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視覚に囁く『小ご絵』

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いつも大きくて立派な扉ばかり見せられてきたように思う。 深く考えることなく、大きくて立派な扉ばかり追いかけてきたように思う。 だけどいつもうまく開けられるわけじゃない。 ある… もっと読む
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2022年3月の記事一覧

スタタタ。

 振り返りのない人生なんて、生地のないパイみたいなものさ。ちっとも厚みが出やしない。苦渋…

君は山が好きだったね。

 名山という名山はぜんぶ登ったという君。鼻を高くしたところを見せたことがなかった君が、鼻…

春の風は嫌いじゃない。

 春の風は嫌いじゃない。艶かしさに惹かれ引かれて、チラリ素肌の襟元から、いやらしくも大胆…

終わるのが惜しい時間はいい時間。

「ああ、この至福の時が少しでも長く続きますように」。祈りたくもなる幸せに浸れる瞬間という…

過去へは酷いけれど、未来は寛(ひろ)い。

 時間は残酷だ。ちょっと先の未来も見通させないのに、通り過ぎれば折り目をきっちり刻んで畳…

だから?

 背伸びして、垣根の上から覗き見て、光るものあれば希望の明るみ。身をかがめすくませてみれば、たちまち影が胸を撫でていく。  立ち止まっても前方から押し寄せてくる明るみは未来で、立ち止まった時に背後から襲いくる影は過去。  わたしは過去と未来の独楽紐に、翻弄されながら回る。  ジュラも白亜も江戸も明治も、書物の中に閉じ込められた。過ぎた時間は鍵かけられてゼラチン状に固まって、たまに扉を開いて人差し指でつついてみれば、ほのかに透けた事柄の亡骸が乳房のようにぶるんと身ぶるい、

クールなあいつ。

 時間は空気と似ているね。あるのにわかりにくいし、ないと困る。違うのは七変化の空気と違っ…

春眠もすぎると開花に気づかず過ぎる。

 春の陽ほど血液をゆるく穏やかに宥めるものはない。「あと5分」が命取り。

諦めが悪くてね。

「だめだよ。どんなリールを使っても時間は巻き戻せないんだよ」と赤男が嗜めた。流れゆく時間…

祝卒業。

 人生は卒業の繰り返し。  寂しいかい?  センチメンタルはつきものだけど、卒業はもともと…

新文対決。

 週が明ける。  毎週、楽しみにしているものがある。  週一木曜日、朝刊の新文対決。  新…

ぐっすり眠れる日へ。

 まだまだ不安定な日が続く。時は今、いわば夜明け前。暗がりの、先がよく見えない途上にある…

へえ、ぷう、ぼばん。

 これまで箸の上げ下ろしにまで口を尖らせていたお上が、人民の芯に頼った。  へえ(、ぷう、ぼばん)。そんなこともあるんだね。    つまるところ、経済再開の策、手詰まりだから、ここまできたらサクセスの鍵は人民にありってなもんで、「制限解くよ」とあいなった。    でも、根治には至らないから、自重を持って活動してねと言われてる。つまり、お上は制限緩める役で、コトが起これば責任はこっち持ちってこと?  モヤは残るが経済は(へえ、)ぷう(、ぼばん)とふくらむことでしょう。これで少し