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9月30日、ベートーヴェン―トルストイ―ヤナーチェク、クロイツェル・ソナタに誘われ、巡る、異世界?
ニューヨーク、ブルックリンを拠点とする気鋭のアンサンブル、エリック・ジェイコブセン率いるザ・ナイツが、ベートーヴェンのクロイツェル・ソナタをフィーチャー、"THE kreutzer project"。
まず、このアルバムの主題とも言える、ベートーヴェンの9番のヴァイオリン・ソナタ、「クロイツェル」を、ザ・ナイツの中核メンバー、指揮、エリック・ジェイコブセンの兄、コリン・ジェイコブセン(ヴァイオリン)が、協奏曲に仕立て直し、自らソロを務め、ザ・ナイツの伴奏で弾くのだけれど、これが、見事!ベートーヴェンの2曲目のヴァイオリン協奏曲になり得ていて、びっくり。ベートーヴェンのクロイツェル・ソナタは、作曲家自身が「ほとんど協奏曲のように... 」と解説しているだけに、実際に協奏曲となっても無理を感じさせない。どころか、独特な輝きを放って、新たな発見すらある。というあたり、コリンのアレンジの妙?という後に、そのコリンによるオリジナル、クロイツィングスが取り上げられる...
最後に取り上げられる、ヤナーチェクの「クロイツェル・ソナタ」へのインターリュードとしてのクロイツィングスには、ベートーヴェンの断片とヤナーチェクへの予兆がアメリカ的なライトさに彩られ、幻想的に綴られる。で、その後には、イギリス出身、アメリカを拠点とする作曲家、アンナ・クラインの作品、速記が演奏され、絶妙なアクセントに...
ヤナーチェクの「クロイツェル・ソナタ」は、ベートーヴェンのソナタそのものではなく、そのソナタがモチーフとなるトルストイの同名の小説にインスパイアされて生まれた弦楽四重奏曲... ということで、クラインは、トルストイの言葉、「音楽は感情の速記である」をフィーチャー。いや、なかなかに興味深い視点... というより、まさに言い得て妙!で、チェロが牽引する揺蕩う響き(オリエンタルなのが印象的... )に、トルストイ流の感情を写し取り、独特な色彩を放つヤナーチェクへの準備をする。
で、帰結としてのヤナーチェクの1番の弦楽四重奏曲、「クロイツェル・ソナタ」、オーケストラ版(エリック・ジェイコブセンによるアレンジ、ザ・ナイツのホルン奏者、アトキンソンによるオーケストレーション... )!いやー、ヤナーチェクの鮮烈さがリッチに響き出し、まるで魔法に掛かったよう!そして、トルストイの小説の中へと迷い込むかのよう... けど重苦しくはならない、ザ・ナイツならではのライトさ!ヤナーチェクの独特さを解き解し、魅惑的に仕上げる。しかし、ベートーヴェン―トルストイ―ヤナーチェクという展開のおもしろさ!オーケストレーションされてのベートーヴェン、ヤナーチェクは、異世界感アリ。
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