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ようこそ、火星へ

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2021年11月の記事一覧

マーズ、エウロパ

いきなり、こんな調子のセリフから始まる映画ってあるだろうか? 「火星から金星に、さらにタ…

さきとも
2年前
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良いニュースと悪いニュース

突然、地球の叔母からタイムラグレス電話がかかってきた。「良いニュースと悪いニュース、どち…

さきとも
2年前
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Mars Landmark Calculator

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こんばんは。 いま、Rei Harakamiの生誕130年のイベントが、火星のあちこちで開催されていま…

さきとも
2年前
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アイシテルから零れ落ちるもの

映画を見終わって、ひとりでスタバに入って、未来像のまばゆい余韻に浸りながら、あっちゃんと…

さきとも
2年前
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未来に挑む少年少女たち

学校から帰ってきた息子が、トランジスタラジオのスイッチを入れると、地球の歴史の教科書のよ…

さきとも
2年前
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かかし症候群

静かな音楽が流れていた。ロンド形式の繰り返される旋律は、水の滴る音にそっくりで、炎天下で…

さきとも
2年前
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火星社会を復興させた妻

マニュアルに従えば、ロケットはすぐに飛び立つべきだった。しかし、その判断は思わぬアクシデントによって妨げられた。発射ボタンを押す直前、ロケットの真下に何者かのいることを知らせるアラームが鳴り響いたのだ。 「誰だ?まだ乗り込んでいないのは?」とわたしは後ろを振り向いた。だが、わたしを含めた七名全員の乗組員が着席していた。 センサーはエラーを起こすこともある。だからといって、反応した原因の確認を怠ると、思わぬ大事故につながる可能性だってある。 すでに噴出するガスで屋外のカメ

キノコの惑星

市の職員たちは、増えすぎてしまったキノコの処理に頭を悩ませていた。慣れない惑星では胞子は…

さきとも
2年前
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孤独な辺境監視員

いつもの変わらない乾いた風が強く吹くと、火星中の岩陰から陰鬱な囁きが聞こえる。まるで「い…

さきとも
2年前
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あれは、ゴンドワナ・・・

ロケット推進装置の調子が悪いため、セルゲイを機長とする火星開拓探査チームは緊急着陸の準備…

さきとも
2年前
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なもなきくまのりれけむ

本日お送りする音楽は、半世紀以上昔の火星で活躍したサミュエル・ダッドの歌曲です。 サミュ…

さきとも
2年前
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タコスの渡り(Taco Migration)

どうも様子が変だ。僕は中学の期末試験の準備そっちのけで、窓を開けて外の様子を窺った。 と…

さきとも
2年前
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【詩】リレケムの哀歌

遠ざかってゆく母星の記録媒体の、そのこころはなはだしく喪失し 母星のやがて近くなることも…

さきとも
2年前
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火星に来て変わったこと

こんばんは。はじめてお手紙します。今週のお題は「火星に来て変わったこと」でしたね。 わたしはこれまで、問いのない答えの生き方をしていました。でも、ここへ来てから、答えのない問いの生き方に変わった気がしています。 だから、誰かと仲違いしても、苦しいと思わなくなりました。地球ではすぐに気になり過ぎて「消えてしまえばいいのに」と苛々していたのですが。 * あの頃のわたしは執着がひどくて、人間関係ばかりがギスギスしていました。なにもなく平穏な時期は、無かったんじゃないかな?