見出し画像

これまでの自分とは違う選択を。来島して2か月経った今。

島根県の離島、隠岐島前地域で大人の島体験に参画している
7月生の「今」にフォーカスした「私たちの足跡」。
彼らはどんなきっかけで島を知り、
今、どんな想いを抱えて島にいるのでしょうか?
7月生一人ひとりが歩んでいる物語、
そしてその足跡をお届けします。

今回は上條萌詠さんにお話を伺います。

上條萌詠さん 山梨県出身 大学4年生在学中

来島して2か月。地元と変わらない心地よさ。

島って、どんなところ?って思ってたけど、実際に来てみたら、緑に囲まれてて空気がきれいで、人が温かいところがすごく良いところだなと思う。
そんなところが良い意味で地元と変わらないなって。

シェアハウス生活はとっても居心地がいい!
たのしいっていうか、私は全然気を遣わずに自然体でいられるので周りのみんなに感謝だし、良かったな~って思ってます。

シェアハウスメンバーとの1枚

これまでの私、とは違う選択を。

最初は「島の教育」「島の少人数の教育」「自然と近い教育」に興味があって島体験に参画しました。でも島に来てから、教育現場にガッツリ入るか、違うところに入るのかですごく悩んで。

もともと私はやりたいことに対して計画を立てて向かっていく感じのタイプでした。
なので、私にとって島に来ることはもちろん、仕事も決まってない、何をするのか分からない状況に飛び込むことは、これまでの自分の環境とは正反対の状態で

でも、せっかく飛び込む選択をしたから、これまでやってきた「教育」とは違う分野を見ても良いのかなって思った。島に来たからこそ「ゼロからなにかをやってみたい」という気持ちが芽生えてきました。

そんな中でもやっぱり、自分の中に「教育」「自然」っていう分野の軸はあったから、大交流プロジェクトで受け入れチームとして研修づくりや新しいことに挑戦したり、何かしらの形で教育や自然に関わったりできたらいいなと思って、大交流プロジェクトで働くことを決めました。


ーー実際、働いてみてどう?

正直、初めの1週間くらいは何も知らない、分からない状態だったので、
自分で仕事を作り出すこともできないまま時が過ぎていきました。

「とんでもないことになってしまった…」「どうしよう…」

自分に何ができるのか分からない、どうしたって状況がつかめない、
そんな状態でした。

私からしたらそれは不安でしかなくて。
これまでも働いている人たちには仕事も沢山あって一生懸命働いている。

その人たちを見ていると
「私は何もできていない。ここで必要とされてないんじゃないか」って、
最初はすごく不安でしんどかった。


研修を「受ける側」からつくる側へ。


業務で研修設計に携わるにつれて、研修を受けているときに感じていた
「もっとこうなったら良いのに」「充実した時間にしたい」という想いを、
作り手にまわったらダイレクトにかなえられるなって思いました。

研修を作りたいと思って島に来たわけじゃなかったけど、
「私にとっても、みんなにとっても有意義な時間にしたい」
「みんなにとって必要なことってなんだろう?」
「考えた方がいいことってなんだろう?」

ということを考えて企画していたら、やりがいも感じるようになってきて。

体験生のみんなのためになっていたら良いなと心から思うし、それが自分のためにもなっているんだろうなって思った。

あとは他の体験生が研修をつくるのを手伝ってくれたりとか、
「できることやるよ」って協力してくれたり応援してくれたりして、それがとても嬉しくて。

研修が終わって後にみんなに「良い時間だったよ」って言ってもらえるのも嬉しかったし、
「頑張ってよかったな」ってやりがいを感じることができています。

今は、仕事が作り出せない、みたいな最初に感じていた不安はなくなって、目の前にあるやることを丁寧にやっていこうって思っています。

研修を担当したときの写真

今、私がやっていることは主にふたつあって
一つ目はアンバサダーの方をゲストにお呼びして、キャリアについて考える「島体験生向けのキャリア座談会」。
各回テーマを設定していて、全5回開催予定です。

島留学生にはキャリアの研修があるけど、島体験生にはキャリアについて考える機会がなかなかありません。
キャリアを考えながら過ごした体験生とそうじゃない体験生では、この先のキャリアや地域への関わり方に違いが生まれてくるんじゃないか。
そんな経緯で「キャリアを考える企画をやってみたらどう?」と提案をもらいました。

ーーキャリア座談会ではどういう時間にしていきたい?
キャリアについて悩んでいたり考えたりする人たちにとって、良い機会になったらいいなって思ってる。
アンバサダーの方々はそれぞれ色々な経験をされているから、できるだけその方たちのお話を伝えて、みんながじっくり考えられるような会にしたいです。

