マガジンのカバー画像

さぶすクラシック日誌。2022年版...

187
毎日、1タイトル、スポティファイでクラシックの新譜を聴いてみた。
運営しているクリエイター

#交響曲

12月11日、ヴァインベルク、厳しい時代を生き抜いて磨かれる洗練...

リトアニアから新たな逸材、ミルガ・グラジニーテ・ティーラの指揮、ドイツ・カンマーフィル、バーミンガム市響の演奏で、ヴァインベルクの7番と3番の交響曲、そして、1番のフルート協奏曲。 Deutsche Grammophon/4862402 第二次大戦(1939-45)、ソヴィエトへと亡命(1939)したユダヤ系ポーランド人、ヴァインベルク(1919-96)。ナチスのポーランド侵攻から逃れるための亡命だったが、その先にもまた困難が待ち構えていた... というソヴィエトの抑圧下、

12月4日、正攻法のロマン主義の輝き!もはや、正義!魅了されます、歌のレーヴェの交響曲!

ジモン・ガウデンツ率いる、ドイツ、イェナ・フィルの演奏で、シューベルトのひとつ年上、もうひとりの歌曲王とも言える、ドイツ・ロマン主義、前半を生きた作曲家、レーヴェの、歌曲でなく交響曲。 カール・レーヴェ(1796-1869)。 ドイツ中部の小さな町、レーベユーンで生れたレーヴェ... 町のカントルだった父の下、音楽を学び始め、1807年、ケーテンの聖歌隊に加わると、その美声は評判を呼び、やがて、ヴェストファーレン王(ナポレオンの弟... )の耳にも届くと、王国の奨学金を得て

11月13日、マエストロ、ルイジの、ただならないアプローチが導く、息衝くニールセンに圧倒された!凄い...

ファビオ・ルイジ率いるDR交響楽団(デンマーク国立交響楽団)が、デンマークを代表する作曲家、ニールセンの交響曲のシリーズをスタート!その第一弾、4番、「不滅」と、5番。 Deutsche Grammophon/4863475 第一次大戦(1914-18)、デンマークは中立を宣言しながらも、大国、ドイツの圧力を受け、バルト海の封鎖に協力、結果、物流が寸断、厳しい状況に陥り... という最中、作曲された、ニールセンの4番の交響曲(1914-16)。国家存亡の危機を前に、滅ぼし得

11月12日、シベリウスの豊かなサウンドが洪水のように押し寄せてくる!ロウヴァリによる3番と5番、楽しんだ!

注目のフィンランドの次世代マエストロ、サントゥ・マティアス・ロウヴァリ率いる、イェーテボリ響による、シベリウスの交響曲のシリーズ、第3弾、3番と5番の交響曲。 ロウヴァリ+イェーテボリ響のシベリウスの交響曲のシリーズ、最新盤、待ってました!という第三弾は、第一弾(1番)の衝撃を再び味わうようなフレッシュさを放ち... 第二弾(2番)から1年の間(嗚呼、コロナ禍... )を置き、改めてシベリウスを、いや、音楽そのものを見つめ直すのか、ロウヴァリ+イェーテボリ響... ただシベ

11月7日、それは、ナニモノでもないラフマニノフ... ウィルソン+シンフォニア・オブ・ロンドンの密度とライトさが生むニュートラル、最高!

今、一番、気になるチームかも... ジョン・ウィルソン率いる、シンフォニア・オブ・ロンドンの演奏で、ラフマニノフの「死の島」、ヴォカリーズ、3番の交響曲。 象徴主義の画家、ベックリン(1827-1901)の『死の島』にインスパイアされ作曲された、交響詩「死の島」(1909)で始まり、お馴染み、ヴォカリーズ(1915)の、作曲家自身のアレンジによる声無しオーケストラ版(1919)、そして、3番の交響曲(1935)、という3作品... 作曲家、ラフマニノフの、骨太な面をしっかり

11月6日、2つの交響曲にピアノ・ソナタ... 異色の組み合わせだけど、スクリャービンをよりワイドに楽しめる!

ラン・シュイが率いたシンガポール響の演奏で、スクリャービンの4番の交響曲、「法悦の詩」、エフゲニー・スドビンのピアノで、5番のソナタ、そして、5番の交響曲、「プロメテウス」。 BIS/BISSA2362 スクリャービンの代表作、4番の交響曲、「法悦の詩」(1908)と、ピアノ・ソロに合唱、オルガン、さらには色光ピアノ(光を放つ楽器というか装置... )までを用いた大作にして奇作、5番の交響曲、「プロメテウス」(1910)。まさにスクリャービン!という2作品の間に、スクリャー

11月4日、ヴァイルとショスタコーヴィチの1930年代、不穏な時代... 困難な状況を跳ね返し書かれた交響曲。

イスラエルの新鋭、ラハフ・シャニ率いるロッテルダム・フィルの演奏で、ヴァイルの2番に、ショスタコーヴィチの5番... 1930年代の交響曲、2曲。 1920年代、旧時代から解放されての束の間の自由を謳歌したヴァイマル共和国時代(1918-33)を象徴する『三文オペラ』。1928年、ベルリンで初演され、大成功!作曲家、ヴァイル(1900-50)は、一躍、時代の寵児となるものの、ユダヤ系だったために、1933年、ナチスが政権を掌握すると活躍の場を奪われ、パリへと移り、さらに2年

