見出し画像

ティラミス世界大会「イノベーション部門1位」と「幻のティラミス」

2021年ティラミスワールドカップ

ティラミスワールドカップのディギスタシオンは2種の提出、
〇イノベーション部門
〇トラディショナル部門

両方の部門の総点で総合順位が決定します。

2021年の総合優勝はイタリア。


トラディショナル部門トップの櫛引雲母さん

トラディショナル部門で点数が一番高かかったのは、日本の櫛引雲母さんです。

雲母さん(きららさんと読む!)は数年前からお世話になっていて、
こちらの作品を作っていく過程を見ていましたし、
イタリアへの飛行機も日本チームがアクシデントで乗れなかったので、
櫛引雲母さんとシモーネ(イタリア人)と心細く前乗りしました。

本当に情熱を傾けていました。

そんな櫛引雲母さんのイノベーションティラミスのテーマは「luna」(月)。

真っ白なティラミス。
球体を割ると液体が出てきたり、メレンゲなど様々な食感のバリエーションがあります。

色のシンプルさと実際食べた時のバリエーション感のギャップ萌えが魅力的な作品です。








幻のティラミス

これらを通じてティラミスの魅力にとりつかれました。

そんな折、アシェットのデザートとしてティラミスを作る事に。
試作はこれまた有能な後輩の子。
アドバイス等をしていたのですが、レシピは至ってシンプル。

⚫︎ザバイオーネクリーム

  • グラニュー糖        60

  • マルサラ酒         10

  • ミネラルウォーター     30

  • 卵黄            75

  • マスカルポーネチーズ    225

⚫︎ビスコッティ生地(ビスキュイキュイエール)

  • 卵白            120

  • グラニュー糖        45

  • トレハロース        45

  • 卵黄            60

  • 小麦粉(中力粉)      120

  • (粉糖)          適量

⚫︎エスプレッソコーヒー    適量

⚫︎仕上げ用パウダー      適量

(インスタントコーヒー粉末と
ココアパウダーを1:1で合わせたもの)


※作り方はこちら


こちらをベースにイタリア人ができるティラミスをやるくらいなら、
と我々の最近のスタイルにさらに昇華させました。
まず、ティラミスは夜のお菓子とも言われるように、
体力をつけるため卵黄は不可避。

その卵黄を抜いてしまいました。(笑)
コクと油脂量が下がった分、ボリューム感として香りを補強。
油脂量が減ると意外とマルサラ酒などの香りの輪郭がマスキングされずに前に出てきます。
また、コーヒーについてなのですが、ドリンクとしてのコーヒーとお菓子に使用する材料としてのコーヒーは全く別物だと考えています。

たとえば、ここにブルーボトルのようなサードウェーブの
生豆系のコーヒーを持ってくるならば大きくレシピは変わってきます。

乳製品などのボディーとの対比が薄くなるからです。
対比が薄くなるという事はメリハリがなくなるという事。

材料としてのコーヒー、さらには基本的なレシピにおいてもマスキングされない強みを持たせ、メリハリがあって菓子として美味しい、
を考え、
スターバックス系のローストの強いものを使用。


さらには軽さです。
オーバーラン値を高めるイメージです。
マスカルポーネチーズの配合量の一部を水分と、
メレンゲに置き換えます。

空気含有量が増したことでより香りも感じやすく、
油脂、甘み、コクが下がっても香り、ひいては味のボリューム感はしっかりと確保されています。

(完全に最近の我々のスタイル所業です)


好みもあってだとは思いますが、
電撃が走りました。
なかなか、お菓子を食べて電撃が走る事はありません。

あっさりとした日本人的なティラミスなのに、
脳裏にイタリアの景色の記憶の断片が走馬灯のように駆け抜けます。



アクシデント

これを実際に形にするのを後輩も僕も楽しみにしていたのですが、
急なアクシデントにより幻となってしまいました。

あのティラミスを皆さんに楽しんで頂ける日が来ることを願っています。

この記事が参加している募集

至福のスイーツ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?