立てて美しい姿勢
S:スキルを磨き美しいライフスタイル
の頭文字を取っています。

T:タイムコントロールで美しい1日を
先生たちには、1日24時間を目的を持って有意義に過ごしてほしい。そんな願いから「フレックスタイム制度」を導入。趣味や家族との時間などプライベートの時間が確保しやすくなりました。
U:美しく綺麗な身だしなみ
保育士ってどんなイメージを持たれているでしょうか?黒髪にジャージ、エプロン・・・。そんな画一的なスタイルでは自分の個性、能力を活かすことができないと考え「オフィシャルカジュアルユニフォーム」を導入。品質やブランドにもこだわり、複数アイテムを組み合わせコーディネートすることも可能に。降園後プライベートでどこかに立ち寄っても気後れしないデザインとなっています。
そのほかにも「ENMEI STYLE」という規範を整え、職員に配布し、個性を発揮しやすくしています。

K:腰骨を立てて美しい姿勢
花吉野えんめい保育園では「立腰教育」を取り入れています。園児だけでなく職員も腰骨を立て美しい姿勢を保つことにより、気持ちがシャンとし、意欲的になれるそうです。
S:スキルを磨き美しいライフスタイル
保育士資格だけでなく、先生たちがさまざまな資格を取得することを支援しています。そうすることにより視野が広がり、人生が豊かになると考えているからです。この制度で先生たちは、「ベビーマッサージ」「カラーコーディネート」など、さまざまな分野の資格を取得してきました。

この制度により、職員が主体性を発揮するようになりました。
子どもたちが主体性を発揮するには、まずは先生が主体的であるべき。「まず、主体性をもつ職員を育てましょう」外村先生はそうおっしゃいます。

他にも休憩時間にマッサージやセラピー、占いやネイルサービスを福利厚生の一環として導入したり、一人で作業に没頭したりちょっとした保護者面談ができるように玄関脇にワーキングスペースを設置するなど、先生が喜ぶような施策がなされています。

これが「ENMEI STYLE」。保育士がネガティブなイメージではなく、憧れの対象となるのです。

【現場からの声① 4・5歳サブリーダー、4歳児主担任三箇彩月先生】(22分40秒〜)

三箇(さんが)先生は3年目の保育士さん。複数の園と面接して、就業を決めたポイントは「自身の強みを活かせそう」と感じたから。三箇先生は保育の専門学校や大学を卒業せず国家資格を取ったため、保育の専門知識不足を不安に感じていました。しかし、花吉野えんめい保育園ではさまざまな教育プログラムや活動があるので、むしろ、専門性よりも自分の得意分野を活かすことを求められたそうです。異なる特技をもった先生が集まるほうが強みになると言われたことが印象に残ったそうです。また、清潔で明るい園舎、自然環境に恵まれ、子どもたちとのびのびと過ごせそう、と感じたのもポイントだったそうです。
そんな自由な雰囲気が自慢です、と仰る先生よりフレックスタイム制度について紹介いただきました。

一般企業ではかなり浸透している制度ですが、保育業界ではまだまだ一般的になっていないのではないでしょうか?
しかし、園には行事などさまざまな活動があるため、一定の勤務時間では不都合が生じる場合もあり、園でこそフレックスタイムは合理的な手段だとおっしゃる三箇先生。例えば、行事前には通常より30分勤務を後ろ倒しすることにより、保育後に準備や作業の時間を確保することができます。また週末は通常より早く出勤し、退勤時間を早めることによりプライベートの時間を確保できているそうです。15分など細かく勤務時間を前後できるだけでも、できる仕事の量を増やすことができるそうです。また、この様に自由に時間の調整ができることによって「心の余裕」が生まれ、働くことへの安心感にもつながっているそうです。

【現場からの声② 主幹保育教諭、5歳児担任 北野清香先生】(28分50秒〜)

北野先生は9年目の保育士さん。就業を決めたポイントは「さまざまな体験ができ、子どもたちがいきいきと頑張っている」と感じたから。コロナ禍で出産を経験し、育児休業中もさまざま不安があったそうです。そんな時、園から「いつでも子どもを連れて遊びに来て」と気にかけてもらい、子育て経験のある先生からのアドバイスをもらったり、先生や園児から元気をもらったりすることで、閉鎖的な毎日に光がさしたそうです。そんな北野先生が復職をする際、時短勤務も提案されたそうですが、あえて通常勤務を選択したそうです。小さな子どもを育児中でも、ちょっとした工夫で安心して働けることができるそうです。

