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10月13日、バッハの無伴奏チェロ組曲を、ヴァイオリンで弾いちゃったってよ、カルミニョーラ... 大丈夫か?と思ったら、新たな視界、広がった!

バロック・ヴァイオリンのヴィルトゥオーゾ、ジュリアーノ・カルミニョーラが、ヴァイオリンで、バッハの無伴奏チェロ組曲(編曲 : マルコ・セリーノ)に挑んでしまう?!

イ・ムジチのメンバーで、カルミニョーラの友人、ヴァイオリニストのマルコ・セリーノがアレンジした、バッハの無伴奏チェロ組曲、全6曲。いや、チェロにとっての聖書とも言うべき音楽を、ヴァイオリンに移すというのは、なかなかに大胆な所業だなと... そもそも、チェロの低音あってこその組曲ではないか?なんても思うのだったけれど...

が、驚くほどナチュラルに、チェロからヴァイオリンへと移行されていて、軽やかなヴァイオリンで奏でられる無伴奏チェロ組曲の新鮮さに、目を見開く!いや、チェロの低音から解き放たれたように飛翔するバッハの音楽の、まるで風を思わせる爽快感!この組曲の顔とも言える、1番の前奏曲に、まるで朝が来たような、清々しさが溢れ、息を呑む。何と言う、新感覚!同じ音楽のはずなのに、その印象、大きく変わる!

で、バッハの無伴奏ヴァイオリンといえば、ソナタとパルティータ(こちらは、ヴァイオリンにとっての聖書... )だけれど、その音楽、ヴァイオリンの表情の豊かさを反映して、かなりエモい。一方で、無伴奏チェロ組曲は、チェロの落ち着きがベースにあって、その落ち着きをヴァイオリンが真摯に奏でれば、エモさではない、バッハの音楽の真髄こそが響いてくるよう。この絶妙なバランスが、得も言えず心地良いのです。

しかし、これぞケミストリーだなと... 正直、最初は懐疑的だったのだけれど、全6曲、聴き終える頃には、すっかり魅了。何より、ヴィヴァルディで鳴らしたヴィルトゥオーゾ、カルミニョーラの、明朗な演奏が、より無伴奏チェロ組曲に飛躍をもたらすようで... また、カルミニョーラのヴァイオリンが、ますます冴え渡っていて、圧巻。で、その冴えに触れていると、何だか、清められる思い...

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