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動物妖怪譚 上巻


動物妖怪譚 上巻

 妖怪の本です。
 日本の妖怪の中で、「動物妖怪」といえるものを集めています。

 この本では、少しでも動物的なところがあれば、「動物妖怪」に含めています。
 ですから、普通は「動物妖怪」とは思われにくいものまで、入っています。鬼、天狗、海坊主、雪女などです。

 それら以外に、普通に動物の姿をした妖怪が、取り上げられています。
 竜、鳳凰、麒麟【きりん】、月の兎【うさぎ】、八俣遠呂智【やまたのおろち】などです。

 上巻(本書)では、前記のような、「まず確実に、実在しないもの」を取り上げています。
 「実在する動物が、妖怪と思われたもの」は、下巻で取り上げられています。

 この本が最初に出たのは、大正十五年(一九二六年!)だそうです。
 このため、文章の言い回しが古いです(かな遣いは、新かな遣いに改められています)。読みにくいと感じる方もいるでしょう。

 しかし、内容は、古びていません。現在でも、日本妖怪の解説書・研究書として、十分に使えます。
 それどころか、日本妖怪の基礎文献の一つといえます。この本を読まずして、日本の妖怪を語ることはできないでしょう。

 でなければ、二〇〇六年になって、再版されるなどあり得ません。

 本書では、それぞれの妖怪について、たいへん詳しく出現記録が挙げられています。
 これは、膨大な古典書籍に通じていた著者だからこそ、できたことです。
 妖怪好きとしては、妖怪の話がたっぷり読めて、嬉しいこと、この上ありません(^^)

 以下に、本書(上巻)の目次を書いておきますね。

総論
I 序論
II 伝説の動物の起源
III 伝説の動物の歴史的変遷
IV 伝説の動物の分類
V 伝説の動物の分布
VI 伝説の動物の研究と其【そ】の利益

各論
一、半人半獣的形態のもの
 1 鬼 / 2 天狗 / 3 河童 / 4 人魚 / 5 海坊主
 / 6 雪女

二、心霊的性質のあるもの
 7 竜 / 8 蜃【しん】 / 9 鳳凰 / 10 麒麟 / 11 天馬 / 12 鵼【ぬえ】 / 13 雷獣 / 14 月の兎 / 15 八俣遠呂智(八頭大蛇) / 16 多爾具久(谷蟆)【たにぐく】

索引



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