北野先生からは「EMNEI STYLE」についても詳しく紹介いただきました。
保育士も「一人の女性」。保育に支障が出ない範囲でおしゃれや個性発揮を楽しみたいものです。ヘアスタイルやアクセサリーなど自由にスタイリングしています。

ユニフォームも私たちが想像するものとは異なり、バリュエーション豊富です。季節やTPOに合わせ、色々コーディネイトできるのが魅力だそうです。普段身につけているブランドのものなので、園の外で着ていても全く違和感なく、そのまま用事に出かけられるのもいいですね。

ENMEI STYLEになったことにより、以前よりも外見を意識するようになり、自分らしさを発揮するように意識が変わったとおっしゃる北野先生。TUKS制度で時間や心にゆとりが生まれ、主体的で自立するようになり、子どもにも良い影響を与えているそうです。

環境の変化で自分への自信を生むことができるのです!

【現場からの声③ 子育て支援担当 寺井由起先生】(34分30秒〜)

寺井先生は育児休業を2度取得した13年目の保育士さん。実習時に先生たちの対応がとても丁寧で素敵だったのが就業の決め手だったそうです。
寺井先生は花吉野えんめい保育園を「第二の家庭」と思っているそうです。先生たちの仲が良く、年齢関係なく何でも話し合えるので、「いつでも安心して戻れる」と感じることができたから。時短勤務を経て無理なく復職できたそうです。
そんな寺井先生は4年前に「ベビーマッサージ」の資格取得にチャレンジしました。取得費用の支援以外に、勤務中に受講できたことも後押しになり、スムーズに取得できたそうです。今では心理カウンセラーの資格を保有する先生と協力しながら子育て支援事業を運営したり、園の事業に貢献できていたりすることが大きなやりがいになっているそうです。今後も別分野の資格取得にチャレンジしていきたいと意欲満々の寺井先生です。

最後に園長外村先生より「魔法のサイクル」のお話をいただきました。先生が子どもにたっぷりの愛情をかけることにより、子どもも保護者も園のことが好きになり、自慢したくなる。結果、園児も職員も離れない、「魔法のサイクル」が回りだすそうです。これからも「職員の幸せな人生を応援できる園であり続けます」という力強い言葉が印象的でした。

【質疑応答】(42分00秒〜)

今回もたくさんのご質問をいただきました。主なものを紹介します。
Q.先生たちが主体性を発揮した何かエピソードはありますか?

A.服装だけでなく、保育室も個性を発揮してもらいたくて、各クラスに2万円の予算をつけました。虫観察のコーナーを作ったり、おしゃれなインテリアを置いたり、おもちゃの展示スペースを作ったり、クラスの興味関心に合わせた様々な使いみちがありました。

Q.フレックスタイム制度について具体的にどうやって運用しているのですか?
A.取得できるのは月3回までと決まっています。また早番遅番の先生を固定して、主担任は早遅番に入らないようにしました。そうすることにより先生たちが「明日は早番だっけ?」などドキドキすることなく勤務できるようになりました。実際のところフレックスタイムも15分など細かい調整が一番多いです。郊外なので車移動が多く、少し時間を外すだけで渋滞に巻き込まれなかったり、時間の有効活用ができます。

Q.学生に興味を持ってもらえる施策を教えて下さい
A.実習など学生が来た時にコミュニケーションを取ることを大切にしています。「どんなことをしたい?」など声掛け、学生の気持ちを汲むようにしています。実習が終わった後にもアルバイトで勤務してもらってそのまま就職してもらうというケースもあります。

Q.職員全員にユニフォームを支給しているのですか?
A.正職には全部支給しますが、パート職については勤務日数など考慮し、必要枚数を決めています。また翌年度は新たに増やすなど勤務期間が長くなればユニフォームのバリュエーションも増えるようになっています。

他にも多数質問をいただき、こちらでは紹介しきれませんので、是非動画を御覧ください。

公開保育は終了いたしました。ご参加ありがとうございました。
また、花吉野えんめい保育園は「地域に愛される園」として、書店を開設したり、地域の方が気軽に買い物できる「おいしいキッチン」を園の駐車場で開店していたり、さまざまな取組を行っています。そんな園を見学してみませんか?
●花吉野えんめい保育園公開保育開催概要
日時:2022年7月27日(水)10:00〜12:00(受付9:30〜)
場所:花吉野えんめい保育園 奈良県吉野郡大淀町福神1-122
(近鉄吉野線 福神駅徒歩3分)※駐車場もあり

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