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深大寺に行く。十割蕎麦と蕎麦の洋菓子目当てに電車とバスを乗り継ぐ。植物園を経由することもあれば、出店を冷やかし冷かされしながら辿り着くこともある。
深大寺には、鬼太郎が住み着いている。ねずみ男もいる。世知辛い世の中、追いやられ生き延びるためにたどり着いた最後の聖地。
生前、水木先生は「深大寺には森がある」と言った(確か)。探すと、確かに森がある(確実に)。
陽の光に照らされていると森の何もかもが現実的に見えてくるけど、その現実は薄皮一枚ほどの厚みしかない。めくれば裏から出てくるは、出てくるは。
何がって? そんなの決まっているじゃない。
イマジネーションは、目に見える薄皮の向こう側を透かして見ている。
ほら、そこに。足元だよ。見えないの? ちょろっと走り去っていったやつ。
何なに? 大型連休が終わって現実に戻っちゃったって?
仕方ないね。時間は無情に先へ先へと進んでいく。無常に移ろいながら、前へ前へと歩んでく。
でもほら君だって、イマジネーションにとらわれている。現実に戻るその直前、いったいどこにいたっていうのさ。非現実にとっぷり浸かっていたじゃない。
人はいつだって心の目で、薄皮の向こう側を見つめている。
5月8日。終わった初日に気落ちしてしまうことはない。時は進んでいる。お次は夏休み。
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