10月31日、これは、本当に、交響曲?まるで、おとぎ話の世界へと迷い込むような... ピリオド・オーケストラによるマーラーの4番。

フランソワ・グザヴィエ・ロト率いる、フランスのピリオド・オーケストラ、レ・シエクルの演奏で、マーラーの4番の交響曲。 harmonia mundi/HMM905357 マーラーの交響曲というと、メガロマニアック?というか、何と言うか、やたらデカいイメージがあるけれど、ここで聴く、4番は、軽やか... そのあたり、マーラーの交響曲にして、異彩を放つ... いや、交響曲というより、交響詩のような雰囲気(そもそもマーラーの交響曲はどれもそんな感じだけれど... )が漂っていて、終

10月30日、若き作曲家、若くして逝った、ハンス・ロットの交響曲を改めて見つめる(涙目... )。

ヤクブ・フルシャ率いるバンベルク交響楽団の演奏で、ハンス・ロットの交響曲に、マーラーの「巨人」、改稿でカットされた2楽章、"花の章"、そして、ブルックナーの交響的前奏曲。 ハンス・ロット(1858-84)。 俳優の両親の下、ウィーン近郊で生れたハンス。実は、両親、不倫関係... でもって、母はハプスブルク家の皇族の愛人という... なかなかに複雑な環境で育ったハンス。さらに、母を早くに亡くし、1874年、ウィーン音楽院に入学した年には、舞台上の事故で父が障害を負い、2年後に

10月28日、サヴァールがロマン主義をノックする... イマジネーション、掻き立てる「未完成」と「グレイト」!

古楽の巨匠、ジョルディ・サヴァールが率いるピリオド・オーケストラ、ル・コンセール・デ・ナシオンの演奏で、シューベルトの「未完成」と「グレイト」を取り上げる2枚組、"Transfiguration"。 Alia Vox/AVSA9950 2020年、ベートーヴェン・イヤーに合わせてのベートーヴェンの交響曲全集(1番から5番、6番から第九、という2つに分けてのリリース... で、コロナ禍もあって、後半のリリースが今年の初めにずれ... )のリリースから間もないところに、シューベ

10月2日、久々にモーツァルト... それも、ど真ん中のモーツァルト... けど、いつもとは違う視点で見つめてみる...

ジュリアン・ショーヴァン率いるル・コンセール・ド・ラ・ローグの演奏で、モーツァルトの40番の交響曲、アンドレアス・シュタイアーのソロによる、23番のピアノ協奏曲。 1787年にプラハで初演されたオペラ『ドン・ジョヴァンニ』の序曲で幕を開け、1786年に作曲された23番のピアノ協奏曲が弾かれ、最後に、1788年に完成した40番の交響曲が演奏される。モーツァルトと言えば... というお馴染みの名曲、3曲。まさに、モーツァルト、ど真ん中! ど真ん中なのだけれど、それは、1780

9月29日、習作だなんて、とても言えない... メンデルスゾーン、10代の作品の驚くべき充実...

ファビオ・ビオンディ率いるエウローパ・ガランテが、メンデルスゾーンを取り上げる!弦楽のためのシンフォニア、2番と5番、ヴァイオリンと弦楽のための協奏曲、ニ短調、など... メンデルスゾーン(1809-47)、11歳の年、1820年に作曲された、ピアノと弦楽のためのラルゴに、3声のフーガ、ト短調とニ短調。12歳の年、1821年に作曲された、弦楽のためのシンフォニア、2番と5番。13歳の年、1822年に作曲された、ヴァイオリンと弦楽のための協奏曲、ニ短調。15歳の年、1824年

9月26日、フランス革命に、ナポレオン戦争... 憧れとして、敵として、フランスと向き合ったベートーヴェンを見つめ直す。

harmonia mundiによる、2020年、ベートーヴェン・イヤーのための交響曲全曲録音シリーズ、完結編、ベルリン古楽アカデミーの演奏で、4番と8番。と、その同時代の作品、ケルビーニの『ロドイスカ』序曲、メユールの1番の交響曲も! フランス革命、3年目、1791年、パリで初演されたケルビーニ(1760-1842)のオペラ『ロドイスカ』の序曲と、1807年に完成したベートーヴェンの4番。ナポレオン戦争、真っ只中、1808年に作曲されたメユール(1763-1817)の1番の

9月25日、傘寿、マエストロの、ロマンの終着、達観のシベリウスの後半の交響曲に、感慨...

ウェールズ出身のマエストロ、オウェイン・アーウェル・ヒューズとロイヤル・フィルによる、シベリウスの交響曲のシリーズ、その最後を飾る、第3弾、5番、6番、7番の交響曲。 このRUBICONからのシベリウスの交響曲のシリーズで知りました、オウェイン・アーウェル・ヒューズ。いや、ホント、ノーマークだった... ちなみに、お父様が、作曲家のアーウェル・ヒューズ(1909-88)。こちらは、薄っすら認識があったのですが... いや、マエストロ、1942年生まれということで、御年、80