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かもがわはね
2021年5月26日 23:17
ミジンコ。小さな甲殻類。体は丸く、いつもバンザイしていて、目は真ん中に一つ。平均寿命1か月。通常メスしか生まれない。メスだけでも卵を産み、命を育てる。私の好きな人はそんなミジンコに惚れこむこと20年、未だに女に見向きもしません。彼は今、ミジンコの遺伝子操作に夢中です。ああ、私もミジンコになりたい。・・・森里環(もりさと たまき)は、壁沿いにズラリと並ぶボトルの一つに
2021年5月30日 12:57
月曜日になった。そう、土曜日の幻想ナイトリアム明けの奥田研究室である。それぞれがミジンコの様子をチェックし、メダカに餌をあげ、パソコンの電源を入れ、今日という一日のスタートを切り始めた頃、院生の全注目を浴びて理仁が登場した。「おはようございます」そう言う顔はいつもの調子となんら変わりなく、その表情からはデートの結果が伺えない。李さんがチラリと環に視線を投げ、ちゃんとCheckしてみ
2021年5月31日 18:11
足元の間接照明だけで照らされた暗い館内。ごつごつとした岩のような壁が二人を囲む。そう、ここは深海水族館。「やっぱりさ、体が透明のものに惹かれるよね」目の前を通過した透明の生き物を見て環は言う。クラゲ?いやこれはクラゲではない。「ああ、サルパ?」「知ってるの?サルパ」「知らないの?サルパ。海のプランクトンを食べつくすホヤの仲間」「何でも知ってるね」「サルパは昔から知ってたよ」
2021年6月1日 16:12
「Dr.Daphnia is mad about JUN-MISS(ミジンコ博士は準ミスに夢中よ)」李さんが席に着くなりそう言った。事の発端はこうだ。ぼちぼちお昼にするか、研究室にそんな気の抜けた空気が流れ始める12時前。環は少しばかりパソコン周りを整理し、席を離れる前に念のためデータを上書き保存、時計で時間を確認しつつちらりと隣の理仁に視線を投げた。理仁はイヤホンで一体何の音楽を