街と、その壁の、不確かな展開。
ひと区切りごとにひと休み。70分の1を読み終えるごとにひと休み。読み終える悲哀が日々募っていくとわかっているから、一言一句をなぞって追う。軽んじてしまったセンテンスは、落としてしまったハンカチを拾い上げるみたいにして振り向きつまみ上げ、読み飛ばそうとしてしまった後悔を埃に変えて吹き飛ばし、なぞり直す。見落としなんてもったいない。6年ぶりの長編小説、誰よりも先駆けて卒論を氏で書いた身としては、最後になるやも知れぬ作品に、全精力を傾倒し臨む。
まだ70分の6に達したばかりだけ