12月20日、ドメニコ・スカルラッティの鍵盤楽器のためのソナタをヴァイオリン・ソナタとして弾いてみたら...
バロック・ヴァイオリンの名手、ボリス・ベゲルマンと、彼が率いるアルセナーレ・ソノーロの演奏、ドメニコ・スカルラッティのヴァイオリン・ソナタ(鍵盤楽器のソナタからヴァイオリンも可?をピック・アップ!)。
OBSIDIAN/OBSCD720
ドメニコ・スカルラッティ(1685-1757)といえば、鍵盤楽器のソナタ。なのだけれど、そのソナタには、ヴァイオリンでも演奏可能なものがあるらしい... いや、知りませんでした。てか、ドメニコにヴァイオリンのイメージが無かったものだから、もう興味津々!で、その詳細... スコアこそ鍵盤楽器のソナタとして残るものの、そこには、ソロと通奏低音からなる構成が見て取れて、ソロの旋律からは、ヴァイオリンを想起させるのだとか...
というソナタをピック・アップ... ニ短調(K.90)、ヘ長調(K.78)、ト長調(K.91)、ニ短調(K.89)、ト短調(K.88)、ホ短調(K.81)、ニ短調(K.77)の7曲... どれも複数楽章による構成で、単一楽章でさっくり弾かれるいつものドメニコのソナタからすると規模は大きいのか、何より、ヴァイオリン・ソナタへと還元されての違和感の無さ!実にナチュラルにヴァイオリンが歌い出し、驚かされる。また、ヴァイオリンが前面に立つことで、よりドメニコの流麗さ、引き立ち、何だか鍵盤楽器のソナタだったことを忘れてしまいそう。
で、このアルバムのおもしろいところは、ドメニコの父、アレッサンドロ・スカルラッティ(1660-1725)のチェンバロのためのトッカータ、7番、「フォリア・モデラート」と、チェロと通奏低音のためのソナタを挿んで、"スカルラッティ親子"というより大きな視点を以って編まれるところ!しっかりと構築される父の音楽のバロック的重厚感が、バロックから一歩を踏み出す息子の先進性、新たな時代を予感させる、流麗さ、際立たせる!
そんなスカルラッティ親子の興味深い音楽を聴かせてくれたベゲルマン+アルセナーレ・ソノーロ。まず、何と言ってもベゲルマンの端正で品位を感じさせるヴァイオリン!聴き入ってしまう。で、ベゲルマンと息もぴったりなアルセナーレ・ソノーロのすばらしい演奏... チェロのルドヴィコ・ミナージは、アレッサンドロのチェロ・ソナタで、真っ直ぐで深い音色を聴かせ、ベゲルマンに負けてない。
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