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さぶすクラシック日誌。2022年版...

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毎日、1タイトル、スポティファイでクラシックの新譜を聴いてみた。
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#ヴァイオリン

12月20日、ドメニコ・スカルラッティの鍵盤楽器のためのソナタをヴァイオリン・ソナタとして弾いてみたら...

バロック・ヴァイオリンの名手、ボリス・ベゲルマンと、彼が率いるアルセナーレ・ソノーロの演奏、ドメニコ・スカルラッティのヴァイオリン・ソナタ(鍵盤楽器のソナタからヴァイオリンも可?をピック・アップ!)。 OBSIDIAN/OBSCD720 ドメニコ・スカルラッティ(1685-1757)といえば、鍵盤楽器のソナタ。なのだけれど、そのソナタには、ヴァイオリンでも演奏可能なものがあるらしい... いや、知りませんでした。てか、ドメニコにヴァイオリンのイメージが無かったものだから、も

12月12日、西洋と東洋が嫌味なく調和するマジック... イサン・ユン、晩年の境地の魅力!

オスモ・ヴァンスカ率いるソウル・フィルの演奏で、韓国出身、ドイツで活動した20世紀の作曲家、イサン・ユンのオーケストラ作品、「新羅」、3番のヴァイオリン協奏曲、1番の室内交響曲... BIS/BISSA2642 韓国出身で、コミュニストで、軍事政権により国外追放となり、ドイツを拠点に活動したイサン・ユン(1917-95)。その、1992年の作品、管弦楽のための伝説「新羅」と、3番のヴァイオリン協奏曲、1987年の作品、1番の室内交響曲という、作曲家、晩年の3作品... かつ

12月10日、転換点、1948年、東側の音楽のパノラマの興味深さ...

ツォルト・セフツィク(ヴァイオリン)が率いる、ハンガリーの室内管弦楽団、エルデーディ室内管の演奏で、ヴァインベルクにバツェヴィチ... 東欧の作曲家の1948年を切り取る、"1948"。 DUX/DUX1802 近頃、よく目にする2人... ポーランド出身、ソヴィエトを生きたモイセイ・ヴァインベルク(1919-96)に、ポーランドの女性作曲家、グラジナ・バツェヴィチ(1909-69)。そして、このアルバムで初めて知った存在、20世紀、ハンガリーの作曲家、セルヴァーンスキ・エ

11月19日、17世紀のヴァイオリン、侮れない!ウッチェリーニのソナタに魅了される!

イギリスから、バロック・ヴァイオリンの新たな逸材!コナー・グリスマニスが、自ら率いるバロック・アンサンブル、ノックスワードとともに、ウッチェリーニのヴァイオリン・ソナタを弾く... マルコ・ウッチェリーニ(ca.1603-80)。 イタリア中部、フォルリ近郊、フォルリンポポリの貴族の家に生まれたウッチェリーニ。アッシジの神学校で学び、聖職の道を歩む中(1635年、司祭になっている... )、音楽も学び、アッシジの大聖堂の楽長でヴァイオリニスト、ブオナメンテに師事したと考えら

11月2日、英語圏からアプローチするベルクのライトさ、ニュートラルさ... 表現主義を浄化...

ジェームズ・エーネスのヴァイオリン、アンドルー・デイヴィスの指揮、BBC響の演奏で、ベルクのヴァイオリン協奏曲、「ある天使の思い出に」、さらに、3つの管弦楽小品など、オーケストラによるベルク作品... ベルクの代表作のひとつ、ヴァイオリン協奏曲、「ある天使の思い出に」が、このアルバムの顔(ジャケットにも、ソロを務めるエーネス!)なのだけれど、その前に、ベルクのピアノ・ソナタと、交響曲の一部として書かれた?パッサカリアの断片をアンドルー・デイヴィスがオーケストレーションしたも

10月20日、バロックからロココへ... うつろう中にこそ魅惑を生む、フランクール兄弟の音楽に聴き入る...

仏ピリオド界を担う次世代、テオティム・ラングロワ・ド・スワルテ(ヴァイオリン)と、ジュスタン・テイラー(クラヴサン)が、フランクール兄弟とその周辺を取り上げる、"LES FRÈRES FRANCŒUR"。 ヴェルサイユの宮廷音楽の一端を担ったアンサンブル、"王の24のヴァイオリン"の一員の父、ジョゼフ(1662-1741)の下に生まれた、ルイ(1692-1745)とフランソワ(1698-1787)のフランクール兄弟に、ルイの子でフランソワによって育てられたルイ・ジョゼフ(1

10月16日、交響曲の誕生を予感させる充実の規模!そこから繰り出される鬼才性!ヴィヴァルディ、半端無い...

アマンディーヌ・ベイエのヴァイオリン、彼女が率いるリ・インコーニティの演奏で、ヴィヴァルディの多くの楽器を用いた編成による協奏曲を取り上げる、"IL MONDO Al ROVESCIO"。 聖ロレンツォの祝日のための協奏曲、2曲(RV 562, 556)に、ザクセン選帝侯世子を迎えるコンサートで演奏された協奏曲(RV 571)、やはり、何かのイヴェントのために書かれただろう、2つのオーボエのための協奏曲(RV 536)、さらに、ドレスデンの宮廷楽団に提供された、ヴァイオリン

10月15日、ドレスデン・コネクション!ワクワクさせられっぱなしの、カッコいいバロック、盛りだくさん!

