見出し画像

12月12日、西洋と東洋が嫌味なく調和するマジック... イサン・ユン、晩年の境地の魅力!

オスモ・ヴァンスカ率いるソウル・フィルの演奏で、韓国出身、ドイツで活動した20世紀の作曲家、イサン・ユンのオーケストラ作品、「新羅」、3番のヴァイオリン協奏曲、1番の室内交響曲...
BIS/BISSA2642

韓国出身で、コミュニストで、軍事政権により国外追放となり、ドイツを拠点に活動したイサン・ユン(1917-95)。その、1992年の作品、管弦楽のための伝説「新羅」と、3番のヴァイオリン協奏曲、1987年の作品、1番の室内交響曲という、作曲家、晩年の3作品... かつて死刑判決まで受け、作品の演奏も禁止された母国との関係修復が進んでの作品、ということで、緊張感も緩み... というより、その音楽の麗しさ、芳しさ、印象的!

始まりの「新羅」は、朝鮮半島を初めて統一した新羅を寿ぐ音楽?いや、お正月が来たような寿ぐ感覚、ふんわり魅惑的で、のっけから惹き込まれる!続く、3番のヴァイオリン協奏曲では、ヴァイオリン・ソロが、東アジア的な表情を見せつつ、西欧の伝統的コンチェルトを見事に織り成して、聴かせます!いや、もっと演奏されるべき魅力に溢れている!

そして、1番の室内交響曲。難解上等の"ゲンダイオンガク"と一線を画し、耳にやさしい響きが織り成す、朧なる東アジアのイメージ... ふんわり雅で、雅楽味も薄っすらあるか?そのあたりに新しい抽象性を見出し、魅了される!で、下手に民族色を強調しない、イサン・ユンのバランス感覚、センスの良さに、感服... 西洋と東洋が嫌味なく調和するマジック...

という、実に魅力的なイサン・ユンの晩年を取り上げる、ヴァンスカ+ソウル・フィル!その演奏、明朗で、色彩に富み、音楽的に、政治的に、やわらかさを見せた作曲家の晩年を、ポジティヴに、時にポップに響かせる!いや、ヴァンスカ+ソウル・フィルの力みの抜けたニュートラルさ、おもしろい!作品を引き立てる!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?