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10月31日、これは、本当に、交響曲?まるで、おとぎ話の世界へと迷い込むような... ピリオド・オーケストラによるマーラーの4番。

フランソワ・グザヴィエ・ロト率いる、フランスのピリオド・オーケストラ、レ・シエクルの演奏で、マーラーの4番の交響曲。
harmonia mundi/HMM905357

マーラーの交響曲というと、メガロマニアック?というか、何と言うか、やたらデカいイメージがあるけれど、ここで聴く、4番は、軽やか... そのあたり、マーラーの交響曲にして、異彩を放つ... いや、交響曲というより、交響詩のような雰囲気(そもそもマーラーの交響曲はどれもそんな感じだけれど... )が漂っていて、終楽章は、オーケストラ伴奏付き歌曲という... 改めて考えると、交響曲としても、マーラー作品としても、不思議な作品。

けど、その不思議さから醸し出される、これまた不思議な雰囲気、思いの外、素敵(普段、マーラーに、"素敵"要素、あまり無いし... )。始まりの鈴の音を耳にすると、すーっと物語の世界へと導かれるようで... そうして、めくるめく展開されてゆく音楽の、絶対音楽たる交響曲とは対極にある佇まい... こどもの頃に読み聞かせられた絵本を再び開くようなメルヘン!いや、久々にこの交響曲を聴くと、何だか懐かしくすら感じられるのです。

そこに、ピリオド・オーケストラならではの味のあるサウンドが、メルヘンをより引き立てる!いや、ロト+レ・シエクルで聴くと、交響曲であることを忘れてしまうほど、表情豊かに音楽が展開され、おもしろい!いや、マーラーの4番って、こうもおもしろい世界を描いていたのかと、今さらながらに驚かされるのです。で、その世界に引き摺り込まれる...

メルヘンなのだけれど、何とも不可思議で、時折、毒々しい、ロト+レ・シエクルのマーラーの4番。フランス的センスがもたらすキッチュさ、間違いなくスパイスになっている。そうして描き出される世界は、こどもの頃、熱を出した時に見た夢みたいだなと... けど、最後、ドゥヴィエル(ソプラノ)が、子守歌みたいにやさしく歌うのです。大人となった、今、改めての子守歌、沁みる。で、癒される。

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