アルフレード・ベルナルディーニ率いるアンサンブル・ゼフィロが、ザクセン選帝侯のお世継ぎのグランド・ツアーに始まる、ドレスデンの宮廷音楽の新たな花やぎ、見つめる、"Grand Tour a Venezia"。 1716年、若きザクセン選帝侯世子、フリードリヒ・アウグスト(1733年に選帝侯に、翌年にはポーランド王となる... )が、ヴェネツィアを訪問。その随行員には、後にドレスデンの宮廷楽団のコンサート・マスターとなるピゼンデル(1687-1755)、後にドレスデンの宮廷礼拝

10月14日、ドレスデンのコンサート・マスター、ピゼンデルのために書かれたヴィヴァルディのコンチェルトに、ワクワク!

naive、"VIVALDI EDITION"から、ジュリアン・ショーヴァンのヴァイオリン、彼が率いるル・コンセール・ド・ラ・ローグの演奏で、ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲集、第10集、"Intorno a Pisendel"。ヴィヴァルディの弟子、ピゼンデルをフィーチャー! ザクセン選帝侯のドレスデンの宮廷楽団のコンサート・マスターを務めたピゼンデル(1687-1755)。バッハやテレマン、ゼレンカらと親交を持ち、同時代を彩った作曲家たちから多くの作品を献呈された逸材

10月13日、バッハの無伴奏チェロ組曲を、ヴァイオリンで弾いちゃったってよ、カルミニョーラ... 大丈夫か?と思ったら、新たな視界、広がった!

バロック・ヴァイオリンのヴィルトゥオーゾ、ジュリアーノ・カルミニョーラが、ヴァイオリンで、バッハの無伴奏チェロ組曲(編曲 : マルコ・セリーノ)に挑んでしまう?! イ・ムジチのメンバーで、カルミニョーラの友人、ヴァイオリニストのマルコ・セリーノがアレンジした、バッハの無伴奏チェロ組曲、全6曲。いや、チェロにとっての聖書とも言うべき音楽を、ヴァイオリンに移すというのは、なかなかに大胆な所業だなと... そもそも、チェロの低音あってこその組曲ではないか?なんても思うのだったけれ

9月30日、ベートーヴェン―トルストイ―ヤナーチェク、クロイツェル・ソナタに誘われ、巡る、異世界?

ニューヨーク、ブルックリンを拠点とする気鋭のアンサンブル、エリック・ジェイコブセン率いるザ・ナイツが、ベートーヴェンのクロイツェル・ソナタをフィーチャー、"THE kreutzer project"。 まず、このアルバムの主題とも言える、ベートーヴェンの9番のヴァイオリン・ソナタ、「クロイツェル」を、ザ・ナイツの中核メンバー、指揮、エリック・ジェイコブセンの兄、コリン・ジェイコブセン(ヴァイオリン)が、協奏曲に仕立て直し、自らソロを務め、ザ・ナイツの伴奏で弾くのだけれど、こ

9月29日、習作だなんて、とても言えない... メンデルスゾーン、10代の作品の驚くべき充実...

ファビオ・ビオンディ率いるエウローパ・ガランテが、メンデルスゾーンを取り上げる!弦楽のためのシンフォニア、2番と5番、ヴァイオリンと弦楽のための協奏曲、ニ短調、など... メンデルスゾーン(1809-47)、11歳の年、1820年に作曲された、ピアノと弦楽のためのラルゴに、3声のフーガ、ト短調とニ短調。12歳の年、1821年に作曲された、弦楽のためのシンフォニア、2番と5番。13歳の年、1822年に作曲された、ヴァイオリンと弦楽のための協奏曲、ニ短調。15歳の年、1824年

8月28日、ヴァイオリン/ヴィオラで辿る、ハンガリー近現代音楽の歩み... 揺さぶられます。

イスラエルのヴァイオリニスト、ヌリト・スタークが、時にヴィオラに持ち替えて、20世紀、ハンガリー音楽の歩みを辿る... バルトーク、リゲティ、ヴェレシュ、エトヴェシュの、無伴奏ヴァイオリン/ヴィオラ作品集。 近代ハンガリー音楽の礎、バルトーク(1881-1945)の無伴奏ヴァイオリン・ソナタ(1944)に始まり、戦後「前衛」世代、リゲティ(1923-2006)の無伴奏"ヴィオラ"・ソナタ(1991-94)、近代と現代を結ぶ、ヴェレシュ(1907-92)の無伴奏ヴァイオリン・

8月25日、ヴァイオリンを依り代に、何かを召喚?21世紀のヒルデガルトか?

ドイツのヴァイオリニスト、カロリン・ヴィトマンが、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンの聖歌に導かれながら、近現代とバッハの独奏作品を弾く、大胆な一枚、"L'Aurore"。 ヴァイオリンで弾かれるヒルデガルト・フォン・ビンゲン(1098-1179)の単旋律の聖歌「聖霊は生の源の火よ」で始まり、エネスク(1881-1955)の協奏的幻想曲(1932)、ジョージ・ベンジャミン(b.1960)の3つのミニアチュール(2001-02)、イザイ(1858-1931)の無伴奏ヴァイオリン・