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11月6日、2つの交響曲にピアノ・ソナタ... 異色の組み合わせだけど、スクリャービンをよりワイドに楽しめる!

ラン・シュイが率いたシンガポール響の演奏で、スクリャービンの4番の交響曲、「法悦の詩」、エフゲニー・スドビンのピアノで、5番のソナタ、そして、5番の交響曲、「プロメテウス」。
BIS/BISSA2362

スクリャービンの代表作、4番の交響曲、「法悦の詩」(1908)と、ピアノ・ソロに合唱、オルガン、さらには色光ピアノ(光を放つ楽器というか装置... )までを用いた大作にして奇作、5番の交響曲、「プロメテウス」(1910)。まさにスクリャービン!という2作品の間に、スクリャービンらしさが開花する頃の作品、5番のピアノ・ソナタ(1907)を挿むという構成...

いやー、神秘主義尽くしです。けど、もたれない... てか、その"神秘"へと素直に引き込まれる... のは、間に、スクリャービンならではの魅惑的なピアノ・ソナタが挿まれるから... "神秘"だけでない、スクリャービンの美麗さもしっかりと味わえて、ドヤ顔の神秘主義だけで終わらないのが、ラン・シュイ、シンガポール響によるスクリャービン... 絶妙です。

でもって、ラン・シュイ、シンガポール響の音楽性もいい具合に作用し、ケミストリーを生む!ヨーロッパから遠く離れての客観性、アジアならではの神秘性、そして、21世紀の先頭を走る都市国家、シンガポールの現代性だろうか... それらを反映したサウンドは、何だかポップ!そのポップが、スクリャービンの"神秘"を程よく解して、グラフィカル!

いや、曖昧模糊とした"神秘"が、現代っ子感覚を以って整理され、グラフィカルに感じられ、明確になるイメージ。これ、おもしろい!で、とにかく、新鮮!ラン・シュイ、シンガポール響の12年に及ぶリレーションシップの到達点なのだろうね。そういう点で、感慨深くもある。

で、忘れてならないのが、ソナタ、「プロメテウス」でピアノを弾く、スドビン... 大胆にしてジューシー!スクリャービンの"神秘"と魅惑、見事に引き立てる。いや、この人の存在が鍵となって、ますますおもしろくなったスクリャービン・ワールド!

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