みんなで集まってキャリア座談会を実施しました

二つ目は「森とつながるまちづくりプロジェクト」の方に協力してもらって、クロモジを活用したイベントを企画しています。
せっかく自然と教育の分野に想いを持って来たんだったら、「なにか新しいことやってみようかな」と思って、森プロの人に声をかけて少しずつ進めています。

イベントは小学生を対象に、午前中はクロモジの植林体験をします。植林以外にクロモジでなにか出来ないかなって調べていたら染物ができることが分かって。午後はクロモジ染めをすることにしました。

「一度試作したい!」と思って、
シェアハウスでクロモジ染めをしてみました

そもそも、子ども向けのイベントをやりたいと思った理由は、私自身が学校の暗記集中型の授業に違和感を覚えていたから。

新しいことを知ったり発見したり、出来なかったことが出来るようになるのって楽しいはずなのに、子どもたちみんなが学ぶことが好きじゃなくなっていく。
それこそが「学び」なのにって悔しくて。

だから私は、活動のなかで子どもたちが「え!これこうだったの?」「知らなかった~」って新しい気付きを少しでも持ってもらえたら嬉しいなと思っているし、そういうイベントにしたい。

ここでの仕事の仕方や向き合い方みたいなところは、これまでの自分とは劇的に変化はなくて。目的や参加者のためにやるぞ!みたいな気持ちは変わってない。
「誰かのために」何かできていることが私の幸せなんだと改めて思いました。


初めの1週間。


悩み苦しむ時間は短ければ短いほどいいなって思うけど、
「私って何しに来たんだろう」って考える時期にもなった。その時に私は、島から帰るときに「私ってこういう人です」って言えたらいいんだって思った。

もし、仕事でなにもできなかったら、自分と向き合う時間を作ろうって。
島に来てよかったって思うためには、なにか指標が必要。
挑戦したり達成したりして、これができたって思えることが大切だと思う。

「私はこういう人です」って言えるようになっていたら、きっと大丈夫だと自分のなかで決めていました。


島体験修了日までに、どうなっていたい?


島に来て、今までの環境とは違う場所に身を置くことで自分を見つめなおしたいという気持ちもあった。
だから、「自分はどういう人なんだろう?」という部分を言葉にできるようになりたい。
あとはこの先の人生、私はなにがしたいんだろうって考えられたらいいな。
それは、自分が関わるキャリア座談会や子どもたちとの関わりのなかで考えられることもあると思う。
人生の大きなテーマみたいなものを少しでも考えて離島出来たら良いのかなって今は考えています。


島体験を経てこれから先。もっと地元のことを知りたい。

私は、来年から就職することが決まっているけど、島前地域がこれからどうなっていくのか、今やっている事業がどう発展していくのかが気になります。

あとは島に来て、逆に地元のことが知りたいと思うようになった。

人口減少と戦っている中で、島前地域には若者がたくさん来ていて。
それを見て、私の地元でも何かできることがあるんじゃないかって思ったし、地元でやってみたいって思うことが増えたかもしれない。

地元の風景は当たり前すぎて、ありがたみを感じることができていなかった。私の同級生もみんな関東に就職して誰も山梨には残らない感じで。

それが、当たり前だと思ってたし、「仕方ないよな」と思うだけで当事者意識を持てていなかった。


でも、島前の人たちは「仕方ない」とかで終わらせなくて、それをどうにかしようって事業を立ち上げたり、頑張って動いていたりしていて


山梨でもそういう取り組みをやっているのかもしれないけど、全然知らないっていうことは取り組みが前面に出てないんじゃないか、まだまだできることがあるんだろうなと思う。
だからこそ、何かしらのアクションを起こせたらいいなと思っています。

そしていつか、ここで出会った素敵な人たちに会うために戻って来たいです。


萌詠ちゃんとは大交流プロジェクトの同じ仲間として、最初なにをしたらよいか分からない苦しさやもどかしさなどを共有してきたので、どうやってその苦しさから自分のやりたいことに結びつけていったのか。

知ってるようで知らないことがたくさんあって、さらに萌詠ちゃんの変化の大きさに驚きもありました。

私が仕事で悩んでたときは、いつも相談に乗ってくれていて私にとっても心強い存在です。
「地元を飛び出して海士町に来たからこそ、地元のことをもっと知りたくなった」と、きらきらした表情で語ってくれた萌詠ちゃん。

離島してから、どんな道を歩んでいくんだろう。
とても楽しみだなって思います。いつもありがとう。

あとがき~インタビューをしてみて~

(R6年度7月期島体験生:山口)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?