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11月2日、英語圏からアプローチするベルクのライトさ、ニュートラルさ... 表現主義を浄化...

ジェームズ・エーネスのヴァイオリン、アンドルー・デイヴィスの指揮、BBC響の演奏で、ベルクのヴァイオリン協奏曲、「ある天使の思い出に」、さらに、3つの管弦楽小品など、オーケストラによるベルク作品...

ベルクの代表作のひとつ、ヴァイオリン協奏曲、「ある天使の思い出に」が、このアルバムの顔(ジャケットにも、ソロを務めるエーネス!)なのだけれど、その前に、ベルクのピアノ・ソナタと、交響曲の一部として書かれた?パッサカリアの断片をアンドルー・デイヴィスがオーケストレーションしたものが取り上げられる。で、これがおもしろい!ベルクならではの曖昧模糊とした音楽運びが、英国流のライトさで以って彩色されて...

新ウィーン楽派による表現主義のヘヴィーさが、映画音楽のような瑞々しさを放つ!すると、ピアノ・ソナタは、コープランドのような澄んだムーディーさを漂わせ、ケクランを思わせる詩情がこぼれ出す... 一方、パッサカリアは、マーラーへと還るような豊潤さを響かせて、短いながらも印象的な音楽に仕上がっている!アンドルー・デイヴィスのセンスに感心!

からの、ベルクのオリジナル、第一次大戦が勃発した1914年に書き始められ、翌年に完成した3つの管弦楽小品。いや、オリジナルなればこその、ガチの表現主義!戦中の不穏さ、生々しく感じられる中、色彩が躍動する独特なテイスト、癖になる。で、それをニュートラルに捉え、バランス良く引き立てるアンドルー・デイヴィス、BBC響の演奏が、また、乙!

そして、最後に、エーネスが弾くベルクのヴァイオリン協奏曲、「ある天使の思い出に」!今、最も頼もしく感じられるヴァイオリニストが、ベルクをどんな風に弾くのか、興味津々... いや、彼ならではの揺るぎなさに、繊細さも見せて、ベルクのたゆたう音楽を透明感を以って美しく響かせる!その澄んだ響きに、この作品のセンチメンタルが、清流のように繰り出され... 表現主義が浄化される。

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